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2013年1月の15件の記事

2013年1月31日 (木)

ネゼ=セガン/ロッテルダム・フィル(2013/1/31)

2013年1月31日(木)19:00
サントリーホール

指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団

ヴァイオリン:庄司紗矢香

シューマン:歌劇「ゲノフェーファ序曲
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番~アダージョ(アンコール)
ブラームス:交響曲第4番
ブラームス:セレナード第1番~第5楽章(アンコール)

本編も極上感のある美しく溶け合ったナチュラル系の音でしたが、アンコールのセレナードが絶品、美し過ぎ!

シューマンでは、つや消し加工の施されたような、深い、深い、味わい深い音。
ホルンの音も、高らかに響きながらも、輝かしいと言うよりは、森の中に響き渡るかのようなナチュラル感。
これは美しい音ですねぇ。

プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番は、私はやや苦手曲なのですが、オケのパートがこんなに深みを帯びて演奏されるのは初めて聴いたかのような気分。
ただ、申し訳ないことに個人的な体調により、疲労感…。
集中出来ず、残念。

でもなぜか、いったん拍手をした後のアンコール、バッハの無伴奏になったら私の集中力が戻りました。
庄司さんの音、今さらですが…美しい!
協奏曲ではオケと同質の美しさだったような気もするので、私の意識にソロが強く刻まれなかったのでしょうか?
P席での鑑賞です。

休憩後のブラームスの交響曲では、枯淡の境地のような箇所と、あっという間に加速して熱気を帯びる箇所が交錯。
シューマンでのネゼ=セガンさんの指揮は後者(結構細かく激しい指揮)だったようなので、ブラームスの最初の方は、あれ、全然違う…と。

正直、激しく揺さぶっている箇所よりも、枯淡の境地のようにゆったりと流れている箇所の方が私には魅力的だったのですが、激しい箇所もオケはストレートには反応せず、弾力性を持って追従した印象も…。
ただ、第4楽章の終盤はかなりストレートに反応していたような気もして、私としては第1楽章から第4楽章の途中までの方がツボにはまった体感でした。

アンコールに「ハンガリー舞曲かな?」という予想を完全に裏切って、ブラームスのセレナード。
最初、曲名が思い浮かばず、アルミンクさんが振ったことのある曲…から連想して、あ、セレナードかな?と…。

それにしても、このオケの音は(いや、ネゼ=セガンさんの音なのでしょうか?私は初鑑賞なのでわからず)「弾力性」とか「しなやかさ」とかいう言葉で片づけてしまうには、音に深みがあり過ぎます。
弦だけでなく、木管もホルンも…。
P席で聴いた印象では、オケの音は「分解能」よりも「音の溶け合い」の方を強く感じました。
もちろんそれは、対向配置で、コントラバスは管楽器より後ろの最後列…という配置にもよる…と言うよりは、そういう音響を意図した対向配置なのでしょう。
本当に美しい…。

なお、蛇足ながら、アルミンクさんがブラームスのセレナード第1番を振った頃の私は、健康状態がかなり良くありませんでした。
この曲を聴くとその頃のつらい気持ちを思い出してしまうので、ずっと聴くのを避けてきたのですが、この演奏を聴いてふっ切れました。
良い曲ですね、やっぱり。
感謝!

20130131

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2013年1月30日 (水)

ラザレフ/日フィル(2013/1/30)

2013年1月30日(水)19:00
東京芸術劇場コンサートホール

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィルハーモニー交響楽団

(都民芸術フェスティバル
オーケストラ・シリーズNo.44)
ピアノ:後藤正孝

チャイコフスキー:歌劇「エフゲニ=オネーギン」~ポロネーズ
リスト:ピアノ協奏曲第1番
リスト:愛の夢第3番
(アンコール)
ブラームス:交響曲第4番
ブラームス:ハンガリー舞曲第4番
(アンコール)

CD化して何度も聴くような演奏ではないかもしれません。
まだ磨き上げの余地はあるかもしれません。
…にしても、それを補って余りある、豪快!な演奏でした。
それも、ただ豪快なだけではなく。

この日は私は、個人的に精神的な疲弊感を感じながら着席しました。
しかし、一曲目の「エフゲニ=オネーギン」ポロネーズが始まったとたん、先ほどまでの浮世の世知辛さから別世界へワープ。
気分転換というのは、こういうことを言うのでしょう…と言えないくらいの強烈な体験!(わけのわからない文章で失礼!)
ただ、その個人的精神状態から一気に別世界へ行ってしまったため、この短い曲は、あっけにとられているうちに終わってしまいました。
(演奏にのめり込めなかったという意味ではなく。)

ラザレフさんは、最後の瞬間だけでなく、最後の数秒間、客席側を向いて指揮しながら終結。
そして、続くリストのピアノ協奏曲では、真っ先にフライング気味の拍手!

確かに、ピアノ独奏、それに値する素晴らしさでした。
後藤正孝さんは、私はお名前を存じ上げなかったのですが、素晴らしい!
風貌は、一瞬、下野竜也さんを思わせるようでして、下野さんをふた回りくらい小さくして、広上淳一さん並みに小柄…という形容があっているかどうか…。
(たぶたび、わけのわからない文章で、すみません。)
「ふーん、小柄なのね」と思って見ていると、弾き始めたとたん、ピアノからはとてつもない音が出ました。

芯のあるピアノの音は、叩きつけるように弾いても全く音が割れず、飽和せず、スケール大。
さらには歌い回しもたっぷりで魅惑的。
そのセンスは私のツボを直撃。
バックのオケも、ラザレフさんの指揮ですから当然良かったのですが、それと対等だったかもしれません…ということは、かなりの…。

ソロのアンコールは愛の夢第3番。
協奏曲の後なので期待通りの選曲でしたが、これがまた、美しさの極み。
急がずにたっぷりと奏でた演奏でした。

前半終了時には、私は、会場に向かう時に疲弊感を感じていたのがウソのように元気になっていましたた。
音楽の癒し効果…を通り越して、覚醒作用のパワーは偉大です。

そして休憩後のブラームスの交響曲第4番。
始まって30秒も経たないうちに、ただならぬ高揚感に熱演を確信。
そして、その予想通り…。
予想通り…なのに、予想外の驚嘆!…の連続!
それが、本番での強力なエネルギーの注入が指揮者からあったにせよ、おそらく偶然の産物ではないでしょう。
それは、音に宿る…いや、込められた!ニュアンスの豊かさが物語っています。

