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2013年2月の11件の記事

2013年2月23日 (土)

準・メルクル/N響(2013/2/23)

2013年2月23日(土)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:準・メルクル
NHK交響楽団

(横浜定期演奏会)
ピアノ:ヘルベルト・シュフ

リスト:交響詩「レ・プレリュード」
リスト:ピアノ協奏曲第1番
リスト:ラ・カンパネラ
(アンコール)
サン・サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」

演奏会冒頭は混沌とした響きに感じられて一瞬戸惑いましたが、協奏曲以降はソロもオケも文句無しでした。

が、1曲目の「レ・プレリュード」の混沌とした響き(の印象)、あれは何だったのでしょう?
私の気のせい?
旋律の輪郭が明瞭でなく、何が鳴っているのかよくわかりませんでした。
この日の私の席は音響軽視、視覚重視の席だったので、そのせいかとも思いましたが、混沌とした印象は次第に解消されていった(ように感じられた)ので、何だったのでしょう?という感想になりました。

2曲目の協奏曲では、オケの音は見違えるように切れ味が良くなり、スケール感も炸裂。
独奏のヘルベルト・シュフさんは、多彩な音のパレットを駆使しつつ、切れ味も迫力も、微細なニュアンスも兼ね備えた名人芸。
これは素晴らしい協奏(競争)曲の演奏です。

シュフさんの協奏曲の後のアンコールは「お約束の選曲」かもしれないが、これが本編の協奏曲に勝るとも劣らない超絶技巧。
それも「超絶技巧を感じさせない」超絶技巧、名人芸(←語彙枯渇、ご容赦!)。
さすがのN響の皆さんも、もしかして唖然として見守っていましたかね?

後半の「オルガン付き」では、みなとみらいのオルガンの音色が美しいことは知っていたつもりでしたが、いざ耳にすると、やっぱり耳がとろけるような優しい美しさ。
そしてオルガンだけが突出せずに、オケと完全融合して響いたその音響はお見事!

定期では小さな事故があったと伺っていますが、休憩時間や、出番が来る前の第1楽章の演奏中も、ピアノのおねえさんが鍵盤の上で(音は出さずに手を少し浮かせて)しきりに練習しているのを見て、かえってこちらが不安に…。
しかし実際には、第2楽章前半も、後半も、ピアノが絡む場面は(素人耳には)破綻なく順調に通過した模様。
第1楽章後半のオルガンがしっとりと鳴るべきところで一瞬、かん高い音が出たような気がしたけど、私の気のせいですかね?
まあ、そんなことは些細なこと。
徹頭徹尾、完璧ではなかったかもしれませんが、全般的には、それを補ってあまりある、お仕事モードではない気合いの入った演奏で、満足度高し。
メルクルさんには完全服従でついていくんですね、N響さんも。

…というわけで、演奏会冒頭を除けば、私の席の音響のハンディは脳内補正回路で無問題。
ただ、いつものことではありますが、N響の皆さんの能面のような無表情さは、私はちょっとこわいです。
ましてや、この日は、視覚重視の席だったので、全く笑っていない目線も見えて、結構こわかったです。

さらには、協奏曲の前のチューニングで、コンマスの篠崎さんがピアノを鳴らすのを忘れてオーボエに合図して、茂木さんに指で「ピアノ鳴らしてね」みたいに軽く注意されたりする場面も見ることが出来て、ちょっと面白かったですが、両者とも目は笑っていなかったような気も…。

なお、私事ですが、この日は、みなとみらいでこの演奏会を鑑賞した後、ハシゴして高崎へ行き、群馬交響楽団の定期演奏会を鑑賞する予定でした。
しかし、新幹線が本庄早稲田駅を出発したときに、父が倒れて救急搬送されたとの知らせを受け、高崎駅到着の約10分後には、上りの新幹線に乗車しました。
病院に着いたときには父の意識はすでになく、翌朝、息を引き取りました。
私は、このみなとみらいでの演奏会と、聴けなかった群響定期を、おそらく一生忘れることはないでしょう。

そういうわけで、演奏会鑑賞を、2週間ほどお休みしました。

20130223n

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2013年2月21日 (木)

飯守泰次郎/東京シティ・フィル(2013/2/21)

2013年2月21日(木)19:00
東京芸術劇場コンサートホール

指揮:飯守泰次郎
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(都民芸術フェスティバル
オーケストラ・シリーズNo.44)
ヴァイオリン:前橋汀子

ムソルグスキー:禿山の一夜
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番~ガボット
(アンコール)
ベートーヴェン:交響曲第5番
バッハ:管弦楽組曲第3番~(G線上の)アリア(エア)
(アンコール)

