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2013年6月の6件の記事

2013年6月30日 (日)

フルシャ/都響(2013/6/30)

2013年6月30日(日)14:00
東京芸術劇場

指揮:ヤクブ・フルシャ
東京都交響楽団

「作曲家の肖像」シリーズVol.92《ドビュッシー》
ハープ:吉野直子

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー:管弦楽のための映像
ドビュッシー:神聖な舞曲と世俗的な舞曲
ドビュッシー:月の光
(アンコール)
ドビュッシー:交響詩「海」

温もりのある優しい音。
心温まるようなドビュッシーは(フルネさん由来の)都響の伝統になるかも?
でも、最後は神がかり的な演奏に…。
指揮者も、オケも、ソリストも、客席も、会場の空間も、研ぎ澄まされた緊張感…と言ったら言い過ぎでしょうか?
(神経質という意味ではありません。)
老巨匠よるブルックナーの“信者の集会”に似た体感すら感じました。

この日は、個人的体調と事情により、ホールに着いて席についたとたん、ホッとして気がゆるんだのか、前半の「映像」で眠気が襲いかかって来まして…。
しかし「イベリア」が終わったところで、満場静寂の中、ブラボーと叫んで下さった方がいらして、おかげで、びっくりして目が覚めました。
あの方に深く感謝申し上げます(?)。

私は「肖像」のシリーズは、かなり久しぶりです。
インバルさんのベートーヴェンが3回あったシーズン以来かもしれません。
会場の聴衆の、休日マチネとは思えない静寂にちょっと驚きました。
カサカサ、ガサゴソの含有率低し(ゼロではありません)。
まるでB定期のような、舞台上と客席の真剣勝負、緊張感。

私はフルシャさんはさほど多くは聴いていないので、ドビュッシーがどういう音になるのか、事前には全く予想がつきませんでした。
牧神…が始まったとたん、ああ、暖かいなぁ…と。
何となく故フルネさんを思い出すような…。
かぐわしい雰囲気が会場を包む。

ドビュッシーにはいろいろなやり方があり、もっとシャープなサウンドにも出来るでしょうし、もっと透明感を出すことも出来るでしょう。
もっと複雑に絡み合う要素を強調するもことも出来るでしょう。
でも、フルシャさんのドビュッシーは、耳あたりが良く、優しい(←「易しい」ではありません)。

複雑系ではないドビュッシー。
しかしそれは、金太郎飴のような均質化された単純な音ではありません。
複雑ではなくても多彩であり、絶妙のニュアンスに彩られています。
暖色系の色彩感を感じる音。
まさにチェコのドビュッシー…と言ったら先入観を持ち過ぎでしょうか…。

もっとも、ネット上の感想を拝見すると、私とだいぶ違う印象を持たれた方が多いようで、もしかしたらこの私の感じたことは、私の座った席の音響の解像度によるものかもしれません。

その暖色系のオケの音の中に清涼感を注入したのが吉野直子さん。
透明感のある音に込められた絶妙の音のニュアンス(語彙枯渇、すみません)。
本編ももちろん素晴らしかったですが、アンコールの「月の光」が、それはもう、何時間でも聴いていたいくらいの美しさ!

前半の「映像」で、あのブラボーで眠気が飛ぶまで睡魔に襲われながら聴いていたのに、偉そうに感想を述べてすみません。

20160630

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2013年6月28日 (金)

バーゼル歌劇場「フィガロの結婚」(2013/6/28)

2013年6月28日(金)18:30
東京文化会館

スイス・バーゼル歌劇場
モーツァルト:フィガロの結婚

ロサンゼルスの高級住宅の設定とのことで、それなりに面白かったですが、装置に高級感をあまり感じなかったり…。
PAは使っていませんよね???

歌手は大半がスリムな体型で、(5階の遠方から観ている分には)ビジュアル的にはスタイリッシュで心地良い。

私はギリギリに会場に着いたので、前半はプログラム冊子を読まずに鑑賞しました。
高級住宅の設定だと知ったのは、第2幕終了後の休憩時間です。
言われてみれば確かに…。
でも、もし、休憩時間にプログラム冊子を読まなかったら…?
その舞台装置、照明の問題か、私が5階席から見下ろしていたせいか、あまり高級感を感じなかったのは私だけでしょうか?
光のあて方で、もっとカラフルにも出来たようにも思うのですが…。
あえてそうしなかったのかな?

