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2013年5月の3件の記事

2013年5月25日 (土)

新国立「ナブッコ」(2013/5/25)

2013年5月25日(土)14:00
新国立劇場

ヴェルディ:ナブッコ

やっぱりカリニャーニさんはオペラのマエストロですねー。
去年、「今までコンサートで聴いていたカリニャーニさんは何だったのか」と思ったことを思い出しました。
煽る、煽る、あざとくなく高揚に導く。
東フィルとは思えない(失礼!)ノリの良さ!

歌手陣もかなりのものですねー、特にアビガイッレ。
体型はともかく…。
いや、あの体型ならではの圧倒的な存在感、声量的にも、ビジュアル的にも?
「アビガイッレ」という題名でも良いのでは?と思いました。

圧倒的な存在感と言えば、新国立劇場合唱団の声、パワー全開。
あれだけ動き回らせられながら!

設定を現代に移した演出は視覚的にも面白く、さりとてストーリーや音楽をねじ曲げてもいなくて、私としては好意的に観ました。
何回観ても斬新に感じるかどうかは現時点では私にはわかりませんが、新国立にもこういう演出もあっていいでしょう、と。

ただ、目が慣れてしまったのか、休憩後は前半ほどは視覚を刺激されなかったような気も…。
いや、開演前に場内に入って、すでに幕が開いてショッピングモール?を人が動き回っていたのには、少なからず、おおっ!という、ある種の衝撃があったのです。
でも、休憩時間は幕が降りていました。
(まあ、皆さん、休まないとおけませんしね。)

それでも、コーラスの大群衆を縦横無尽に動かす迫力は(私の頭の中では少し整理がつかなかった印象があったにせよ)ゼッフィレッリのアイーダで感じたような物量作戦の満足感をも感じました。
全然違う方向の演出なのに。

そう、見た目、豪華なのです、セットが。
エスカレーターが動いていないなどというのは愛嬌の範囲。
何よりも、会場に入ったとたん、驚きますし。

ただ、新国立の舞台にしては、場面転換が無く、どんどん崩壊していくとは言え、ずっとあの場面のままなのはどうなのかなぁとも思いました。
経費節減で一極集中でお金をかけたのか、演出の意図なのかは、門外漢の私にはわかりません。

でも、全てを理解したとは口が裂けても言えませんが、視覚的に十分に堪能させていただきました。

この日の私は、ピットの指揮者の姿がなんとか見える席でした。
オペラが本領のマエストロ、カリニャーニさんの、細かすぎずとも、的確に要所要所を押さえた指揮の動作にオケが俊敏に反応しているのが、手に取るように見え、聞こえました。

当然、マエストロの棒に反応したのはピットの中のオケだけではなく、舞台上の歌手陣も然り。
アビガイッレが突出しているかのような印象もありながら、全体としてもまとまっていて、パワー全開。
新国立劇場合唱団の素晴らしさは、いつものことではありまするが…。

ただ、合唱の素晴らしさは素晴らしさとして、舞台装置が少々凝っているので、歌う位置によって音響的に凝縮したり、拡散したり…という印象もありました。
広がって歌った時と、集まって密集して歌った時の音響の違いも同様。
合唱の方々の問題ではなく、演出上、仕方ないことなのでしょうけどね。

ともあれ、少なくとも初回の今回は、「観て良かった!面白かった!」と満足する舞台であり、マエストロが引き出した(押し出した?)音楽も含めて、エキサイティングな体験!でした。

スタッフ
【指揮】パオロ・カリニャーニ
【演出】グラハム・ヴィック
【美術・衣裳】ポール・ブラウン
【照明】ヴォルフガング・ゲッペル

キャスト
【ナブッコ】ルチオ・ガッロ
【アビガイッレ】マリアンネ・コルネッティ
【ザッカーリア】コンスタンティン・ゴルニー
【イズマエーレ】樋口達哉
【フェネーナ】谷口睦美
【アンナ】安藤赴美子
【アブダッロ】内山信吾
【ベルの祭司長】妻屋秀和