ゲスト奏者がそれなりに多いはずの東京シティ・フィルが、一糸乱れず追従し、炸裂することの快感!
アンコールは偶然か必然か、どちらもバッハでした。

まず、ムソルグスキー。
切れ味鋭い上に重みのある音がズシーンととどろく。
一瞬、飯守さんが振ると何でもワーグナー…と思いかけましたが、そんなことはありません。
まぎれもないロシア系の音。
ロシア系と言っても、(テミルカーノフさんのような)西欧的な洗練された側面のロシアではなく、土俗的な側面のロシアの方です。
チャイコフスキー・ツィクルスで何度も聴いた、あの音でした。

続く、前橋汀子さんの独奏によるブルッフ。
私は前橋さんの演奏はどちらかというと苦手なので、集中せずにまったり聴いていましたが、今日に限っては素直に楽しめたのは不思議。
研ぎすまされているとは言い難い太筆の演奏であることに変わりありませんが…。
いつもなら前橋さんの演歌調の弾き回しにちょっとひいてしまう私ですが、今日はあまりそういう面を感じなかったのは、私がぼーっと聴いていたためでしょうか?
バックのオケは文句無しの飯守さんの重低音でした。

前橋汀子さんの、協奏曲の後のアンコール、バッハの無伴奏も、音は太め、音程はちょっと甘め?
でも、臆することなく豪腕で弾かれると、それ相応の説得力。
以前の私は、思いっきり引いてしまっていたスタイルの演奏だが、なぜか本日は素直に浸ることが出来ました。

休憩後は「お約束の」と言って良い「飯守さんの」ベートーヴェン。
いつものことですが、あの動きで、よく揃いますねぇ。
それも、おそらく全奏者全く迷いなく、躊躇なく、思いっきり音を出して…。
当然、発せられる音は鋭く、強く、重い。

練習でどこまでやったかは存じ上げませんが、微妙なひねり…1秒未満の、一瞬の、絶妙の間とか、あわわわわあ…というような煽りとか、結構やっているのですけれど、オケは一糸乱れず、迷いもためらいもなく、ピッタリ追従する。
素人目で見ている限り、オケの皆さんは、戸澤コンマスばかりを見て揃えているわけではなく、ちゃんと飯守さんの、親切とは言えない?棒に反応している様子。
このコンビの長年の蓄積も、もちろんあるのでしょうが、それよりも、やはり飯守さんが本番で発するオーラによるものでしょうか?

こうなることはわかっていたけど、やっぱり大興奮のベートーヴェンの後、アンコールは(G線上の)アリア(エア)。
優しいけと芯があり、力強さの片鱗を内包する、美しく、頼もしいバッハ。
確かに、ベートーヴェンの後にふさわしい演奏だったかもしれません。

私はこの「飯守さんの音」が聴きたくて足を運んでいるので、万人に薦められるかどうかはわかりませんが、少なくとも、今宵の会場は…。
いや、オペラシティでの定期同様に「例によって」、客席は湧きに湧いていました。

20130221

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2013年2月20日 (水)

下野竜也/読響(2013/2/20)

2013年2月20日(水)19:00
東京芸術劇場コンサートホール

指揮:下野竜也
読売日本交響楽団

(第202回東京芸術劇場名曲シリーズ)

ブルックナー:交響曲第5番

ミスターSのオケだった読響で「普通に良い」ということは「かなり良い」…などと不遜な聴き方をしていたら、全然、普通じゃない、物凄いことになった後半の2つの楽章。
それが粗雑な爆演でないのですから恐れ入りました。
オケから下野さんへ花束贈呈と、ソロカーテンコール1回。

しかし、演奏終了後、残響が消える前に1階席前方の女性の方から、まさかのフライングのブラボー。
一瞬、会場に落胆の空気が漂い、気を取り直して、盛大な拍手とブラボーになるまでしばらく時間がかかったような気がしたのは、私の気のせいでしょうか?

演奏の感想に話しを戻すと、下野さんと読響のブルックナーでは、前回の4番が「ラヴェル編?」と一瞬思ったくらいカラフルな演奏に感じた記憶があります。
今回もサウンドにその片鱗はあるものの、格段に進化(深化)した演奏になっていて素晴らしい。

第1楽章開始直前に、1階席前方の客席から鈴がチリチリ鳴り、その音がおさまるのを待って指揮を始めた?下野さん。
その影響ではないでしょうが、第1楽章冒頭は、若干、肩に力が入って、オケの音の出が微妙に乱れたような気も…。

しかし流れ出せば、そこは長年連れ添った正指揮者。
オケの演奏にもためらいが消え、下野さんの動作が高効率で音に変換されます。
第1楽章も、第2楽章も、普通に良かった!
この読響において、ブルックナーが普通に良い…ということは、相当に良い…と言って良いはず。
…などとエラソーな感想を抱いて聴いていましたが、第3楽章からは、そんな「味わう」「観察する」ような余裕はなくなりました。
熱演…と言って良いのかわかりませんが、下野さんのパワー炸裂!

