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2013年2月20日 (水)

下野竜也/読響(2013/2/20)

2013年2月20日(水)19:00
東京芸術劇場コンサートホール

指揮:下野竜也
読売日本交響楽団

(第202回東京芸術劇場名曲シリーズ)

ブルックナー:交響曲第5番

ミスターSのオケだった読響で「普通に良い」ということは「かなり良い」…などと不遜な聴き方をしていたら、全然、普通じゃない、物凄いことになった後半の2つの楽章。
それが粗雑な爆演でないのですから恐れ入りました。
オケから下野さんへ花束贈呈と、ソロカーテンコール1回。

しかし、演奏終了後、残響が消える前に1階席前方の女性の方から、まさかのフライングのブラボー。
一瞬、会場に落胆の空気が漂い、気を取り直して、盛大な拍手とブラボーになるまでしばらく時間がかかったような気がしたのは、私の気のせいでしょうか?

演奏の感想に話しを戻すと、下野さんと読響のブルックナーでは、前回の4番が「ラヴェル編?」と一瞬思ったくらいカラフルな演奏に感じた記憶があります。
今回もサウンドにその片鱗はあるものの、格段に進化(深化)した演奏になっていて素晴らしい。

第1楽章開始直前に、1階席前方の客席から鈴がチリチリ鳴り、その音がおさまるのを待って指揮を始めた?下野さん。
その影響ではないでしょうが、第1楽章冒頭は、若干、肩に力が入って、オケの音の出が微妙に乱れたような気も…。

しかし流れ出せば、そこは長年連れ添った正指揮者。
オケの演奏にもためらいが消え、下野さんの動作が高効率で音に変換されます。
第1楽章も、第2楽章も、普通に良かった!
この読響において、ブルックナーが普通に良い…ということは、相当に良い…と言って良いはず。
…などとエラソーな感想を抱いて聴いていましたが、第3楽章からは、そんな「味わう」「観察する」ような余裕はなくなりました。
熱演…と言って良いのかわかりませんが、下野さんのパワー炸裂!

相当に気合い入りまくりの演奏なのに、高品位なサウンドにて、その熱演を爆演…粗雑な演奏にせずに演奏しきった読響。
やっぱり下野さんとの数年にわたる信頼関係の蓄積が、全てを預けてついていく演奏として結実したのでしょう。

前回の第4番の時よりカラフル感は薄まったとはいえ、やっぱり所々で「ああ、下野さんと読響で、展覧会の絵も聴いてみたいかも」と思ったのは私だけでしょうか?
しかし、こういうブルックナー・サウンドもいいなあ…と、素直に音のシャワーを浴びました。

もうこれ以上ない…と言って良い高品位のサウンドが終結し、残響が消えて行く…はずが、まさかの女性の方のあっけらかんとした声でのフライング(と言っていいですよね?)のブラボー。
会場は一気に(たぶん)落胆の空気が…。
それまでの幸せ感いっぱいの空気との落差は絶大。
(拍手にかき消されて会場全体には響いていなかったと思いますが)御本人は全く悪びれずに、その後も何度も叫び続けていました。
(私、比較的近い席でした。)
演奏中は、会場全体が集中力があり、フラブラの心配を全くせずに最後まで行って、最後の最後に足をすくわれた気分です。
あっけらかんとした声に、怒る気も失せて、ただただ無力感を感じました。
(演奏会というものは、たった一人で、その他大勢、約2000人を撃沈できるのです。)

ともあれ、下野さんの読響正指揮者卒業演奏会。
ブルックナー:交響曲第5番「フラブラ付き」(←何度もすみません)。
何度も同じことを書きますが、会場が落胆からなんとか立ち直り、盛大な拍手とブラボーになるまで、それなりに時間がかかりましたが、オケから下野さんに花束贈呈もあり、最後はソロカーテンコールでお開き。

下野さん、いろいろな意味で(!)お疲れ様でした!

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コメント

あぁっ、なぜにブル5でフラブラができるのか。一体80分間、彼女は何を聴いていたのか・・・。ブルックナーに辛抱できない聴衆があちこちで細かい音をたてる中、漸く第3・第4楽章と演奏の集中が高まり高揚感を見せフィナーレを迎えた中でのよもやの大惨事に、私も大きく落胆、今も殆ど立ち直れないままです。
4月のアルミンクさん、5月の飯守さんの演奏会には、彼女は入場禁止にしてほしい。5番の再チャレンジです。

投稿: 黒猫 | 2013年2月20日 (水) 22時56分

私も2階前方席で聴いていました。
まったく・・直後のブラボーには参りました。
今日も素晴らしい演奏でした。

私は月曜日もサントリー定期公演のLA前方席にて
聴いてきました。
定期公演ではフライングブラボーもなくしっかり余韻に浸ることができました。
同じ演奏でも初回に聴いた方が緊張感が聴く側にもあったせいか聴いていて自然に涙ぐんでしまいました。
結構目頭を熱くされていた方がいらっしゃった様に見受けられました。
 下野さんも2楽章と4楽章終了後涙ぐんでいたように見えました(一般参賀では完全に泣いていたようです)・・・こちらも泣けました

今日(20日)の演奏はフライングブラボーでややシラケ感があったのか? 定期演奏会との客層の違いか?
終演後の感じが違っていたようです。

しかし演奏自体は卒業演奏にふさわしく2日ともすばらしいと思います。
 

投稿: 炎のタロー | 2013年2月20日 (水) 23時39分

黒猫様
あの声の感じからすると、声の主は、良いことをしたと思い込んでいる(たぶん)だけに、また遭遇しないことを祈るばかりです。

投稿: 稲毛海岸 | 2013年2月20日 (水) 23時59分

炎のタローさま
私は座った席の位置が良かったので、演奏中の客席ノイズはほとんど気にならなかったので、たった一人の方のために…(以下略)。
想像ですが、“困った方”の含有率は、1%に満たないと思うんですけどねぇ…。

投稿: 稲毛海岸 | 2013年2月21日 (木) 00時05分

フラブラは本当にやめてほしいですね。2月18日は開演前に「指揮者が手をおろすまでは拍手はしないでください」というようなアナウンスがありました。それが効いたかどうかはわかりませんが、ほぼ完璧と思えるぐらいの間があった後での拍手でした。

投稿: Celi | 2013年2月21日 (木) 23時43分

Celiさま
この日もアナウンスはあったんですけどね。
会場の落胆の空気は、形容しがたいものがありました。

投稿: 稲毛海岸 | 2013年2月22日 (金) 00時03分

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