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2013年4月 4日 (木)

ブリュッヘン/18世紀オーケストラ(2013/4/4)

2013年4月4日(木)19:00
すみだトリフォニーホール

指揮:フランス・ブリュッヘン
18世紀オーケストラ

《ブリュッヘン・プロジェクト》
18世紀オーケストラ&新日本フィル・第1日

べートーヴェン:交響曲第2番
べートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
シューベルト:「ロザムンデ」間奏曲第3番
(アンコール)

“一般参賀”に車椅子のブリュッヘンさんは出て来ないで、コンサートマスターが代理で(?)答礼。
古楽器の性能の限界を突破してしまった壮絶な演奏でした。

車椅子を押してもらって出入りするブリュッヘンさん。
手をかりて指揮台に上がって椅子に腰掛けて指揮。
演奏終了後も手をかりて指揮台から降り、車いすに座る。
一見、痛々しい…。
しかし、痛々しいようでいて、ブリュッヘンさんの顔の表情も、目も、視線も、明るく輝いています!

この演奏、なぜ古楽器がモダン楽器に進化したのか痛いほどわかります。
馬車が高級外車になった…と言ったら言い過ぎなら、軽自動車と高級外車の違いのようです。
しかしこのピュアな音は、モダンオケの新日本フィルがどんなに頑張っても出せない音です。
どちらが良い悪いではなく…。

いや、ブリュッヘンさんが振ると新日本フィルの音だって、驚くほど変わります。
でも、本物の(失礼!)18世紀オケの音は、やっぱり違います。
良い悪いではなく、とにかく違います。
古楽器の性能の限界と、交じりあわずにきれいに分離するピュアな音の二律背反?
前述のように、古楽器からモダン楽器への変化は、技術的には、間違いなく「改良」であることが私のような者にも、嫌でもにもわかります。

前半の第2番は、ああ、テクノロジーとしては限界があるのね…という多少のもどかしさも感じながら聴き始めたのですが、次第に引き込まれ、前半が終わる頃には、素朴でピュアな、分離の良い音にすっかり魅了されている自分がいました。

ああ、ブリュッヘンさんは、やっぱり18世紀オケを連れて来たかったのね…ということがよくわかります。
…と同時に、18世紀オケが帰った後に一人残って、モダンオケの新日本フィルも振りたかったのね…ということも、よくわかります。

後半のべートーヴェン:交響曲第3番「英雄」は、さすがに車椅子での登場では、指揮台に上がりながら振り始めることは出来ませんでしたが、それでも十分に鋭い威力のある音で始まる演奏。
古楽器なのに軽くない音。
鋭さと重厚さを両立させた音。

古楽器の性能の限界は、この演奏では超越してしまったかのよう。
全く枯れていないスリリングですらあるような演奏。
重量感、鋭角さ、スピード感、…。
オケのメンバーのテンションも相当にハイになっています。
コントラバスの女性奏者などは、まるで吠えまくるブルドッグのような雰囲気での演奏。
それだけ皆さんハイになっているのに、個々の奏者のフレージングはハッとするほど繊細で美しい音が出て来る不思議。

アンコールの「ロザムンデ」間奏曲第3番は、さすがに英雄交響曲のようなスケールの大きさとは異なり、比較的しっとりと鳴らした美しい演奏でしたが、エロイカの大熱演の後だけに、ノリノリでもあり、各奏者の自発的な演奏が本当に美しい。

終演後、オケが引き上げても拍手は続き、ブリュッヘンさんの一般参賀か?…と思いきや、出て来て答礼したのはコンサートマスター。
でも、この演奏をリードしたコンサートマスターも、オケの代表として拍手を受ける権利は「あり」でしょう。
ブリュッヘンさん、身体はかなり弱っても、「気」はまだまだ元気!なようです。

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