相当に気合い入りまくりの演奏なのに、高品位なサウンドにて、その熱演を爆演…粗雑な演奏にせずに演奏しきった読響。
やっぱり下野さんとの数年にわたる信頼関係の蓄積が、全てを預けてついていく演奏として結実したのでしょう。

前回の第4番の時よりカラフル感は薄まったとはいえ、やっぱり所々で「ああ、下野さんと読響で、展覧会の絵も聴いてみたいかも」と思ったのは私だけでしょうか?
しかし、こういうブルックナー・サウンドもいいなあ…と、素直に音のシャワーを浴びました。

もうこれ以上ない…と言って良い高品位のサウンドが終結し、残響が消えて行く…はずが、まさかの女性の方のあっけらかんとした声でのフライング(と言っていいですよね?)のブラボー。
会場は一気に(たぶん)落胆の空気が…。
それまでの幸せ感いっぱいの空気との落差は絶大。
(拍手にかき消されて会場全体には響いていなかったと思いますが)御本人は全く悪びれずに、その後も何度も叫び続けていました。
(私、比較的近い席でした。)
演奏中は、会場全体が集中力があり、フラブラの心配を全くせずに最後まで行って、最後の最後に足をすくわれた気分です。
あっけらかんとした声に、怒る気も失せて、ただただ無力感を感じました。
(演奏会というものは、たった一人で、その他大勢、約2000人を撃沈できるのです。)

ともあれ、下野さんの読響正指揮者卒業演奏会。
ブルックナー:交響曲第5番「フラブラ付き」(←何度もすみません)。
何度も同じことを書きますが、会場が落胆からなんとか立ち直り、盛大な拍手とブラボーになるまで、それなりに時間がかかりましたが、オケから下野さんに花束贈呈もあり、最後はソロカーテンコールでお開き。

下野さん、いろいろな意味で(!)お疲れ様でした!

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2013年2月17日 (日)

東京芸術劇場シアターオペラ「カルメン」(2013/2/17)

2013年02月17日(日)14:00
東京芸術劇場コンサートホール

5都市共同制作
東京芸術劇場シアターオペラ
vol.6

ビゼー:歌劇「カルメン」

音楽的には首都圏常設の団体に引けを取らない素晴らしさ。
歌唱は(ほぼ)文句無し。
ピットのオケはシンフォニック!
高水準!…個々にはいろいろありますが…。

オケはコントラバス2人だったので10型かな。
事前の想像以上に厚い響きで…。
でも、分厚くなり過ぎず、小気味良い。
トランペットやカスタネットを、衣装を着て舞台上で鳴らすなど、音響的にも自然で効果的です。
そのピットのオケの雄弁なこと!
いわゆるオペラのオケっぽい絶妙の伴奏とはちょっと違って、シンフォニー・オーケストラのサウンドです。
でも「カルメン」だと、その舞台上とピットが対等に張り合うのが快感になります。

ピットは1階席前方数列(5列くらい?)を撤去しての演奏。
写真はロビーに置かれた撤去された椅子です。

来日組はパワー申し分なし。
ミカエラの小川里美さんも対等以上で、声のパワーは素晴らしい。
カルメンは出だしでは、もう少し毒がほしい感もありましたが、第1幕中盤以降は興が乗って無問題。
でも、終幕は少し息切れしたかな?(私の気のせいかもしれませんが。)

演出は、合唱を円形のステージを取り囲むように配置し、コロシアムの観衆(群衆)に見立てたのは、ホール・オペラとしては効果的な趣向だと思いました。
ただ、設定をスペイン植民地時代のフィリピンのマニラにしたのは、字幕の説明があっても少々わかりにくい(ピンとこない)印象を受けました。
ホール・オペラでは、光線を駆使したとしても、視覚面で相当にハンディがありますので、せっかくの面白い着想が、十分に視覚的に生かされていなかったのは少々残念。
植民地における現地語と支配側言語の交錯を模した日本語歌唱の挿入も、部分的な挿入なので唐突な印象は拭えず、効果は今ひとつに思えました。

合唱は、メインが音大コーラスなのでどんなものかと多少危惧していましたが、これが予想外の(失礼!)大健闘。
もちろん、コロシアムの観客を模した配置で、演技が最小限であったこともプラスに働いたのだと思いますが、ハーモニーもスケールも申し分ありません。

…というわけで、冒頭に述べたように、音楽的には文句なし。
もっとも、これも前述のように、中途半端に日本語歌唱を挟まなかった方が良かったような気もしますが、こういう贅沢な感想を述べられるのも、全般的には高水準の上演であったからです。
正直、ここまで良いとは予想しなかったので、望外の喜びでした。

指揮:井上道義
演出:茂山あきら

カルメン(ジプシーの女、レジスタンス):ジュゼッピーナ・ピウンティ
ドン・ホセ(混血の伍長):ロザリオ・ラ・スピナ
エスカミーリョ(闘牛士):ダニエル・スメギ
ミカエラ(現地人の娘):小川里美
スニガ(現地人の将校):ジョン・ハオ
モラレス(現地人の伍長):三塚至
フラスキータ(レジスタンスの女):鷲尾麻衣
メルセデス(レジスタンスの女):鳥木弥生
ダンカイロ(レジスタンス):晴雅彦
レメンタード(レジスタンス):ジョン・健・ヌッツォ
助演:中村恩恵(コンテンポラリーダンス) 他