アンサンブルとしては、あるいは音色としては、まだ多少の磨き上げの余地があると言って良いのでしょう。
しかしラザレフさんは、細部にこだわって萎縮することは求めていないのでしょう。
そしてオケのメンバーも、ラザレフさんの強引に近い指揮の前でも、萎縮せずに、堂々と、高らかに、誇らしく…。

全4楽章を通して、驚嘆しっ放しの脅威的な(←変換ミスですが、合っているかも)熱演。
でも、爆演ではない!と言って良いでしょう。
この曲ではラザレフさんは、客席側を向かずに指揮を完結しました。

アンコールのハンガリー舞曲第4番は、交響曲と番号を揃えたのか、単なる偶然か…。
ハンガリー舞曲の中では1、5、6番に比べると有名度が多少低いのでしょうか。
私は6番よりも先に覚えた曲ですが…。
演奏の途中で2回拍手が…。
1回目はたぶん一人、2回目はラザレフさんが客席側を向いていたせいか、かなり大勢。
でも、曲の途中で拍手したくなる気持ちも十分に理解できる豪快な演奏。
相当に豪快でも、多少荒っぽくても、暴力的ではない。

終演後の私は、池袋行くのをやめようかと迷っていた疲弊感がウソのように元気いっぱいになっていました。
指揮台からいったんオケに向かい、反射して客席に放射されるオーラは凄い!

20130130

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2013年1月26日 (土)

新国立「タンホイザー」(2013/1/26)

2013年1月26日(土)14:00
新国立劇場

ワーグナー:タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦

水曜日の初日の評判が芳しくなかったので危惧して足を運んだのですが、その不安的中が半分、多少は修正がされたのかなという印象も半分。
新国立の合唱はやはり素晴らしい!…という感想が最初に来て良いのでしょうか…。

その初日の評判、特にピットの東響の評判が芳しくなかったのですが、それほどでもなくて一安心です。
しかし、「東響の月番」だという元々の期待が十分に満たされたかと言うと、そうでもなくて微妙…。

題名役は「風邪だったという話」とのことですが…。
それでもカヴァーに名前がある成田勝美さんより上という判断なのですかねぇ。
第2幕では多少持ち直した感もあったのかな。

しかし、今度は客席からのひっきりなしのノイズに悩まされました。

全ての歌手がNGなわけではなく、領主ヘルマンなどは貫禄のある声で良かったようにも思いますが、題名役が(不調ながらもよく頑張ったという見方も出来るにせよ)もう少し突き抜けるようなものがほしかったと思います。
そして突き抜けたのは、終幕での合唱でした…。

オケは尻上がりに良くなっていったと言って良いのでしょうか。
もっとも、いつもの東響定期のレベルを基準にすれば、まだ磨く余地はあるように思いましたが…。
最終日が一番良くなるかどうかは不明です。
後半になると「愛の妙薬」との交互の上演になりますし、私も確かめには行けませんし…。

また、私のような者には、この演出の意図はよくわかりません。
具象とは言い難い舞台装置ですし、かといって抽象化も中途半端なように見えますし…。

総合的にはまずまずの上演でも、新国立への期待値は高いところにあるので、つい辛口に…。
すみません。

なお、私の座った4階席では、ひっきりなしに、かなり大きな音をたてて鼻をすすっている方がいて、著しく集中力を阻害されました。
多い時は1~2分置きに…。
4階席の皆さん、大半はマナー良く、皆さん集中力があるというか、我慢強いというか、人間ができていらっしゃるというか…。

スタッフ
【指揮】コンスタンティン・トリンクス
【演出】ハンス=ペーター・レーマン
【美術・衣裳】オラフ・ツォンベック
【照明】立田雄士

【領主ヘルマン】クリスティン・ジグムンドソン
【タンホイザー】ラーシュ・クレーヴェマン
【ヴォルフラム】ヨッヘン・クプファー
【ヴァルター】望月哲也
【ビーテロルフ】小森輝彦
【ハインリヒ】鈴木准
【ラインマル】斉木健詞
【エリーザベト】ミーガン・ミラー
【ヴェーヌス】エレナ・ツィトコーワ

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

20130126

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2013年1月25日 (金)

ラザレフ/日フィル(2013/1/25)

2013年1月25日(金)19:00
サントリーホール

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィルハーモニー交響楽団

(第647回定期演奏会)
ピアノ:ハオチェン・チャン

【ラザレフが刻むロシアの魂《SeasonⅠラフマニノフ》】
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
ラフマニノフ:交響曲第3番

ピアニストには申し訳ありませんが、交響曲を2曲聴いたような体感。
豪快、ドッカン、ドッカンだけでない繊細な微弱音も駆使。
明日はきっと、さらに…という印象の箇所もありましたが、これだけやってくれれば文句なしです。

いや、ピアノの演奏が良くなかったわけではないのです。
チャーミングな歌い回しも、豪快な迫力も、それなりにありました。
耽溺するように微弱音を奏で、火を噴くような熱演の箇所も(たぶん)ありました。
しかし…。
しかし、ラザレフさんが振ってオケが音を出すと、どうしても耳がそちらの音に奪われてしまいます。
何度も、何度も、何度も。

ラザレフさんが出すオケの音は、それはそれは、見事なものでした。
弦の音も、ハッとするほど美しい。
木管や金管の合いの手も絶妙かつ迫力もあり。
(結構強く吹かせていた箇所もありました。)
そして、オケ全体での演奏になったときのスケールの大きさ。
前述のように、協奏曲ではなく、交響曲の体感です。

ピアニストも頑張っていましたし、P席ではなく1階S席で聴いたら違う印象になったかもしれません。
でも、ラザレフさんの導くオケの音の素晴らしさは、今までこの曲で味わったことがないくらいにすら感じました。
明らかに「勝負あった」の雰囲気。
(あくまでも、P席での印象です。)

…というわけで、協奏曲ではラザレフさんの貫禄、スケールの大きさの印象が強く、ピアニストの良さは、断片的に伺い知った(垣間見た)だけの感もありましたが、ソロのアンコール曲では透明感のある美しいピアノの音は結構魅力的に感じました。
中国民謡とのことで、きれいな編曲?でした。

休憩後の交響曲第3番は、個人的にはやや捉えどころのわからない曲なのですが、それでもこれだけ飽きずに「おおっ、おおおー」と聴けたのは、ラザレフさん大暴れの賜物。
それも、やみくもに暴れているのではなく、キュー出しまくりの大奮闘であるのも、いつもの通り。