歌手の動きも、結構細かい(結構、なまめかしい!)動作をしているかと思うと、棒立ちで歌う場面も多く、現地でのプレミエでの演出はどうだったのかな?と思いました。
いや、決して文句を言うような演技ではないのですが、値段が値段なので…。

ちなみに、私は安いランクの席を、正価で購入しました。
しかし、どうも、いろいろと、ディスカウント・チケットが、正規のルートでも出回っていたようで…。
開演10分前に着いたら、関係者の列の方が、一般入場者より長くて…。
はい、1階席はよく埋まっておりました。
5階からなので、半分くらいしか見えませんが。

閑話休題。

「歌手は小粒が多いようだけど、ケルビーノと伯爵夫人は素晴らしい!」…と思っていたのですが、途中からその判断に自信がなくなりました。
第1幕では“小粒”に感じた歌手が、第2幕では堂々たるハーモニーの重唱に…。
心なしか、文化会館にしては音像がぼやけているような…。
私の気のせい?

これ、PA、使ってませんよね?
う~ん。
某外来有名オペレッタ団体の時にようにスピーカが設置されていたわけではないですし…。
でも、このホールで、こんなに残響…と言うより、カラオケのようなエコーが、かかるものですかね?と…。
私の気のせい?

ピットのオケは、私の席からはよく見えませんでしたが、第1幕で聴いていた印象だと、ヴィブラート控えめっぽい音。
(ノン…かどうかは自信なし。)
でも、第2幕あたりからずいぶん潤いのある…と言うか、艶やかで芳醇な音に…。
私の気のせい?

技巧的には「ホルンが…」という印象はあったものの、スリムな響きにキビキビとしたテンポで、好感を抱いて聴いていたのですが、途中から筋肉質が肥満体に変わったような…。
歌劇場のオケっぽくなくて、最初のうちは歌手とずれる場面もあり、かえってスリリングで面白かったのですが、途中から、芳醇過ぎる音に違和感を感じてしまい…。
私の気のせい?

ピットの中ではなく、舞台と同じ高さの、上手の壁面に置かれたフォルテビアノが秀逸でした。
チェンバロではなくフォルテビアノを用いたことで、機能的かつ多彩な表現が可能になり、かつスピード感も出ていたと思います。
随所に遊びの旋律を織り交ぜていて、思わずニヤリと…。

そのフォルテビアノ奏者は、指揮者の後に舞台上に登場して、一緒にカーテンコールに答礼していました。
確かに良かったです。
良かったですが、途中から音像がぼやけてエコーがかかった音になってしまったように感じたのは、私の気のせい?

すみません、私の気のせいですよね、きっと。

ちなみに、第1幕と第2幕の間、第3幕と第4幕の間は、舞台の配置転換で、休憩ではないのですが、客席の照明を明るくしてしまったため、ぞろぞろとロビーに出て行く人も居て、客席はおしゃべりタイム。
舞台上では、電動ドライバーのビューンという音や、ハンマーで叩いているようなドンドンという音がして、個人的には雰囲気が台無しの体感。
これだったら、10分か15分の休憩にした方が良かったような気も…。
最新鋭の新国立の鮮やかな舞台転換のに慣れすぎですかね?
でも、東京文化会館だって、それなりには…。
今回この来日公演、全国巡業になっているためですかね?

現地で見たら、どうだったのでしょう?

指揮:ジュリアーノ・ベッタ
演出:エルマー・ゲールデン

伯爵夫人:カルメラ・レミージョ
アルマヴィーヴァ伯爵:クリストファー・ボルダック
スザンナ:マヤ・ボーグ
フィガロ:エフゲニー・アレクシエフ
ケルビーノ:フランツィスカ・ゴットヴァルト
マルチェッリーナ:リタ・アホネン
バジリオ:カール=ハインツ・ブラント
バルトロ:アンドリュー・マーフィー

演奏:バーゼル・シンフォニエッタ
合唱:バーゼル歌劇場合唱団

20130628


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2013年6月22日 (土)

ハーディング/新日本フィル(2013/6/22)

2013年6月22日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:ダニエル・ハーディング
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第509回定期演奏会)

マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

実は個人的体調により、眠くて眠くて、恥ずかしながら何度かうつらうつらしたのは認めますが…、おちおち寝てなどいられない、何度も叩き起こしに来る演奏でございまして…。

睡眠不足により、集中力はいつもの半分以下だったのですが、別にこちらから集中しなくても、何度も何度も迫って来る…、いや、襲いかかって来る演奏でございまして…。

私は寝ていたのに等しいのに、この感動と興奮と充足感はどういうこと?と、不思議です!