管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
コーラス:武蔵野音楽大学
児童合唱:世田谷ジュニア合唱団

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2013年2月16日 (土)

佐渡裕/東京シティ・フィル(2013/2/16)

2013年2月16日(土)14:00
東京オペラシティコンサートホール

指揮:佐渡裕
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(第266回定期演奏会)
フルート:ペーター=ルーカス・グラーフ

ハイドン:交響曲第44番「悲しみ」
モーツァルト:フルート協奏曲第1番
ドビュッシー:シリンクス
(アンコール)
ベートーヴェン:交響曲第7番
モーツァルト:ディヴェルティメントK.136~第1楽章
(アンコール)

やり過ぎ紙一重のベートーヴェンにはもちろん興奮しましたが、ハイドンも素晴らしかった!
グラーフさんのフルートは音色に暖かい温もりがありました。

まず、冒頭のハイドン。
モダンスタイルのハイドンの良さが存分に表れた演奏です。
ピリオド風の片鱗も無い演奏ですが、ある意味、スリリングなスピード感と、攻撃的なリズムがあり、心地良い。
小編成、通常配置のシティ・フィルの音は練り上げられています。
佐渡さんとの十分なリハーサルをした後のツアーの成果でしょう。

グラーフさんを迎えてのモーツァルトのフルート協奏曲のソロは、“切れ味”とは決別した、温もりのある音。
ああ、フルートって、木管楽器だったんだよなーと、当たり前のことに改めて気がつきます。
「こういう風に歳をとりたい!」という見本のようなグラーフ氏の音楽と風貌。
そう、風貌…舞台姿が、格好良すぎ!だったのです。

バックのオケは、ハイドンほど練れていないように感じた箇所もあったような気がしますが、それはたぶんホルンが加わったからでしょうか(偉そうにすみません)。
でも、そのあらを探すよりも、楽しむが勝ち。

グラーフさんは、高齢にもかかわらず息が上がった様子もなく、協奏曲の後にアンコールまで吹きました。
本編同様、温もりのある音でした。

休憩後のベートーヴェンは、第4楽章は、やり過ぎと紙一重の激しい演奏。
しかし、第3楽章まではハイテンションながらも、奇をてらった演奏には感じなかったので、素直に味わい、素直に感激し、最後は素直に興奮することが出来ました。

佐渡さんのベートーヴェンは、2011年の東フィルの第九が、高揚しながらも割と普通に素晴らしい演奏だったので、この日の7番もその方向を予想したのですが、良い意味で裏切られて、やられたー…と、にんまり。
生の醍醐味です。

アンコールのモーツァルトのディヴェルティメント(第1楽章ですよね?)が優美な音で、7番の熱狂、興奮を、優しく、美しく、鎮めてくれる。
ハイドンから始まって、起、承、転(&動転?)、結!
演奏会全体を通してオケから感じたのは、弾力性のある音。
指揮者によっては、轟(ごう)音をとどろかせるこのオケから、爆演でない(7番の4楽章を除く?)熱演を引き出した佐渡さんの指揮。
満足度の高い演奏会でした。

ちなみにこの日は、東京シティ・フィルの定期史上、2回目(たぶん)の全席完売。
前回の史上初の全席完売は、飯守泰次郎さんの常任最後の定期でした。

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2013年2月11日 (月)

ライナー・ホーネック/読響(2013/2/11)

2013年2月11日(月・祝)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮&ヴァイオリン:ライナー・ホーネック
読売日本交響楽団

(第62回みなとみらいホリデー名曲シリーズ)

ロッシーニ:歌劇「泥棒かささぎ」序曲
シューベルト:劇音楽「ロザムンデ」から「間奏曲第2番」「バレエ音楽第2番」
ベートーヴェン:ロマンス第2番
ドヴォルザーク:スラブ舞曲 作品72-2
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
J.シュトラウスII:喜歌劇「こうもり」序曲
J.シュトラウスII:エジプト行進曲
ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・マズルカ「遠方から」
J.シュトラウスII:ワルツ「加速度」
J.シュトラウスII&ヨーゼフ・シュトラウス:ピチカート・ポルカ
ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・シュネル「休暇旅行で」
J.シュトラウスII:ワルツ「南国のばら」
J.シュトラウスII:トリッチ・トラッチ・ポルカ
J.シュトラウスI:ラデツキー行進曲
(アンコール)

ライナー・ホーネックさんの指揮は初めて聴きましたが驚きました。
こんなに良いとは!
オケが鳴る、鳴る、それも美しく。
これは良い時の読響のアンサンブルですよ。
強いてネガティブに見れば、明るく健康的過ぎてもう少し毒が欲しいと言えなくもないですが、それはあら探しというものであって、本職の指揮者でもここまで鳴らせない人はいるのではないでしょうか。