基本、超ハイテンションの、鼓舞しまくりの豪快な演奏ではあるのですが、荒っぽいガサツな演奏でないことは、微弱音のニュアンス、弦の歌い回しの美しさが物語る。
リハーサルで相当にしごき、…もとい、磨き上げ、その上での本番での驚嘆すべきエネルギーの注入なのでしょう。

なお、蛇足ながら、ラザレフさんが老眼鏡のスペアを持って振っているのを初めて知りました。
第1楽章の途中で飛ばしてしまい、指揮台のすぐ前に音をたてて落下。
しかし、スペアをかけて指揮を継続。
楽章間で第2ヴァイオリンの方が拾って渡していました。

このコンビの演奏を、2日連続同プロで聴いたことがないので想像でしかありませんが、明日はさらにハーモニーが溶け合い、素晴らしい音になるのでは?…と感じられる箇所はあります。
それでも、今宵のスリリングな、勢いの魅力の価値は揺るがないと思います。

20130125

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2013年1月22日 (火)

インバル/都響(2013/1/22)

2013年1月22日(火)19:00
サントリーホール

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(第747回定期演奏会Bシリーズ)
メゾソプラノ:イリス・フェルミリオン

マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌
マーラー:交響曲第5番

芸劇をパスして横浜~赤坂。
結構違います。
いや、紙一重なのですけれど…。
安定感はこの日の方が少し上?
初日の狂気のようなスリリングさも捨てがたいですが、この日の方がたっぷり味わえた感じもあって、大満足でした。
2回聴けて幸せです。

リュッケルトの詩による5つの歌は、私の席では声を聴くにはハンディがあるはずなのですが、それでも美しい声を満喫出来たのですから、仮に正面で聴いたらさぞかし…。
基本的にこの曲は私は苦手曲なのですが、それでも聴き惚れてしまいました。
バックの都響も美しい限り。
特に木管の皆さんのソロは絶品。
オケ全体が溶け合い、融合した音の滑らかさ、美しさ、純度の高さ。
もちろんインバルさんが導き出したものでしょうけど、都響、本当に素晴らしいオケです。

私にとって、フェルミリオンさんは、インバルさんと一緒に都響のステージで歌っているのがデフォルトであって、去年のウィーン国立歌劇場の来日公演の「サロメ」では、おや、そんな格好をして、どうしたのですか?と言いたくなったくらいです。

失礼、脱線しました…。

後半の交響曲第5番は、横浜でのような瞬間湯沸かし器状態とは少し違いました。
いや、ホールも、席の位置も、私の精神状態も違いましたので、比較すること自体がナンセンスなのですが、それでも印象を申し上げると、物理的には僅差とは言え、安定感は本日の方が少し上だったように感じました。

初日の方は、カミソリの刃のような、ただならぬ緊迫感があったような気もします。
しかし、この日の演奏だって、決してゆるい演奏などではありません。
第2楽章後半あたりは物凄い気迫でしたし、他にも何度も、唖然として身守るしかない瞬間がありました。

第3楽章の後、インバルさんがいったん引っ込み、チューニングになったのも同じ。
しかし、横浜では悲痛なうめきのように感じた第4楽章が、この日は美しさいっぱいに聴こえました。
私個人の精神状態の違いによる受け止め方の違いのせいだと思いますが…。

第5楽章はやはり畳み掛けるような場面多数ですが、横浜の時のような手に汗を握る印象はあまりなく、都響も(内心は存じ上げませんが)余裕でクリアした模様。
横浜に続いてフライングすれすれのブラボーは…。
まあ、仕方ないですかね、こんな演奏をされたら…。

横浜もこの日も、ここで音をたてるかい?…というような録音技師泣かせの会場ノイズがありましたが、まあ、ゲネプロ音源で修正されることでしょう。
むしろ、どの日の演奏がCDに採用されるかに興味があります。

インバルさんが都響のシェフに就任する時、確か、コンパクトな契約条件だったのでサインした…と語っていたような記憶があります。
そのとき、これだけの数のCDがこのコンビで発売されることになるとは、インバルさん本人も予想もしていなかったのではないでしょうか。

すみません、また脱線しました。

ともあれ、都響の個々の奏者の力量の高さと、それが集まった時のアンサンブルの強固さを見せつけられた思いです。
次々と受け渡されるパスの絶妙な的中、成功率も、本当に素晴らしい。

一般参賀は2回。
インバルさんは、まだ数週間居るかのような錯覚に陥りますが、この日が千秋楽…ですよね?
(後日追記)
違いました。
私は行きませんが、「作曲家の肖像」がもう一公演ありました。

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2013年1月21日 (月)

セゲルスタム/読響(2013/1/21)

2013年1月21日(月)19:00
サントリーホール

指揮:レイフ・セゲルスタム
読売日本交響楽団

(第522回定期演奏会)
ピアノ:菊池洋子

モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
セゲルスタム:Seven Questions to Infinity
(アンコール)
マーラー:交響曲第5番

都響とは違った方向でのアンサンブル崩壊の危機(?)を乗り切った(?)読響の皆さん、お疲れ様でございました。
正直、ついていけない所の多いマーラーでしたが、会場は盛大なブラボー。
私はブーイングが出るかと、心配しました。

最初は菊池洋子さんのソロで、モーツァルト。
菊池さんのピアノ、いいですねぇ。
どこがどう良いと言葉にしがたいのですけれど、モーツァルトだからと言って軽めではなく、しっかりと感情を込めて弾いていると言うのか、芯のあるピアノの音と言うのか…。
バックの読響も、ニュアンス豊かです。

マエストロは、基本、お腹が邪魔なので(?)かなり腕を開いた状態での指揮(?)。
いや、単に横幅が大きいせいかな?
そして、細かいアクセントは棒を上へはね上げて表す。
巨体に似合わず流麗な棒さばきは結構美しい。
その美しい棒に、読響が見事に反応して、音も美しい。

モーツァルトの協奏曲の後、菊池洋子さんのソロのアンコールは、予想だにしなかったマエストロの曲。
曲名はステージ下手に腰掛けたマエストロが大声で叫ぶ。
最後はピアノのふたを閉じて、その上をカタカタと叩いて終わる。
まさかの前半の展開、面白過ぎ!です。
今日はマエストロの自作は演奏されない日…と決めてかかっていて、まんまと騙されて笑いが止まらず…。

休憩後のマーラーは、出だしからゆるい(?)。
いや、都響をデフォルトにして聴いたからかな?
そしてかなりの部分がスローテンポ、ときどき加速。
いや、加速して標準(?)。
ためを作った後の音の出が微妙にずれかけるのは想定内…なのかな。

個人的な好みから言うと、第1、第2楽章は、いつ終わるんだろう?…正直、ちょっとやりすぎ…ついていけないものがありました。
前回の7番もこんな演奏でしたっけ?
もう少しまともだった印象があるのですが…。

でも、このおおらかなところがマエストロの持ち味なのでしょう。
ずーっとついていけなかった私ですが、第4楽章もこの調子でやられたら、結構琴線に触れるものがあって意外。
ゆるめだけど、たっぷりと鳴らした響きは意外と魅惑的。
第4楽章で、あれ、意外と良いではないか…となってからは、第5楽章も前半と同じスタイル(ですよね?)にもかかわらず、かなり楽しめたのは我ながら不思議。
単に私の耳が慣れただけ?
それとも、あと少しで終わる…と無意識に思ったせい?