第4楽章が始まった時に腕時計を見たら15:00頃。
え?もう第4楽章?と思ったものですから。
体感的には「巨人」の第4楽章が始まったくらいの時間の感覚でした。
演奏会が終了したのは15:40くらいだったと思いますが、体感的には「巨人」を聴いたくらいの時間感覚で…。

あの大震災(の後のごたごた?)以降、あまり調子がよろしくなかった(ように感じられた)新日本フィルが、こんなに自信に満ちあふれた演奏でよみがえって、ハーディングさんのタクトに応えてくれて、本当に嬉しい限りです。
あの大震災以降、何度も、何度も、何度も、情けない音(失礼!)で脱力させられたホ○ンが、こんなに頑張った音を聴かせてくれたのは、いったい、いつ以来?
(まだまたさらに上のレベルはあるにせよ。)

以前、何回か(何回も、かな)感じた「NJPがハーディングさんの要求に応えきれていない」というもどかしさを、この日はほとんど感じませんでした。

あの大震災以降、あまり調子がよろしくなかった(しつこくてすみません)NJPが、徐々に復調傾向だったとは言え、「あれ?吹っ切れたかな?」と私が思ったのは、1月のメッツマッハーさんのとき
次のシェフに、楽員の皆さん、忠犬のようにしっぽを振っているかのような…。

この日の演奏も、完全復活!自信を取り戻したNJP!…と言いたくなるような…。
演奏終了後、指揮者が最初に引っ込んだ直後の楽団員の皆さんのはじけっぷりが、それを物語る?
あんな光景、NJPで前回いつ見たことでしょう?

あの大震災で(しつこくてすみません)中止になった演奏会の代替公演として、2011年の6月に聴いたハーディングさんによるマーラーの5番、今となっては…、いや、この日の6番を聴いてしまうと、あのときの演奏は「頑張っていたことは認めますが…」だったような…。

個人的体調、疲労+睡眠不足で集中力欠如だったため、ろくな感想は書けず、すみません。
どこがどうだったか語れません。
部分的にしか思い出せません。
(例:ハンマーの鈍くて重みのある音、なまじ鋭い音よりも、グサッと来ますね。)
そんな鑑賞態度でも、打ちのめされて大満足でございました。

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2013年6月21日 (金)

ヘレヴェッヘ/読響(2013/6/21)

2013年6月21日(金)19:00
サントリーホール

指揮:フィリップ・ヘレヴェッヘ
読売日本交響楽団

(第527回定期演奏会)
チェロ:クレメンス・ハーゲン

シューベルト:交響曲第6番
シューマン:チェロ協奏曲
バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番~アルマンド
(アンコール)
シューマン:交響曲第3番「ライン」

特に最後のラインが秀逸!
高度に融合したハーモニー。
「モダン・オケのピリオド・スタイル」でしか出せない音と言って良いのではないでしょうか。
3曲+1曲とも、結構印象が違って、本当に“面白い”演奏会でした。

まず一曲目のシューベルトの交響曲ですが、第1楽章が少々重く感じたのは私の気のせいでしょうか?
もちろん読響としては軽快な方の音作りだとは思いますが、先日のベートーヴェンや、スダーン/東響あたりと、つい比べてしまい、何となく重量物を引きずりながら走っているかような気も少々…。
フルートが追従可能な速度に合わせた…というのは深読みし過ぎかな?
それでも、第2楽章以降はあまり気にならなくなり、…でも、演奏会が終わってみれば、時間的な長さはともかく、交響曲2曲、協奏曲1曲は少し大変だったのかな?と思ってみたり…。

続くクレメンス・ハーゲンさんによる、シューマンのチェロ協奏曲も面白い。
ハーゲンさんのチェロは、ヘレヴェッヘさんの指揮するオケの音と対比すると、エコーをかけまくったカラオケの歌声のよう。
それでいて、水と油のような異質感をあまり感じないのが面白い。
(面白い、面白いと、語彙枯渇、御容赦を!)
異質感を抱かなかったのは、ハーゲンさんのソロが、朗々と鳴らしながらも拘泥せず、大胆に表現の幅を大きくとり、かつ、比較的スピーディーに推進力を伴って演奏を進めたためでしょうか。
スタイルの違いは横に置いて、惚れ惚れするくらい立派なチェロの音でした。