読響から、こんなにウィーン・フィル寄り(←同等とは言いませんが)の音が出るとはびっくり仰天。
ヴァイオリンを弾きながらリードした時よりも、指揮に専念された時の方が良かったりして。
指揮の動作も肩に力が入らず、ふわっと振ってちゃんとオケが鳴りますし。

この音なら、お正月の出稼ぎウィーン・オケ(ウィーン・リング・アンサンブルを除く)には余裕で勝てるのではないでしょうか?(暴言失礼)
いや、もしかしたら、ウィーン交響楽団よりも、ウィーン・フィル寄りの音が出ていたりして(重ね重ねの暴言失礼)。

前半は「泥棒かささぎ」序曲からハンガリー舞曲第1番まで。
本職っぽい、肩に力が入らず、全て刻まず、ふわっとした指揮から高品位の音がオケから出てびっくりです。

ロマンス第2番では、ヴァイオリン独奏を務めながらの指揮。
この曲の前までも、読響から出る“読響とは思えない響き”に酔っていましたが、ホーネックさんが自ら音を出したとたん、(別格…というほどでなかったのが指揮が凄いことを物語る!)その一枚上の極上の音に、さらに酔わされます。

ただ、残念なことに、この曲の演奏中にP席で気持ちが悪くなられた方がいらして、それに対応される周囲と係りの方…というよりも、それを物珍しそうに身を乗り出して見ている方々があまりにも多くいらして、私は途中で気が散ってしまいました。

ロマンス第2番の演奏の後は、ホーネックさんが引っ込んだ後に急病人が運び出されるために長めの間合い。
オケの皆さんも心配そうに見守っていましたが、さすがはプロで、運び出されるとすぐに入場してきたホーネックさんも、読響も、間合い無問題で素晴らしい!

スラブ舞曲はこれ以上ないくらい優美に演奏され、ハンガリー舞曲第1番はかなりシンフォニックに。
この時点で、単に柔らかく美しいだけでない、芯のある音もだすのだなーと感心、感嘆しました。
そしてそれは、休憩後のウィーン音楽ではさらに…。

休憩後は「こうもり」序曲から。
ホーネックさんは、指揮に専念したり、所々ヴァイオリンを弾きながらリードしたり。

面白いもので、ヴァイオリンを弾きながら(←ソロではなく)リードした場面で、ホーネックさんが一瞬早く弾き始めて音が揃わない場面があったり。
専門的なことは存じ上げませんが、やっぱり指揮者はオケよりも一瞬早く出るのね、と思ったり。
でもそれは些細なことです。

「エジプト行進曲」では、弦楽器奏者が声を出しましたが、慣れないことで皆さんあまり大きな声は出ていなかったのかな。
「休暇旅行で」では、声を出す場目なし。
テレビでウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートで、声を出す演奏を見たような気がするけど、記憶違いかな。

最初のうちは硬かった会場の雰囲気が、曲が進むに連れてほぐれ、最後のラデツキーでは手拍子、大喝采。
正直、読響の音をこれだけ“普段と異なる音色”に染められるとは予想もしませんでしたた。
(今シーズンのラインナップ発表時に、なんだ、マンフレート・ホーネックさんではないのか…などと思ったことを陳謝いたします。)
少なくとも今回の曲目に関しては、さすがはウィーン・フィルのコンマス!と言いたくなりました。
(私は、ウィーン・フィルの盲信者でもありませんが。)

なお、曲の途中で気持ちが悪くなられて運び出された方は、運び出された後、意識が戻り、救急車で病院に運ばれたとのことです。
休憩時間に係の方が、周囲の聴衆に説明されていました。
開演前にどういう体調だったのかは存じ上げませんが、周囲を巻き込んで騒ぎになり、お気の毒。
ご本人が一番ショックだったかもしれません。
私は演奏会で急病になったりしたことはありませんが、海外出張中にウィルス性腸炎を発症し、発熱と激しい腹痛で、現地法人の方に病院へ連れて行ってもらった経験もあり、あの時は単に病気になっただけではない精神的ダメージを受けました。
人ごとでない気がしました。

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2013年2月10日 (日)

スダーン/東響(2013/2/10)

2013年2月10日(日)19:00
横浜みなとみらいホール

指揮:ユベール・スダーン
東京交響楽団

(川崎定期演奏会第39回)
コントラルト:ナタリー・シュトゥッツマン

マーラー:歌曲集「亡き子をしのぶ歌」
フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」
ドビュッシー:交響詩「海」
ワーグナー:ヴェーゼンドンクの5つの詩~夢
(アンコール)

私が東響川崎定期をみなとみらいで聴くのは今回が最初(で最後)です。
出だしで、聴き慣れた東響の音とはだいぶ違う雰囲気に感じられ、ホールの違い?と思ったのですが、すぐにいつもの東響に近いハーモニーへ。
気のせいかな?
新国立のピットのハードスケジュールの合間の定期ですが、その影響がどれくらいあったのかは、門外漢の私には不明。
でも、少なくとも流れ出してからは無問題と言って良いでしょう。
スダーン監督の導く音は優しく、慈しむように美しい。