ともあれ、前半のモーツァルトは良かったし、まさかのアンコールでマエストロの曲(菊池さん、暗譜でした!)で笑わされ(笑うところじゃないですかね…)、マーラーも最後の2楽章は楽しめたので結果オーライです。

読響の皆さんのマエストロを見る目、意外と好意的?
憎めないんでしょうね、人柄が。

20130121

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2013年1月20日 (日)

プラハ国立劇場オペラ「フィガロの結婚」(2013/1/20)

2013年1月20日(日)16:30
茅ヶ崎市民文化会館

プラハ国立劇場オペラ
モーツァルト:フィガロの結婚

東欧系の来日団体の巡業?はあまり聴かないので、どんなものかと思って足を運んだのですが、アンサンブルとしてはかなり楽しい、快感すら感じる公演でした。
特にピットの小編成のオケが秀逸!
ピリオドに限りなく近い(?)疾走するモーツァルトです。

歌手の皆さんは、NBS系とは比べられるものではないにせよ、聴かせる楽しみは技で勝負?
力量にもそれなりに差があったとも思いますが、心地良い楽しさを味わう分には不足なし。
「盛りを過ぎたけど技巧でカバー」の方々と、「技巧はまだ荒削りだけどパワー全開!」方々の混成(混声?)チーム、前者がやや優勢。
でも、楽しかったです。
(暴言は御容赦を。)

まず、ピットのオケが素晴らしい。
ピットがスカスカの小編成。
コントラバス2人、チェロ3人、…。
その小編成が物足りなさにならない、楽しくにぎやか音づくりがそこにありました。
ヴィブラート控えめなのかな。
たぶんピリオドに近いスピード感と軽快さ。
ティンパニも固めの音、やや強打。
そして少人数でも、これはやっぱりオペラのオケのノリです。

中心人物を演じる歌手が、出だしで「あれれ、大丈夫かいな」だったりして不安になりましたが(伯爵夫人のアリアとか)、だんだん身体が暖まってくると(?)それなりに聴き応えのある歌唱になったりして、結果オーライの出来と言って良いのかな。

「盛りを過ぎたけど技巧でカバー」組が、スザンナ、伯爵、伯爵夫人。
「技巧は荒削りだけどパワー全開」組が、ケルビーノ、マルチェリーナ、バルトロ。
聴感での印象なので、年齢、キャリアが違っていたら御容赦を。
フィガロは最初、「盛りを過ぎたけど技巧でカバー」組だと思って聴いていたら、後の方では「技巧は荒削りだけどパワー全開」組のような気もしてきて詳細不明。
一流ではないせよ(重ねての暴言失礼)、フォルクスオーパーの歌手に感じるような側面の魅力があります。
スザンナなど、声のコントロールという点では、完璧とは言えない箇所もあったと思いますが、もう一回聴きたいか?と問われれば、迷わずYesです。

もちろん、1412席(ピット撤去分も含めて)という会場の大きさが、歌唱に有利に働いたのは確かでしょう。
都内の大きい会場での公演でも同じ結果になったかどうかは不明。
ちなみにこのホールは、多目的ホールにしては潤いのある音がするのは、私は数十年前に確認済みでした。

演出うんうん、舞台装置うんぬんと言うのは野暮なのでしょう。
でも、舞台装置は簡素ながらも“塗り絵”ではないし、奥行きもそれなりにあります。
演出なのか、歌手の自発的演技なのかわからない、笑いをくすぐる所作も随所に(後者のような気もしますが)。
唯一(?)、演出っぽかったのは、第3幕冒頭で、伯爵が客席側めがけてゴルフのスウィング、そして池ぽちゃの音。
あれは何だったのでしょう?

ともあれ、このメンバーで(失礼!)これだけ楽しい舞台にしてくれたMVPは指揮者でしょう。
終演後、指揮者は、少人数とはいえ、ピットの全員と握手してから引き上げました。
その握手に応じるオケのメンバーの態度も敬意がこもっていた様子。
お世辞抜きに、まさに少数精鋭という言葉がふさわしい、素晴らしい演奏でした。

…というわけで、東欧系の来日巡業初鑑賞、体感的にはウィーン・フォルクスオーパーに近く、新国立の良い時には遠く及びませんが、新国立のいまひとつ盛り上がらない公演よりは、はるかに楽しい。
全般的には新国立の方が上であるにせよ、侮りがたい公演でございました。

指揮:ヤン・ハルペツキー
演出:ヨゼフ・ブルーデク
舞台美術:ヤーン…ザヴァルスキー
衣装:エヴァ・ファルカショヴァー=ザーレシャーコヴァー

フィガロ:ミロッシュ・ホラーク
伯爵:イジー・ブリクレル
伯爵夫人:イトカ・スヴォボドヴァー
スザンナ:ヤナ・シベラ
ケルビーノ:カテジナ・ヤロフツォヴァー
マルチェリーナ:レンカ・シュミードヴァー
バルトロ:ズデネック・プレフ
バジーリオ:マルティン・シュレイマ
ドン・クルツィオ:ヴァーツラフ・レムベルク
アントーニオ:カレル・ドゥラーベク
バルバリーナ:オレシア・バラノヴァ

プラハ国立劇場管弦楽団、合唱団、バレエ団

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2013年1月19日 (土)

インバル/都響(2013/1/19)

2013年1月20日(土)15:00
横浜みなとみらいホール

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(インバル=都響 新マーラー・ツィクルス
第Ⅰ期 2012年度 交響曲第1番~第5番Ⅴ.)
メゾ・ソプラノ:イリス・フェルミリオン

マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌
マーラー:交響曲第5番

もう仕上がってますから…というような余裕の雰囲気で勢ぞろいし、気負いなく始めて一瞬にして瞬間沸騰!
見事!見事!見事!
インバルさんの揺さぶりにも余裕で追従。
都響、素晴らしすぎ!です。

休憩前のリュッケルトの詩による5つの歌は、さすがにインバル様御指名のお気に入り、フェルミリオンさん、うまい。
それを支えるバックのオケも、ハッとするような音を奏でます。
ただ、この曲は私はやや苦手曲なので、食後でもあり、少々眠気が…。
(すみません。)

そして休憩後の交響曲第5番。
いつものことかもしれませんが、舞台に出て来る時のオケの皆さんに、気負いが全く感じられないことに、まず驚きます。
これから本当に5番が始まるんですかね…という雰囲気。
インバルさんも、出て来て指揮台に上がった後、譜面台のネジを調整したりして、のどかな雰囲気。
それが…。

指揮棒を構えて振り始めたとたん、突き抜けるようなトランペットの音が鳴り響いた後、瞬間沸騰、一気に頂点へ。
その頂点を維持したまま演奏は進む。

明日以降はさらに良くなるだろう…などと感じる箇所は、ひとつもありませんでした。
むしろ、初日でここまでやってしまって残りは大丈夫ですか?という感じ。
個人的体調による眠気が完全にさめたわけではなかったのですが、目の前でこんなことをされたら、眠くなってなどいられません。

さすがにインバルさんも、最近多い、ひょうひょうと振っている指揮などではなく、相当に力の入った、ぐい、ぐい、ぐい!の指揮。
鬼の形相になっていたかどうかまでは判別出来ませんでしたが、第5楽章では何度も何度も、インバルさんの発する声が聞こえました。

第3楽章の後、インバルさんがいったん退場し、オケはチューニングになりましたが、あれはインバルの水分補給だったのでしょうか?
続く第4楽章も緊張感が完全にゆるまない演奏で、穏やかな安息の境地などでは全くありません。
むしろ悲痛なうめきのようにすら感じました。

第5楽章は最後は相当に畳み掛けたのでしょうか?
いや、昔からこうだったのかもしれませんが…。
(私は、フランクフルト放送響との来日以来、聴いていないかもしれません。)
都響はアンサンブル崩壊の危機…のそぶりも見せず(いや、演奏する方の集中力は相当大変だったと思いますが)、インバルさんの棒の煽りに追従しきりました。

演奏終了後、指揮者が最初に引っ込んだ後、オケの皆さん、はじけるかと思いきや、管楽器奏者の一部はお互いに拍手を贈りあっていたものの、弦楽器をはじめとする大半のメンバーは、放心状態、目はうつろ。
それはそうでしょうね、大変だったのでしょう。

しかし、演奏中は、その大変なそぶり…、インバルさんが煽るから、私たち、いま、頑張ってまーす…ほら、…などという様子は微塵も感じさせず、平然と“お仕事”をやってのけて会場を興奮の渦に巻き込んだ都響は凄い、凄すぎます。
まさにプロの仕事師たち。
オケ全体がひとつの生き物のように有機的に機能し、CD化する時にバランス調整不要では?というくらいの音。

最後は当然のごとく、一般参賀。
むしろ一回で終わったのが不思議なくらいです。

これでツィクルス前半が終わりました。
私の5回座ったこの席とも今回でお別れです。
少々ハズれの席でもあったので、めでたしめでたし、卒業の気分です。

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2013年1月18日 (金)

鈴木雅明/東京シティ・フィル(2013/1/18)

2013年1月18日(金)19:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:鈴木雅明
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(第265回定期演奏会)
ソプラノ:森麻季

J.M.クラウス:シンフォニア・ダ・キエザVB146
モーツァルト:交響曲第25番
マーラー:交響曲第4番

今回も凄!凄!凄!
森麻希さんの声に寄り添うオケの音、美し過ぎ!
最後にオケ全員がお辞儀をする際に、嵐のようなブラボーも!
飯守泰次郎さんが振った時とは、全く別のオケ!のような音で…。

一曲目のJ.M.クラウスは、モーツァルトと同時代の作曲家とのことです。
珍しい曲を楽しく聴きましたが、それはおそらく、生演奏で、しかも鈴木雅明さんの指揮で聴いたからのような気もします。
それくらい演奏の力、指揮の及ぼす力、演出のチカラと言っても良いかもしれませんが、大きいものがあると思います。

続くモーツァルトは、短調であることや、劇的なおどろおどろしい側面を封印したかのような、気持ちの良い演奏。
疾走する音楽の心地良いこと!
この曲の第2楽章がこんなに美しかったなんて、まるで新発見!です。
他にも新発見の数々が…。

第3楽章の途中で、突然、グランパルティータ状態の管楽合奏になるのも、今まで知らないでずっと聴いてきたのでしょうか、この曲を、私は…。
全てを覚えていることが出来ないくらいの、発見、発見、発見…のオンパレード!の演奏、指揮でした。

そして休憩後のマーラー。
ピュアトーン(と言って良いですよね?)の美しさに酔っていると、少しずつムクムクと、モンスターのように増殖する怪奇…。
それが頂点に達したとたん、ふと我に返ったかのように平穏な表情に戻るコントラストの極みに唖然。

鈴木雅明さんの、1番5番の激しい指揮の印象が残っていただけに、この曲ではどういう指揮をされるのか、次善には予想がつきませんでしたが、音楽の表情が手に取るように見えるような美しい指揮の手さばきはいつもの通り。
この曲の可愛らしい、美しい側面と、奇怪な、グロテスクな側面を克明に描き分け、さらにその両者を無段変速のギアチェンジの連続性でつないだ驚異の指揮、演奏。
その奇怪な部分の激しい指揮は、驚異、脅威!