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

20130525

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2013年5月12日 (日)

テミルカーノフ/読響(2013/5/12)

2013年5月12日(日)14:00
東京芸術劇場

指揮:ユーリ・テミルカーノフ
読売日本交響楽団

(第155回東京芸術劇場マチネーシリーズ)
ピアノ:河村尚子

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
シューベルト:「楽興の時」第3番
(アンコール)
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
エルガー:エニグマ変奏曲~ニムロッド
(アンコール)

御無沙汰をいたしました。
個人的家庭の事情により、忙殺されておりました。
しばらくは平日は全滅となりそうです。
…と言うわけで、久しぶりの演奏会鑑賞です。

奇術師テミルカーノフ!
シルクハットをかぶっていないのが不思議、手先から鳩が出てこないのが不思議なくらいの手つきで、読響から絶妙の音を引き出すマジック!
(いつも、同じようなことを書いてすみません。)

かつて読響の演奏会にあまり通っていなかった頃、これが読響のデフォルトの音だと勘違いした私。
その、デフォルトと勘違いした音との久しぶりの再会。
待ちわびた再会です。
繊細な微弱音から豪快な大音量まで、磨き上げられた気品のある音!

河村尚子さんも相当なものですねー…と、バックのオケの音を聴きながら思いました。
テミルカーノフさんが紡ぎ出す絶妙のオケの音に負けていないピアノ。
オケの音を言葉で形容すると、それがそのままピアノにも当てはまります。

チャーミングな音から轟音まで、粗雑な印象は皆無の、高度にコントロールされたピアノの音。
しかも、縮こまっていなくて、自在に動き回り、ためを作り、歌い、ほえ、ささやく。
そしてそれは、オケも同じ。

ピアノは河村さんであるからして、音が練れているのは当然。
オケも、テミルカーノフさんが指揮しているのだから、音が練れているのは当然。
当然が二つ重なれば、ピアノとオケが融合した驚異の「協奏」曲になるのは必然。

河村尚子さんのアンコールは、楽興の時。
会場の興奮を優しくしずめるかのような美しさ。
河村さんのアンコールは、選曲も含めて、オケのメンバーの前ででしゃばらず、さりとて手を抜かず、さあ、皆さん、休憩にしましょうよ…と優しく前半を締めくくってくれる絶妙の演奏です。

後半は、チャイコフスキーの悲愴交響曲。
有名曲ではあるが、単純な曲でもない曲ですよね。
それを操るテミルカーノフさんの指の動きの、めまぐるしく、絶妙なこと!
その怪しい指先の動きによって紡がれる音は、やっぱり絶妙としか言いようがない音。

クラリネットをはじめとして、コントラバスも、第1ヴァイオリンも、ファゴットも、オケの皆さん、いま、自分が出している音が、信じられなかったのでは?(暴言失礼!)
高度にコントロールされた絶妙過ぎる音です、みんな。

第3楽章と第4楽章を、ほとんど間合いをあけずに演奏しましたが、その瞬間、まるで舞台上の空気がサッと変わったかのよう。
オペラだったら、照明の色を一瞬にして切り替えるような演出をするところでしょう。
しかし、テミルカーノフさんには、演出の視覚効果による手助けは全く不要。
指先さえあれば十分。
何度も体験しているはずですが、毎回舌を巻くマジック。

アンコールのニムロッドは、また聴くことが出来て、この上ない幸せです。
サンクトペテルブルク・フィルとの来日公演でもアンコールに演奏されましたが、前回の読響客演では、エニグマ変奏曲全曲を指揮したんですよね…。
あの時の得難い体験を、少しだけ再体験出来た喜び。
でも、やはり、再度、テミルカーノフさんの指揮で全曲を聴きたくなってしまいました。