私の席は例によって声を聴くにはハンディのある席でしたが、それでも十分に美しい。
拍手に応える様子から見ても、自身の歌唱も、バックのオケにも、大いに満足されていた様子に見えました。

短い前半の後、すぐに休憩で、後半はフォーレとドビュッシー。
フォーレはもちろん、ドビュッシーですら、スダーン監督の引き出すオケの音には、優しさがあります。
決して複雑化せず、がなりたてず、優美の極み。
もちろん、やわな音ではありませんが…。

新国立「タンホイザー」「愛の妙薬」、定期と短期間に聴くと、東響のデフォルトのサウンドだと思いこんでいた音は、(100%でないにせよ)実はスダーン監督のサウンドであったことに気がつきます。
ドビュッシーの海が、20世紀音楽の予兆のような複雑な曲ではなく、太筆で丁寧に描いたような演奏で、19世紀音楽の末えいのように聴こえたのは逆に発見でした。
プログラム冊子によれば、フォーレが1898-9年の作曲、ドビュッシーが1903-5年の作曲とのことです。

アンコールを紹介するスダーン監督のスピーチは、私の英語力ではほとんど聞き取れませんでしたが、このアンコール曲も、やはり、優しく、優しく、…。

新国立のピットとのハードスケジュールをあまり感じさせない定期。
東響の皆さん、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のようなスケジュール、お疲れさまでした。

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サロネン/フィルハーモニア管弦楽団(2013/2/10)

2013年02月10日(日)14:00
東京芸術劇場コンサートホール

指揮:エサ=ペッカ・サロネン
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

ヴァイオリン:諏訪内晶子

シベリウス:交響詩「ポホヨラの娘」
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

前半で驚いていたら、後半は(当然)さらに凄く、空いた口がふさがりません。
多層的でありながら、なおかつ均質的な驚異のスーパーサウンド。
サロネン様のソロカーテンコールは2回でした。

まず、シベリウスの「ポホヨラの娘」、この、私にはあまり馴染みのない曲が、予想外に良かったです。
こんなに面白い曲でしたっけ?
もちろんサロネン様の手による明瞭な面白さなでしょうが、消え入るような微弱音と研ぎ澄まされた音から、意味ありげに響く強奏まで、音の変化(へんげ)を楽しませていただきました。

一曲目の「ポホヨラの娘」を聴いて、後半がシベリウスの交響曲でないのが残念になったくらいです。
でも、我に返れば、次は交響曲ではないですが、シベリウスのVn協奏曲!
嬉しい!
そして、これがまた、ヴァイオリンもオケも、目の覚めるような演奏でした。

切れ味だとか、スケールの大きさだとか、月並みな言葉で表現出来ない多層的、多次元的な不思議なサウンド。
サロネン様の頭の中は、ブーレーズ爺みたいに23世紀の人類の仕様になっているのでしょうか?

諏訪内さんもオケに全く譲らず…なのか、諏訪内さんに引っ張られてオケもやる気を出したのかは私にはわかりませんが、ソロは自在に動き回り、オケはうねり、両者ともに素晴らしい出来。
そして、諏訪内さん、サロネンと同質の音を持っているかもしれないと感じました。
前半が終わった時点で、拍手も、休憩時間のロビーの熱気も、かなりのものがありました。

「ポホヨラの娘」でサロネン様のシベリウスの交響曲を聴きたくなり、それを癒やすはずのヴァイオリン協奏曲でさらにその思いを増幅され…。
それでも後半の、ストラヴィンスキーの春の祭典という演目に不満があるはずもなく、驚異のスーパーサウンドに唖然、茫然。
(語彙枯渇、同じ言葉の使い回し、失礼!)

作為的なことは…。
結構やっているのだと思うのですが、そのひとつひとつに「なぜ?」という疑問が全く生じない。
強烈な加速は芸劇の残響が消える前で、その変化点がマスクされてしまったりもしましたが、聴き手の脳内補正の範囲内で無問題。

始まって数分間で、これは凄いことになると確信し、その通りで、それでも驚く、驚く、驚く。
分析的に味わっているような余裕はなく、あっという間に数十分が通り過ぎていきました。
あとに残るは、興奮と、感謝と…。

サロネン様のソロカーテンコールは2回。

全席完売とのことで、大入りの会場。
舞台後方のオルガンの前の反響板はおろし、舞台上方の反響板も、結構低い位置までおろされていました。

買えた席は芸劇では比較的良い思い出の多い席でしたので、音が混濁せずに明瞭に聴こえました。
当初、狙った席が買えず、急きょ某プレイガイドの有料会員になって買った席です。
その年会費分は十分に元が取れました。

そうそう、演奏も凄かったですが、客席も休日マチネとは思えない集中力。
春の祭典での残響が消える前の拍手も極少数。

個人的に、睡眠が浅めだったため、体調が今ひとつで、集中力が十分ではなかったのですが、それでもこんな演奏をされたら寝てなどいられません。
そして、…。
チケットを買ったのが最終日で良かった!
…追加の散財をしなくて済みます!