私は、こんな音を聴いていて本当に良いのだろうか、これは実は禁じられた薬物ではないだろうか、途中で当局の取り締まりが入って客席全員が摘発されるのではないか…と錯覚するような媚薬のような音の数々。

森麻季さんの比較的スリムな声も、この指揮とこの演奏にぴったりだったのではないでしょうか。
その声に寄り添うオケの音の美し過ぎること!
声が入っても、主役の座を譲るどころか、対等以上の高品位、ハイテンション。

私はたぶん鈴木雅明さんの東京シティ・フィル定期客演は全回聴いていると思いますが、今回も相性の良さは健在…どころか、さらに磨きがかかった印象。
来シーズンの定期に鈴木雅明さんの名前がないのが本当に残念でしたが、こんな演奏を聴いてしまったら、その残念な気持ちはさらに増幅されました。
マーラーでなくてもいいから毎年振ってほしい、呼んでほしい。

そして、最近の東京シティ・フィル定期で、最後にオケの皆さん全員がお辞儀をした時に、オケの皆さんに対して、こんなにブラボーが飛んだのも記憶にありません。

18:30~
東京シティ・フィルメンバーによるプレ・コンサート

第1ヴァイオリン:古賀恵
第2ヴァイオリン:原ゆかり
ヴィオラ:戸田麻子
チェロ:薄井信介

梶浦由記(松原幸広 編):NHKテレビ「歴史秘話ヒストリア」のテーマ
ハイドン:弦楽四重奏曲第78番「日の出」~第1楽章

ロビーでのプレコンサート。
残念ながら、会場に到着した時刻の関係で、良い位置をキープできなかったので…。
でも、離れた位置からでも、聴けて良かったです、特にハイドン。
本編のステージ上であんな音を出すオーケストラは、こういう方々に支えられているのですね。

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2013年1月13日 (日)

大野和士/水戸室内管弦楽団(2013/1/13

2013年1月13日(日)18:30
水戸芸術館

指揮:大野和士
水戸室内管弦楽団

(第86回定期演奏会)
テノール:西村悟

ドヴォルザーク:弦楽セレナード
ブリテン:ノクターン作品60
シューベルト:交響曲第6番
フォーレ:組曲「ドリー」~子守歌
(アンコール)

大野さんが選抜チームを振ると、やはりただ事では済みません。

一曲目のドヴォルザークでは、スリムでシャープに聴こえる部分と、比較的(小編成にしては)たっぷりとした感じの部分と…。
どちらかと言うと後者が多かったと思いますが、大野さん、本番で加速したのか、一瞬、合奏が乱れかける場面も。
そういう意味ではスリリング!でした。

続くブリテンが、とてつもなく凄い歌唱で、会場は湧きに湧きました。
大野さん、してやったりの選曲ではないでしょうか。
会場が大きくないことも、無理のない発声に寄与したにせよ、西村さんの抑揚と表情の徹底した歌唱は完全に手の内に入ったものだったのでしょう。
バックのオーケストラは、最初は弦楽合奏だけで始まり、途中で管楽器奏者やハープ、ティンパニが足音を忍ばせて入場。
管楽器奏者は指揮台の右横で演奏し、終わると弦楽合奏の後方の本来の?席に座っていく。
こんな曲で(失礼!有名曲でないという意味です。名曲でないとは言っていません)こんな凄い演奏になるとは!
そして、こんなに会場が湧くとは!

さて、休憩後は吉野直子さんが弾いたハープを舞台上に置いたまま、シューベルトの交響曲。
舞台上手に置いてあるブリテンで使ったティンパニは使わず、下手で叩いていましたが、バロックティンパニだったのでしょうか?
(私の席からは見えませんでした)。

演奏はピリオドスタイルではありませんが…。

可愛らしくチャーミングに微笑むメロディに気を許していると、突如、君子豹変し、怒涛の豪快な煽りの圧力に唖然、茫然。
それが各楽章で繰り返される。
初期…と言うには番号が大ハ長調に近い曲ですが、それにふさわしい大スケールを垣間見せてくれました。

ピリオドか非ピリオドか、なんていう時代は、もう過ぎ去ってしまったのかな、と昨今は感じることが多くなりました。
有無を言わさぬ説得力。
折衷案…などという生やさしいものではありません。
スピード感も豪快さも、切れ味も歌い回しも、全てがそこにありました。

演奏終了直後、大野さんが最初に引っ込んだ後、コンマスの豊嶋さんは眼鏡をはずして顔中の汗を拭っていました。
それくらい気合の入った演奏だったのでしょう。

ハープが置いてあったので、もしや?と思っていたが、吉野直子さんが入ってアンコールが演奏されました。
「フォーレのドリー、眠りの曲です」と大野さんが紹介して、子守歌。
会場の興奮を優しく冷ますように演奏され、これでお開きに…。
なんと言いますか、起、承、転、結が…、いや、起、転、転、結のような気もしますが、はっきりとストーリーとして提示された演奏会だったように感じた。
最初、チケットを買う前に、曲目が発表になったときに、無造作に3曲を並べたように感じたのですが、それは浅はかでした。
大野さんの筋の通った選曲だったのでした。

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2013年1月12日 (土)

メッツマッハー/新日本フィル(2013/1/12)

2013年1月12日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:インゴ・メッツマッハー
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第503回定期演奏会)

J.シュトラウスII:ウィーンの森の物語
ヤナーチェク(マッケラス編):歌劇「利口な女狐の物語」組曲
R.シュトラウス:アルプス交響曲

演奏終了直後の答礼からメッツマッハーさんが最初に引っ込んだ瞬間のオケのメンバー、特に管楽器奏者の皆さんのはじけっぷりが、指揮者とオケの良好な関係を物語る?
期待していた音がそこに現れた快感!の演奏会でした。
新日本フィルの音色に抱くイメージと、メッツマッハーさんに期待する音のイメージが結実して生まれたシャープでクリアな音、シンフォニック!
新日本フィルの音造りにピッタリの指揮者、このコンビの未来は明るい!と言って良いのでは?

最初の「ウィーンの森の物語」は、○○編曲(例:シェーンベルク、ショスタコーヴィチ)…と言われても信じてしまいそうなシャープな音。
全然ウィーン的ではありませんが、そのどこが悪い!と言うような芯のある音。
この時点で既に、新日本フィルの音色に合った指揮者ですね、次のシェフ格に迎えたのは大正解かも…という感想が頭の中に浮かぶ。

「利口な女狐の物語」組曲もシャープな音。
この日の演奏会に私が期待していた音がそこにある。
切れ味の良い音は本当に気持ちが良い。

アルプス交響曲も、描写的とか、叙情的な側面を排した、精緻でメリハリのある、くっきりとした音。
大編成を精巧に操っているなで、スッキリと言って良いのかわかりませんが、余計な贅肉をそぎ落とした、骨格から小骨に至るまで透視したような見晴らしの良さ。
その精巧な音の固まりが、最強奏でも分解能高く高らかに響き渡る様は快感としか言いようがありません。
(何度も快感、快感と書いてすみません、語彙不足です。)
純器楽曲として構築、演奏され、「ばらの騎士」の片鱗も感じさせないようなこの演奏は、この方向での究極の完成度と言うべきではないでしょうか。

