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2013年3月15日 (金)

インキネン/日フィル(2013/3/15)

2013年3月15日(金)19:00
サントリーホール

指揮:ピエタリ・インキネン
日本フィルハーモニー交響楽団

(第648回定期演奏会)

【シベリウス交響曲全曲演奏プロジェクト】
シベリウス:交響曲第1番
シベリウス:交響曲第5番

私は日フィルに「かつての」シベリウス演奏のDNAがどれくらい残っているのか存じ上げませんが、いま首席客演指揮者のポストにインキネンさんが居て、その彼が指揮している…それだけで十分!
21世紀の日フィルのシベリウス!
これは素晴らしい!

比較的演奏される機会が多いとは言え、5番を後に持って来て、それが見事にハマった快感!
これは混濁化ではなく、多様化という正常な進化なのだと、さすがの(ややシベリウスが苦手な)私でもわかります。

でも、まずは第1番で、その繊細な音に驚かされます。
これが、あの日フィルの音ですか!…と思ったのはヤマカズ以来。
ヤマカズと比較することがインキネンさんに失礼なのか、褒めているのか、私にはよくわかりませんが、豪腕のラザレフさんの引きずり回すような音づくりとは異なる方向の音であることは確かです。

その繊細な音が、弦楽合奏はもちろん、金管の強奏に至るまで、北欧の大地、空気、自然を感じさせるかのように響きます。
比較的スタイリッシュな印象もある音ですが、それでいて、まぎれもないインキネンさんの「血」を感じさせる音。
文句無しの「らしい」音。

前半の第1番が終わった時点で幸せいっぱい。
すでに会場の拍手は熱いものでしたが、さほど長く続かなかったのは、続きがあると、皆わかっていたからでしょうか。
その続き、後半の第5番は、さらに進化した多様な音響を、見通し良く鳴らしてホール空間を飾りました。

たまたま私の巡り合わせが悪かったのか、これまでに私が聴いた5番の演奏は、団子状になった、音の固まりに聞こえる演奏が多かったような気がします。
今宵の日フィルの演奏は、この曲が内包する多様な要素を、本当に見通し良く見せてくれました。

その多様性を複雑系にせず、二律背反、三律背反?、四律背反?…を、対立ではなく調和として鳴らしたインキネンさん、おそるべし。
私にとって、この曲の面白さを初めて知ったかのような、目から鱗とはこのことか!というような演奏でした。

渡邉暁雄さんの功績は功績として、日フィルのシベリウス演奏は、新しい時代に入ったと言って良いのではないでしょうか。
首席客演指揮者にインキネンさん。
インキネンさんがシベリウスを振る。
わざわざ20世紀の過去を持ち出さなくても、それだけでキャッチフレーズは十分ではないでしょうか。

日フィルだからと言って、シベリウス演奏が必ず良い演奏になるとは限りません。
ずいぶん前ですが、ある指揮者が若い頃、近年のその方とは比較にならないくらい肩に力が入ってしまった、もどかしいシベリウスの演奏を日フィルで聴いたことがあります。
この日の日フィルは、肩の力の抜けたインキネンさんの指揮に乗って、肩の力の抜けた演奏で、とてつもなく繊細なサウンドを、神経質にならずに演奏してくれました。
やっぱり指揮者の存在感と影響力は大きい。

…というわけで日フィルは、インキネンさんとの21世紀のシベリウスを、これから「伝統」にして行く時代に入ったのではないでしょうか。
「2日目はもっと良くなるだろう」などと感じない日フィルの1日目は、実は、結構、少なかったりします。

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