20130210

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2013年2月 9日 (土)

ハウシルト/新日本フィル(2013/2/9)

2013年2月9日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:ヴォルフ=ディ-ター・ハウシルト
新日本フィルハーモニー交響楽団

(新・クラシックへの扉 第27回)
~ゲルハルト・ボッセの想い出に~

J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番
シューベルト:交響曲第8番「グレイト」
シューベルト:「ロザムンデ」間奏曲第3番
(アンコール)

前半も後半も力強い!
エネルギッシュで躍動感のある音楽は、意思の強さと生きる歓びに満ち溢れたものです。
この音の塊を全身に浴びるのは、快感以外の何物でもありません。

チェンバロを弾きながら指揮したバッハの管弦楽組曲第3番は、モダンオケの演奏としては、私にとってはこれ以上望めないくらいの演奏。
もちろんピリオドスタイル台頭以前のスタイルではないでしょうが、ことさらエッジを立てずとも、十分に刺激的。
いや、刺激的という言葉はふさわしくないかもしれません。
突き抜けるというのとも違いますし、重量感というのとも少し違います。
言葉ではうまく形容できませんが、音にパワーがあります。

オケは(対向配置ではなく)通常配置。
(ピカピカの新品っぽかったですが)バロックティンパニ(?)は、モダン寄りの演奏の中では突出して鋭くは叩かず、全体として緊密なアンサンブル。
演奏は、アリア(エア)ですら明るい表情。
ボッセさんの遺志を受け継いで演奏する歓び(?)のようなものを感じる演奏でした。

最初に曲目を見た時は、前半と後半がこんなに統一感を持って感じられるとは予想しませんでした。
バッハとシューベルトが、直系の子孫としてつながる。
前半もエネルギッシュ、後半もエネルギッシュ。
ボッセさんの演奏とはスタイルが異なるにせよ、枯れることがなかったボッセさんの思い出にふさわしい演奏です。

シューベルトの「グレイト」で、この力強い音の連写を浴びていると、個人的体調のせいか、昼食後のせいか、聴いているうちに陶然としてきて、眠ってしまうのではないかと思ったくらいの快感。

最後は弱くしていく方(ディミヌエンドでしたっけ?)の終結。
会場は一瞬戸惑った方も結構いらしたようですが(私も、こちらだとは予想していなかったので、ちょっとだけ虚を突かれました)、拍手が始まってからは大いに湧きました。

マエストロは声の調子が良くないとのことで、代わりに(NJPのステージマネージャーの方かな?)メッセージが日本語で読み上げられました。
アンコールの「ロザムンデ」間奏曲第3番は、再会の場面の曲で、ボッセさんとの再会にふさわしい曲との紹介。
木管楽器のソロの美しいこと!
ボッセさんを偲ぶとともに、2012年10月の定期を病気でキャンセルしたマエストロも、(声はともかく)お元気そうな指揮で何よりです。

20130209

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2013年2月 3日 (日)

新国立「愛の妙薬」(2013/2/3)

2013年2月3日(日)14:00
新国立劇場

ドニゼッティ:愛の妙薬

もちろんシラグーザさんは素晴らしいですが、シラグーザさんの独り舞台でなかったのがさらに嬉しい公演でした。

初日のシラグーザさんの評判が、あまり好調でないといううわさもあって、どんなものかと思いましたが、私としては今日のレベルなら文句無し。
いや、恐れ多くてシラグーザさんを論評など出来ません。
声のパワーもさることながら、劇場全体に木管楽器の音色のように響き渡る声の美しさは、やっぱりシラグーザさん目当て(だけでないにせよ)で足を運んで正解でした。

シラグーザさん以外の歌手も、少数精鋭だけあって、対等に絡みます。
新国立のコーラスのパワーと美しさは、いつものこととは言え、素晴らしい。
ピットの東響はハードスケジュール(タンホイザーに加えて、もうすぐ定期)お疲れ様でございますが、私の期待レベルでは、危惧は杞憂に終わったと言って良いでしょうか。

確かにオケの音は、浅め、軽め、だったかもしれません。
出だしの前奏曲だけは痩せた響き…のやや違和感が強かったのですが、尻上がりに調子を上げて、スリムさを長所にしてスピーディーに旋律を奏でる。
4階席のピットが見えない席で聴いていると、歌手とコーラスに引っ張られて…と一瞬錯覚しましたが、想像するに、東響がマエストロの棒に慣れて来たのもあったのでしょうか。
第2幕の終盤などは、アリアへの合いの手などの音色も、なかなか「らしい」ものになっていたと思いましたし、特に第2幕の最後の方は、軽妙で結構良かったのではないでしょうか。