就任発表後の最初のメッツマッハーさんの客演。
オケの皆さんは、既に大歓迎と見ました。

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2013年1月11日 (金)

ジンマン/N響(2013/1/11)

2013年1月11日(金)19:00
NHKホール

指揮:デーヴィッド・ジンマン
NHK交響楽団

(第1745回定期公演 Cプログラム)

マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

なんか、取り残された感…。
オケが音を消化不良のように感じてしまったのは私だけ?
鳴らして、音を並べてはいるのだけれど、有機的な融合にまで至っていないような…。
ジンマン氏のマーラーはそんな造りだよと言われればそれまでですが…。

指揮者の名前からして、それなりに期待して聴きに行ったのですが、
(平日の夜にNHKホールへ行くことなど、私はめったにありません)
どうも私とは相性が良くない演奏会でした。
時々、一部の金管が頼りない音を出すのは目をつぶったとしても、違和感はそれだけでは…。

この曲、10年くらい前は「難しい曲」と言われていたような気もしますが、近年では、在京オケでも、神奈川フィルでも、違和感のない素晴らしい演奏を堪能する機会に恵まれ、そんなことは忘れていました。
しかし、今夜は、それを思い出させてもらいました。

ジンマン氏のマーラーが、のたうちまわるような濃いマーラーでないことは承知していたつもりです。
でも、こんな音ですかね?
マーラー全集のCDを出しているジンマン氏が消化不良なわけは…。
と言うことは…。

ちなみに私が聴いた場所は、B席、1階前方壁ぎわ。
NHKホールの中ではまともに聴こえる場所のはず…。
いや、物理的な音はそれなりに来てましたよ。
でも、なんか、オケの皆さんが、この曲を「良い曲だ」と思っていないで演奏しているかのような…。

これ以上書くと気持ちが高ぶってさらに暴言を吐きそうなのでもうやめますが、オケのこの曲の演奏経験はどれくらいなのでしょう?
2日目の明日は修正されて良くなる可能性はあるにせよ、一聴衆の私にとっては一期一会。
別の予定もありますし、確かめに行くことは出来ません。

マーラーの7番と言うと、ムジークフェラインで聴いたヤンソンス/バイエルンは別格としても、飯守泰次郎/東京シティ・フィル、セゲルスタム/読響、金聖響/神奈川フィル…と、結構良い思い出が多かったのですが…。

帰宅してすぐ、ジンマン/チューリッヒのマーラーの7番のCDを聴き始めましたが、この透明感が、この透明感が、この透明感が、この透明感が、…。
全然違う、生よりCDの方が…、そんな…。

重ね重ねの暴言、御容赦を。
たまたま私の精神状態が、相性が悪かっただけと信じたいです。

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2013年1月 8日 (火)

大野和士/読響(2013/1/8)

2013年1月8日(火)19:00
東京芸術劇場

指揮:大野和士
読売日本交響楽団

(第201回東京芸術劇場名曲シリーズ)
ピアノ:小山実稚恵

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番
R. シュトラウス:アルプス交響曲

磨き上げた上で、さらにつや消しの加工を施したような、極上の音。
しっとりと潤いのある音は、最強奏になっても、うるさくならずに溶け合う。
芸劇のモダンオルガンまでもが潤いのある美しい音に!

いやはや、読響の皆さん、ご自分が、たった今、出している音が信じられない思いだったのではないでしょうか?
何かが取り憑いたような渾身の、しかし、美音!の演奏です。

まずは、大野さんの盟友?、小山実稚恵さんのラフマニノフ。
最高に良い時の読響の音ですね…って、当たり前ですかね…。
隅から隅まで繊細な美しい音で隙なし。
ミスターSの時ですら、たまに「微妙…」になる金管だって、全くの隙なし。
小山さんのピアノも、小山さん本来の、弾むようなチャーミングな音が戻って来て嬉しい限り。

この協奏曲、オケの音は、結構地味な伴奏の箇所もある曲ですが、そういう部分の、何気ない合いの手のような音ですら、全く隙なし。
前半でもう、来て良かった!と幸せな気分。

さて、休憩後のアルプス交響曲を前にして、銀色に輝く芸劇のモダンオルガンと、その前のバルコニーに並べられたバンダ用の譜面に気づきました。
あれ?前半もモダンオルガンは姿を見せていましたっけ?
全然記憶にありません。
冷静だったつもりですが、やはり大野さんの登場にハイテンションになっていたかな。

アルプス交響曲では、さすがに編成が膨れ上がったこともあってか、最初の方は一部の金管の音が、やや恐る恐る音を出すような感もあったのですが、夜が明けて日がのぼってしまえば文句無し。
それにしても、このしっとりとした潤いのある音は、え?アルプス交響曲って、こんな曲だっけ?という感じ。

木管楽器のソロの音ですら、ニュアンスがただ事ではありません。
オケの音の溶け合いもただ事ではありません。
最強奏では全メンバーが何かに取り憑かれたような激しい動きで、渾身の力演をしているのに、鳴っている音は全くうるさくなく、柔和で潤いがある。
ひ弱な音でもない。

大野さんは、日がのぼってしばらは、千手観音のような手さばきも何度か見せましたが、オケがノッてしまってからは、強引な様子は見せずに、しなやかで力強い動きでオケから極上の音を引き出していました。
この芸劇の空間に漂った香しい音のニュアンスは、恍惚感すら覚えました。

アルプス交響曲の曲のイメージとしては、私はこれまでゴージャスな輝かしいサウンドのような気がしていたのですが、この日、大野さんが聴かせてくれた音は(短絡的思考で申し訳ないですが)ああ、やっぱり、ばらの騎士と同じ作曲家だったんだ、という思い。
大野さんの指揮で「ばらの騎士」、観てみたいですね~。

あえて重箱の隅をつつけば、初日よりも2日目の方がさらに良くなるかも…という箇所はあった気もしますが、そのことによって、私が聴いた初日の演奏の価値が減ずるものでは断じてありません。
2日目のチケットは私は持っていません。
22年ぶりの大野さんの読響客演の一期一会に感謝!です。

ちなみに私事ですが、この日は、都内某所で15:00-17:00に会議を設定しました。
別にこの日でなくても良かったのですが、芸劇へ行きやすいことを考慮したのです。
しかし、新年稼働2日目の会議のために、仕事始め早々に普段の1.8倍くらいの気合いで資料を準備する羽目になり、大変でした。
もしかして、大野さんにノセられてしまった読響の皆さんも、似たようなものですかね?