クレメンス・ハーゲンさんのアンコール、バッハの無伴奏は、ヘレヴェッヘさんも舞台上の空いた椅子に座って聴いていました。
わんわん響くようなチェロの音。
ヘレヴェッヘは途中で少しだけ頭を抱えたような?
「本当は違うんだけどね…まあいいか…」と思ったかどうかは不明です。

そして後半のシューマンのラインが素晴らしい!
読響の複数日公演では結構出くわすことですが、初日のベートーヴェンでは、少し荒いくらいの勢いのある演奏で興奮させ、最終日では高度に融合した極上のハーモニーで驚嘆させる。
形容し難いほど自然で、美しい!

ピリオド意識し過ぎの痩せぎすの音ではない。
暴力的な迫力も、強打もない。
ふっくらとした、手触りの良い音。
しかし、モダンスタイルとはちょっと違うピュアなところのある音。
ホルンの高らかに響く音の美しいこと!

この、ふっくらとした、プラス、ピュアな…という二律背反を両立させた驚異のサウンドは、まさに「モダン・オケによるピリオド・スタイル」@サントリーホール!でしか出せない…すなわち、古楽オケでは出せない…音ではなかったでしょうか。

初日のオール・ベートーヴェン・プロも、今宵の初期ロマン派?プロも、本当にワクワクする、素晴らしい演奏だったと思います。
オケも献身的に弾き、俊敏に反応し、初顔合わせでここまで行けば、次回のヘレヴェッヘさんの読響への再招聘を大いに期待したくなります。

20130621

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2013年6月15日 (土)

ヘレヴェッヘ/読響(2013/6/15)

2013年6月15日(土)14:00
東京芸術劇場

指揮:フィリップ・ヘレヴェッヘ
読売日本交響楽団

(第156回東京芸術劇場マチネーシリーズ)

ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
ベートーヴェン:交響曲第1番
ベートーヴェン:交響曲第7番

爽快!
刺激的!
でも、繊細で、魅惑的な歌い回し。
ティンパニの連打が超・気持ち良いが、それ「だけ」の演奏ではありません。
直前のシャンゼリゼ管弦楽団来日演奏会のチケットは、個人的家庭の事情により、無駄にしてしまいましたので、私は比較は出来ませんが、ここまで読響が俊敏に反応すれば、ヘレヴェッヘの意図は相当に浸透し、指揮者も大満足だったのではないでしょうか?

もちろん対向配置で、コントラバスは一番後ろに横一列に6人。…ということは14型かな。
ティンパニはコントラバスの右横(上手側)。
一応(全員かどうかはともかく)ノン・ヴィブラート。

ヘレヴェッヘさんの指揮は、両手の手のひらを小さく小刻みに動かしていて、あまり大きな身振りではありません。
しかし、オケから出てくる音は、パワフル、エネルギッシュ、鮮烈。
あの手の動きからどうしてこういう音が出るのか、素人にはわかりませんが、編成を刈り込んでいないのに、読響の反応は本当に俊敏。

一撃一撃が、聴き手の私の身体のツボを刺激するかのようで、聴いているうちに、陶然となってきました。
でも、ただむやみに鋭角的なだけではなく、旋律の歌い回しも、ハッとするほど繊細で魅惑的。

読響のベートーヴェンと言えば、ヴァンスカさんやスクロヴァチェフスキさんの、ややそっち寄りのエキサイティングな演奏もありましたが、ヘレヴェッヘさんともなれば、徹底の度合いが違います。
いや、よくぞここまで…と言って良いでしょう。

コリオランの最初の一撃から打ちのめされ、あとはめくるめく音の連射を身体で受け止めて満喫するのみ。
1番と7番で曲のコントラストをつけず、聴いている体感があまり違わなかったのも、後になって興味深く。

私自身は、一時期の「ピリオド・スタイルでないと物足りない」という精神状態は(たぶん)卒業しましたが、モダンスタイルの良い演奏が魅力的なのと同じように、ピリオド・スタイルの良い演奏は、やっぱり、本当に魅惑的と言わざるを得ません。

