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2013年2月21日 (木)

飯守泰次郎/東京シティ・フィル(2013/2/21)

2013年2月21日(木)19:00
東京芸術劇場コンサートホール

指揮:飯守泰次郎
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(都民芸術フェスティバル
オーケストラ・シリーズNo.44)
ヴァイオリン:前橋汀子

ムソルグスキー:禿山の一夜
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番~ガボット
(アンコール)
ベートーヴェン:交響曲第5番
バッハ:管弦楽組曲第3番~(G線上の)アリア(エア)
(アンコール)

ゲスト奏者がそれなりに多いはずの東京シティ・フィルが、一糸乱れず追従し、炸裂することの快感!
アンコールは偶然か必然か、どちらもバッハでした。

まず、ムソルグスキー。
切れ味鋭い上に重みのある音がズシーンととどろく。
一瞬、飯守さんが振ると何でもワーグナー…と思いかけましたが、そんなことはありません。
まぎれもないロシア系の音。
ロシア系と言っても、(テミルカーノフさんのような)西欧的な洗練された側面のロシアではなく、土俗的な側面のロシアの方です。
チャイコフスキー・ツィクルスで何度も聴いた、あの音でした。

続く、前橋汀子さんの独奏によるブルッフ。
私は前橋さんの演奏はどちらかというと苦手なので、集中せずにまったり聴いていましたが、今日に限っては素直に楽しめたのは不思議。
研ぎすまされているとは言い難い太筆の演奏であることに変わりありませんが…。
いつもなら前橋さんの演歌調の弾き回しにちょっとひいてしまう私ですが、今日はあまりそういう面を感じなかったのは、私がぼーっと聴いていたためでしょうか?
バックのオケは文句無しの飯守さんの重低音でした。

前橋汀子さんの、協奏曲の後のアンコール、バッハの無伴奏も、音は太め、音程はちょっと甘め?
でも、臆することなく豪腕で弾かれると、それ相応の説得力。
以前の私は、思いっきり引いてしまっていたスタイルの演奏だが、なぜか本日は素直に浸ることが出来ました。

休憩後は「お約束の」と言って良い「飯守さんの」ベートーヴェン。
いつものことですが、あの動きで、よく揃いますねぇ。
それも、おそらく全奏者全く迷いなく、躊躇なく、思いっきり音を出して…。
当然、発せられる音は鋭く、強く、重い。

練習でどこまでやったかは存じ上げませんが、微妙なひねり…1秒未満の、一瞬の、絶妙の間とか、あわわわわあ…というような煽りとか、結構やっているのですけれど、オケは一糸乱れず、迷いもためらいもなく、ピッタリ追従する。
素人目で見ている限り、オケの皆さんは、戸澤コンマスばかりを見て揃えているわけではなく、ちゃんと飯守さんの、親切とは言えない?棒に反応している様子。
このコンビの長年の蓄積も、もちろんあるのでしょうが、それよりも、やはり飯守さんが本番で発するオーラによるものでしょうか?

こうなることはわかっていたけど、やっぱり大興奮のベートーヴェンの後、アンコールは(G線上の)アリア(エア)。
優しいけと芯があり、力強さの片鱗を内包する、美しく、頼もしいバッハ。
確かに、ベートーヴェンの後にふさわしい演奏だったかもしれません。

私はこの「飯守さんの音」が聴きたくて足を運んでいるので、万人に薦められるかどうかはわかりませんが、少なくとも、今宵の会場は…。
いや、オペラシティでの定期同様に「例によって」、客席は湧きに湧いていました。

20130221

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コメント

飯守さんの指揮姿は「ぎったんばっこん」と音がしそうなのに、紡ぎ出される音楽は素晴らしい。いつも不思議です。彼の実直なベト5のお陰で、昨晩の悪夢から立ち直りました。

投稿: 黒猫 | 2013年2月21日 (木) 23時50分

黒猫さま
飯守さんは、本当はサイトウ・メソッドで振れるのに、あえてああいう動きをしているのでしょうかね。
2008年1月27日の「アリアドネ」
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/2008127_d5a1.html
で、こんなにきれいに振る飯守さん、見たことない!という指揮姿を見ました。
私の場合、後にも先にも、あのときだけです。

投稿: 稲毛海岸 | 2013年2月22日 (金) 00時09分

私は2階LB-A席の指揮者の動きが良く見える席で
聴いていました。

飯森さんのギコギコしたタクトの動き、どう見ても
“流れるようなタクトさばき”とは言い難いですが
そばで見ている私も気合?情熱的な動きに思わず入ってしまいました。・・・癖になりそうです

楽団の方も弓の毛が、見ているだけでコンサートマスターをはじめビオラ、チェロの方も数人切れており
気合が入っていた様に感じられました。
全員〝ブラボー〟です。

投稿: 炎のタロー | 2013年2月22日 (金) 21時35分

炎のタローさま
私も飯守さんの演奏会の中毒になったのはここ数年なのですが、まさに今が旬のマエストロだと思います。長生きして90歳になっても指揮台に立ってほしい指揮者です。

投稿: 稲毛海岸 | 2013年2月23日 (土) 13時17分

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