テミルカーノフさんの音は、品位があり、上品で、かぐわしい香りを感じるかのよう。
土俗的なロシア音楽ではなく、西欧風の、ちょっとおしゃれなロシア音楽。
ロシアとは地理的に遠いはずの英国のエルガーに、音としては近いチャイコフスキー。
再体験出来て幸せ、幸せ。

20130512

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2013年5月 3日 (金)

東京二期会「マクベス」(2013/5/3)

2013年5月3日(金)14:00
東京文化会館

ドイツ・ライプツィヒ歌劇場との共同制作
《二期会創立60周年記念公演》
東京二期会オペラ劇場

ヴェルディ:マクベス

「えーーーーっ。演出家って、ここまでやってもいいんですか?誰でも。」
「まさか。コン様クラスになってからじゃないと、やったら次から仕事はありませんよ。いや、“次”の前に、初日の前にクビですよ。」
…というような幕切れに唖然…。

まだ最終日の公演が残っているのでネタバレ禁止ですね。

この幕切れで、私はすぐには拍手は出来ませんでした(のけぞりましたが)。
しかし、音がなり終わるや否や、拍手とブラボーがかかり、まるでブルックナーの9番の後のブラブラのように感じたりして。

カラフルでポップで、コミカルな舞台。
ストーリーの割に明るめのヴェルディの音楽の側面をえぐり出し、その音楽の進行にピッタリ…と私は感じましたが、さて?

私の場合、ヴェルディのオペラの中には、「リゴレット」のように、ストーリーと音楽の明るさの異質感を感じる作品があるのですが、この作品にも多少それを感じていました。
その気持ちを代弁してくれたような演出で、私は嬉しかったですが、人によっては、正当な悲劇の王道を、漫画チックな茶番にするなよ、と思った方がいらしても、不思議ではありません。
もっとも、私の場合は単純で、ビジュアルで「目のご馳走」状態なら何でも良いのですが…。

ヴェルディ自身は「マクベス夫人は、きれいに歌うよりも、演じてほしい」と言っていたそうですが、まさに、歌唱よりも演技を優先した舞台。
特にレディ・マクベスの絶叫調の声(失礼!)。
好悪は分かれるでしょうが、私は好意的に「見ました」。

演出は、さほど(恐れていたほど?)奇抜ではなかったような気もしますが(いや、コン様の名前の先入観のせいで、十分に奇抜だったかもしれませんが)、鈍感な私が気づいただけでも、結構あちこちに仕掛けが。
私は今回、珍しく、事前に対訳に目を通しての鑑賞。
コン様の演出には、この予習は効きました。
対訳のト書きの部分を、演出がひねっているのを十分に体感できました。
ネタバレ禁止につき、具体的には書きませんが。

ピットは良い音をだしていましたねー。
でも、私は普段とはずいぶん異なる位置での鑑賞だったので、「おっと、文化会館でも、こんなしっとりとしたオケの音に聴こえる席もあるのか…」と思いました。
普段よく聴いている位置だったら、どうでしょうね。

最後の最後に「金返せ」と思った方も、おそらく、いらっしゃることでしょう。
歌手は合唱を含めて「役者」でしたし。
ネタバレ禁止モードなので、この辺で終わりにしておきます。

スタッフ
指揮:アレクサンドル・ヴェデルニコフ
演出:ペーター・コンヴィチュニー
装置:ヨルク・コスドルフ
衣裳:ミヒャエラ・マイヤー=ミヒナイ
照明:喜多村貴
演出補:ハイデ・シュトック
演出助手:太田麻衣子
舞台監督:幸泉浩司
公演監督:多田羅迪夫

キャスト
マクベス:小森輝彦
レディ・マクベス:板波利加
マクダフ:井ノ上了吏
バンコー:ジョン ハオ
マルコム:村上公太
マクベス夫人の侍女:野口知香
医者:伊藤純
ダンカン:加賀清孝

合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京交響楽団

20130503

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