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2013年5月12日 (日)

テミルカーノフ/読響(2013/5/12)

2013年5月12日(日)14:00
東京芸術劇場

指揮:ユーリ・テミルカーノフ
読売日本交響楽団

(第155回東京芸術劇場マチネーシリーズ)
ピアノ:河村尚子

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
シューベルト:「楽興の時」第3番
(アンコール)
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
エルガー:エニグマ変奏曲~ニムロッド
(アンコール)

御無沙汰をいたしました。
個人的家庭の事情により、忙殺されておりました。
しばらくは平日は全滅となりそうです。
…と言うわけで、久しぶりの演奏会鑑賞です。

奇術師テミルカーノフ!
シルクハットをかぶっていないのが不思議、手先から鳩が出てこないのが不思議なくらいの手つきで、読響から絶妙の音を引き出すマジック!
(いつも、同じようなことを書いてすみません。)

かつて読響の演奏会にあまり通っていなかった頃、これが読響のデフォルトの音だと勘違いした私。
その、デフォルトと勘違いした音との久しぶりの再会。
待ちわびた再会です。
繊細な微弱音から豪快な大音量まで、磨き上げられた気品のある音!

河村尚子さんも相当なものですねー…と、バックのオケの音を聴きながら思いました。
テミルカーノフさんが紡ぎ出す絶妙のオケの音に負けていないピアノ。
オケの音を言葉で形容すると、それがそのままピアノにも当てはまります。

チャーミングな音から轟音まで、粗雑な印象は皆無の、高度にコントロールされたピアノの音。
しかも、縮こまっていなくて、自在に動き回り、ためを作り、歌い、ほえ、ささやく。
そしてそれは、オケも同じ。

ピアノは河村さんであるからして、音が練れているのは当然。
オケも、テミルカーノフさんが指揮しているのだから、音が練れているのは当然。
当然が二つ重なれば、ピアノとオケが融合した驚異の「協奏」曲になるのは必然。

河村尚子さんのアンコールは、楽興の時。
会場の興奮を優しくしずめるかのような美しさ。
河村さんのアンコールは、選曲も含めて、オケのメンバーの前ででしゃばらず、さりとて手を抜かず、さあ、皆さん、休憩にしましょうよ…と優しく前半を締めくくってくれる絶妙の演奏です。

後半は、チャイコフスキーの悲愴交響曲。
有名曲ではあるが、単純な曲でもない曲ですよね。
それを操るテミルカーノフさんの指の動きの、めまぐるしく、絶妙なこと!
その怪しい指先の動きによって紡がれる音は、やっぱり絶妙としか言いようがない音。

クラリネットをはじめとして、コントラバスも、第1ヴァイオリンも、ファゴットも、オケの皆さん、いま、自分が出している音が、信じられなかったのでは?(暴言失礼!)
高度にコントロールされた絶妙過ぎる音です、みんな。

第3楽章と第4楽章を、ほとんど間合いをあけずに演奏しましたが、その瞬間、まるで舞台上の空気がサッと変わったかのよう。
オペラだったら、照明の色を一瞬にして切り替えるような演出をするところでしょう。
しかし、テミルカーノフさんには、演出の視覚効果による手助けは全く不要。
指先さえあれば十分。
何度も体験しているはずですが、毎回舌を巻くマジック。

アンコールのニムロッドは、また聴くことが出来て、この上ない幸せです。
サンクトペテルブルク・フィルとの来日公演でもアンコールに演奏されましたが、前回の読響客演では、エニグマ変奏曲全曲を指揮したんですよね…。
あの時の得難い体験を、少しだけ再体験出来た喜び。
でも、やはり、再度、テミルカーノフさんの指揮で全曲を聴きたくなってしまいました。

テミルカーノフさんの音は、品位があり、上品で、かぐわしい香りを感じるかのよう。
土俗的なロシア音楽ではなく、西欧風の、ちょっとおしゃれなロシア音楽。
ロシアとは地理的に遠いはずの英国のエルガーに、音としては近いチャイコフスキー。
再体験出来て幸せ、幸せ。

20130512

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