リエヴさん演出の舞台は、本を模した装置が入れ替わり立ち替わり面白く使われ、飛行機まで登場し、カラフルで視覚効果が楽しい。
私はこういう「目の御馳走」のような舞台は最近は好きになりました。
プレミエの時も「これは楽しい!」と私は気に大いに入ったのですが、その時の評論家の先生の新聞評などでは、ウケは今ひとつだったような記憶があります。
(プレミエの時の会場アンケートに、トーキョー・リングに迫るような新国立の財産が増えましたね、というようなことを書いたくらいなのですが。)

もっとも月日が経つと私の記憶も相当に風化しているようで、今回も新鮮な気持ちで、まるで初めて観るかのような気持ちで観る場面の方が多かったです。
プレミエの時は気がつかなかったのですが、透き通っているスクリーンが、照明を変更して反射を操作してしるのか、瞬時に模様が現れて背景の舞台が隠れる仕掛けは、キンドルなどの電子書籍端末を模したものでしょうか?
(プレミエの頃は、液晶方式ではない電子ペーパー方式のキンドルは、日本国内向けには発売されていなかったので、キンドルの電源オフ時の画面のことは、全く知りませんでした。)
違いますかね?

もちろんシラグーザさんのアリアは、あの数分間だけでもチケットを買って良かった!と思わせるものでしたが、それだけでない総合力で、好印象の公演でした。
終演後の客席で、尾高さんによる来季の演目の説明会がありましたが、尾高さんは話題を遮って、最初に今日の上演の話しから始めたくらいです。

スタッフ
【指揮】ジュリアン・サレムクール
【演出】チェーザレ・リエヴィ
【美術】ルイジ・ペーレゴ
【衣裳】マリーナ・ルクサルド
【照明】立田雄士

キャスト
【アディーナ】ニコル・キャベル
【ネモリーノ】アントニーノ・シラグーザ
【ベルコーレ】成田博之
【ドゥルカマーラ】レナート・ジローラミ
【ジャンネッタ】九嶋香奈枝

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

20130203

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2013年2月 2日 (土)

ラザレフ/日フィル(2013/2/2)

2013年2月2日(土)14:00
きゅりあん大ホール

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィルハーモニー交響楽団

(フレッシュ名曲コンサート)
(第23回きゅりあんスプリングコンサート)
ピアノ:安部まりあ

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー:交響曲第5番
チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」~「4羽の白鳥の踊り」
(アンコール)

本編の交響曲は、例によって豪快。
多少アンサンブルが荒めでも、これだけ鳴らせば快感。
しかも、強め一辺倒ではなく、音にニュアンス豊富。
しかも、アンコールの白鳥で客席の笑いをとるとは…。
ラザレフさんの全力投球は、オケだけでなく客席も巻き込んでマインドコントロール。
こんなマインドコントロールなら大歓迎です。

協奏曲のソリストは私は存じ上げませんでしたが、表情からして結構緊張されていた様子で、もしかしたら音にもそれが??
個人的な好みから言うと、音色のパレットがもう少し多彩になれば…という思いもあったのですが、旋律の流れはまずまず。
オケは協奏曲だからといって手抜きなし。
手抜きが出来るわけがないです、ラザレフさんがにらみをきかせていれば…。
弦楽器群がすぅーっと入ってくるところの処理など、きっと何度も止めて練習したのでは?という揃いよう。

休憩後の交響曲は予想通り。
期待通り。
…なのにこれだけ興奮してしまうのは、やはりラザレフさんの半端でないエネルギーのためでしょうか?
このコンビに、例えばテミルカーノフさんと読響の演奏ような高品位、極上感はあまりありません。
しかし、そんなものはなくても、このコンビなら全く不満になりません。

第2楽章のホルンの音色などにも、磨こうと思えば、まだ磨き上げの余地はあるかもしれません。
でも、おそらくラザレフさんは、それは求めていないのではないでしょうか。
少なくとも現時点では。
そこには萎縮せずに全力で演奏するオケが居ます。

もちろん、これでも相当にオケを鍛えたのだろうという音色にこめられたニュアンスがあります。
それでも本番ではオケを解放し…。
いや、解放はしていないのは豪腕の指揮ぶりで明らかですが、鼓舞し、全く萎縮しない熱演に駆り立てています。

アンコールは先日演奏したエフゲニー・オネーギンのポロネーズか?という予想を裏切って(私が勝手に予想しただけです、すみません)「4羽の白鳥の踊り」。
これが白鳥が羽ばたく仕草はするは、手で虫を取るような仕草はするはで、客席から何度も笑いが…。
この曲で笑いを取るとは、夢想だにしませんでした。
大満足です、これだけ楽しませていただければ。

なお、このホールは私は初めて行きました。
わからないので少なくとも直接音は浴びられるように、かなり前の方の席を買ったのですが、一応その狙いは当たったかもしれません。
そういう場所だったので断言は出来ませんが、残響少なめ?極小?なのかな?
でも、前の方で金管の音のパンチを浴びたのは快感でした。

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