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2013年1月 6日 (日)

秋山和慶/東響(2013/1/6)

2013年1月6日(日)14:00
サントリーホール

指揮:秋山和慶
東京交響楽団

(ニューイヤーコンサート2013)
ピアノ:中村紘子

ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「美しく青きドナウ」
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
ショパン:練習曲作品10-4
(アンコール)
ショパン:マズルカロ短調(アンコール)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲
(アンコール)

長年の秋山和慶さんのファンにもかかわらず、私は東響のニューイヤーコンサートを聴くのは初めてです。
日頃、秋山さんが東響定期を振る機会が減ってしまって…と嘆いているのにニューイヤーを聴きに行かないのは言行不一致だと反省し、初めてチケットを買いました。

東響主催公演だけあって、定期演奏会クオリティの真剣勝負。
(予想通り!)
秋山さんと東響の「新世界より」は、サマーミューザで聴いた時もそれなりに良かったと思いましたが、やはり「本場所」はひと味違います。
真剣勝負の協奏曲と交響曲の演奏を、ウィンナ・ワルツ&マーチでサンドイッチにした、東響式伝統のニューイヤーコンサートの心地良いこと!

最初は「美しく青きドナウ」。
秋山さんのウィンナ・ワルツが、そのイメージに似合わず、かなり良いのは以前、体験済み。
シンフォニック過ぎず、潤いを持って、溜めを作りながら演奏されます。
東響の音が定期演奏会並みに綺麗に揃って、濁りなくスケール感のある音で、最後は誇らしく終結しました。

続く中村紘子さんの独奏による、チャイコフスキーのピアノ協奏曲も、事前の予想以上の真剣勝負。
私は以前は、中村紘子さんのピアノの、良く言えば豪快な(悪く言えば荒っぽい?)、かつ、硬質の音があまり肌に合わなかったのですが、久しぶりに聴いたら、意外と素直に聴けました。
所々、おや?…という箇所があったことは事実ですが、それは全体から見れば細部のこと。
全体を通した威圧するような音の存在感は、これだけ長いこと現役でいらしたことの意味を再認識し、認めざるを得ません。

協奏曲の後のアンコールのショパン2曲も、ちっとも可憐でなく、女傑による横綱相撲?のショパン。
私的にはもう少し繊細に音を駆使して弾いた演奏の方が好みですが、有無を言わせずねじ伏せられました。
ステージ上での存在感も凄い!

協奏曲でのバックの東響も、お付き合い伴奏などではない、気合い入りまくりの演奏。
そして休憩後の「新世界より」が始まったとたん、その音のクオリティに、定期演奏会を聴いているような気分になりました。
どこがどう…ということのないオーソドックスな演奏と言って良いのでしょうが、凡庸な演奏ではありません。
音のニュアンスから旋律の歌わせ方まで、全て、自然、自然、自然。
安心して…それでいて全く退屈することなく、音楽に浸れる充足感。
秋山さんの円熟の境地!

アンコールはラデツキー。
私は今回が初めてなので、恒例かどうかは存じ上げません。

客席は、一曲目でカーテンコールなしに拍手がやんでしまったり、協奏曲の第1楽章の後で拍手が起きたり、ということはありましたが、演奏中の静けさ、集中力は、ごく一部を除いて、平日夜の在京オケの定期演奏会に匹敵するくらい。
本当に後味の良い演奏会でした。

20130106

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2013年1月 3日 (木)

大植英次/都響(2013/1/3)

2013年1月3日(木)15:00
東京文化会館大ホール

指揮・ピアノ:大植英次
東京都交響楽団

《響の森》vol.32 ニューイヤーコンサート 2013
ピアノ:伊藤恵、野原みどり
篠笛:福原友裕

モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
モーツァルト:3台のピアノのための協奏曲
ラヴェル:ラ・ヴァルス
宮城道雄:春の海
(篠笛:福原友裕、ピアノ:大植英次)
岡野貞一:ふるさと
外山雄三:管弦楽のためのラプソディー
外山雄三:管弦楽のためのラプソディーより
(アンコール)

良く言えば雄弁、多弁、悪く言えば派手で聴き疲れのする音?
第九でないからまあいいや。

それにしても大植さん、しゃべること、しゃべること!
マイクを持っての早口トークは、正直、5階席では、わんわん響いて?言葉がよく聞き取れませんでした。
少々聞き疲れしたのは私だけでしょうか?

指揮も、あれもこれも、たくさんやりたいのかなー?という印象。
いや、早口トークだって、あれもこれも、しゃべりたいのでしょうね。
でも、もうちょっと話題を絞って、特に伝えたいことに注力した方が、聞きやすいと思ったのは私だけ?

モーツァルトの協奏曲でのピアノの演奏も含めて、雄弁、多弁、極彩色。
ラ・ヴァルスはこれでいいとして、モーツァルトやベートーヴェンまでカラフルというのは、私は少々違和感あり。
年末の東フィルの第九の体感を思い出したりして。

休憩後の「春の海」は、篠笛とピアノのみの2重奏。
続く「ふるさと」では、オケの指揮を放り出して、唱和を求めて会場の客席を走り回る。
ピアノの音も、オケの音も、和風ではなく極彩色。
水墨画や水彩画ではなく、油絵?
まあ、好みの問題だと思いますが…。

最後の管弦楽のためのラプソディーも、カラフル、カラフル。
トークで「日本人」「日本」を連発した割には、あまり和風なものを感じなかったのは私だけ?
フルートのソロ(遠くてよく見えなかったのですけれど寺本さん?柳原さん?それとも他の方?)は、しっとりとして、この日一番心に染みた音色でした。
(後刻追記:柳原さんとのことです。Twtterで教えていただきました。)
最初の方では打楽器奏者だけでなく、金管奏者も鳴り物を鳴らしていましたが、さすが、ちゃんとプロの音?になっていました(暴言失礼!)。

東フィルの第九でも感じたことですけど、大植さんの音楽はエンターテインメントですかね。
それのどこが悪い?と言われればそれまでです。
ましてやニューイヤーですし。
でも、個人的好みを言うならば、トーク同様、音楽も、もう少し焦点を絞った方が、聴いていて疲れないような…。

…と、去年の暮れからネガティヴ・ツィートになっている気もしますが、人畜無害の毒にも薬にもならない指揮よりは、よほど面白いことは事実。
来季の東フィルでやるチャイコフスキーあたりは、面白い演奏になりそうな予感はあります。

ちなみに、偶数か必然か、去年のお正月も、井上道義/新日本フィルのラプソディーで、新年の聴き初めでした。

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