初顔合わせ初日でここまで行けば、続く演奏会や、何年後かの再招聘の可能性も期待したくなります。
年末の第九でもいいです。
いや、いっそのこと、ヴァンスカさんのときみたいに、ツィクルスにしませんか?読響さん。

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2013年6月14日 (金)

ラザレフ/日フィル(2013/6/14)

2013年6月14日(金)19:00
サントリーホール

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィルハーモニー交響楽団

(第651回定期演奏会)
ピアノ:河村尚子

【ラザレフが刻むロシアの魂《SeasonⅠラフマニノフ》】
ラフマニノフ:カプリッチョ・ボヘミアン
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
パガニーニ(リスト編):カプリース第4番
(アンコール)
ラフマニノフ:交響的舞曲

ご無沙汰しております。
個人的家庭の事情によりいろいろあって、脳の疲労を自覚できるほどですが、何とか生きておりました。

今夜は…。

そろそろ癒されたい…。

…というわけで、久しぶりにサントリーホールへ。

ラザレフさんは豪快だけど結構荒っぽい…という先入観を覆してくれた快演、美演でした。
パワー全開ながら荒れていない音。
日フィルは一段階段を上がったのでしょうか?

一曲目のカプリッチョ・ボヘミアンからして、磨き上げられた美しく繊細でもある音に少し驚きました。
繰り返しになりますが、豪快で大暴れ、その分、荒っぽいところも…という先入観が私にはあったのですが、今宵は荒っぽいと感じるところはほとんどなし。
最後はドカンと鳴らして、客席側を向いて終結…なのはいつもの通りですが、その轟音は、無理やり鼓舞して鳴ら「させた」音ではなく、カラ元気でもなく、自然で…、自然に…、必然性を伴って爆発した音です。
いつもより筋肉質。
中味が詰まっていて、ズシンと重みも感じます。

一曲目から会場は大喝采でしたが、続く河村尚子の独奏によるパガニーニ・ラプソディでは、さらに会場は湧きました。
河村さんのピアノは、どこがどう…となかなか言いようのない自然な演奏で、でも、あちこち聞き所満載で…。
(語彙枯渇御容赦を!)
…ということは、いつもの河村さんで…。
…ということは、十分に情熱的で、躍動し、歌う演奏。
やっぱり川村さんは素晴らしい!

バックのオケも、ピアノと一緒に躍動し、繊細に微弱音を奏で、美しく高揚する。
「競争」曲ではなく、まさに「協奏」曲。
いや、多少はお互いに張り合う場面もあったのかな。
例によって真っ先に手を叩くラザレフさん。

河村尚子さんによるアンコールは、躍動感の連射…といったような楽しくワクワクする演奏。
本編の後では、舞台袖に入る時も、余裕でP席に向かって微笑んでいた河村さんでしたが、さすがにアンコールの後はホッとしてお疲れになったのか、舞台袖では少々バテ気味の表情。
入魂の演奏だったのでしょう。

休憩後の交響的舞曲でも、ラザレフさんと日フィルにしては、驚くほど荒っぽくない。
(暴言失礼!)
よく見ると、ラザレフの大奮闘の指揮はキュー出しまくりなのはいつものことなのですが、いつも感じるような、強引にオケを引きずり回すような印象があまりありません。
自然に、自然に、音が轟きます。

私は先日の横浜定期は聴いていないのでうかつに断定は出来ませんが、
(ネット上では、荒っぽかったというクチコミも??)
このコンビ、一段階段を上がったのかな?と思いました。
まだまだ目指すべき上のレベルはあるにせよ、先生が手取り足取り指示しなくても(まだ十分に指示はしていますが)音が自然に飛び出します。

先日、日フィルはラザレフさんよりインキネンさんの方が、実は相性が良いのでは?と思ったことがありました。
しかし、今宵の演奏を聴くと、他の在京オケのシェフのような、あうんの呼吸の域に、少しだけ近づいたのかな?とも思いました。
まだ道は長いにしても。

最後はラザレフさんは、眼鏡を外して客席側を向く準備。
しかし結局、客席側を向かずにそのまま夢中で(?)フィニッシュ。
マイクがたくさん立っていて、録音しているっぽい様子もありましたが、ライヴ録音らしい、高揚した演奏のCDになるといいですね。

終演後はステージ上でアフタートークがあるとのことでしたが、私は個人的事情により、聞かずに失礼しました。

久しぶりなので耳が甘めかもしれませんがご容赦を。

20130614

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