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2013年9月 6日 (金)

インキネン/日フィル(2013/9/6)

2013年9月6日(金)19:00
サントリーホール

指揮:ピエタリ・インキネン
日本フィルハーモニー交響楽団

(第653回東京定期演奏会)
ソプラノ:エディス・ハーラー
テノール:サイモン・オニール
バリトン:マーティン・スネル

ワーグナー:ジークフリート牧歌
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」第1幕

圧倒的!
重厚ではありません。
重厚でなくたって、多弁雄弁、ファンタスティック、シンフォニック!
そう、シンフォニックなのです。
在京オケで一番ピットに入らない日フィルならではと言って良いのでしょうか。
でも、オペラ的でないという不満は皆無。
ワーグナー・サウンドは、まさに「楽劇」です。
スッキリ系の音の中に多彩なニュアンスの宿るインキネンさんらしいワーグナー・サウンド。
日フィルからここまで気合いの入ったワーグナーが鳴るとは。
十分にドラマティック!です。

まずはジークフリート牧歌。
これが出だしから素晴らしいのなんの。
スタイリッシュで、なおかつ豊かな表情を内包する美しい音。
シベリウスやブルックナーの交響曲すら想起させるような深い音。
ワーグナーの交響曲の楽章のような?

続く「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死は、「イゾルデ付き」。
深い深い音で始まり、ふわっと拡散し…。
不調の時の音もよく存じ上げている日フィルの、今宵は最高に出来の良い時の音(失礼!でも、ほめてます)。
日フィルは、豪腕ラザレフさんよりも、実はインキネンさんの方が相性が良かったりして(暴言失礼)。

そして「愛の死」で、イゾルデが声を出すと、空気は一変。
美しく、伸びのある、余裕の高排気量。
それでもオケは、伴奏の守りに入らず、声に触発されたように雄弁。
満場大喝采。
後半に「ワルキューレ」第1幕が控えていなかったら、拍手はもっと続いたかも、という熱の入った拍手でした。
この時点で会場には「来て良かった!」「得した!」「今日はアタリだ!」の空気が充満。

もし、ワーグナーが交響曲作曲家だったら、さぞかし…と思わせておいて、途中から声の魔力でワーグナーの凄さを示すという意図?
深読みしすぎですかね。
でも、仮にそういう演奏会の流れの演出…だとしたら見事に的中!です。

休憩後の「ワルキューレ」第1幕は、恐ろしいほど気合いの入った低弦のざわめく音で始まり、背筋ゾクゾク、鳥肌が立つかのような体感。
ああ、生きていて良かった!
そして、ジークムントとフンディングの声の対比、ジークリンデの伸びのある声、…!

在京オケで一番ピットに入らない日フィルなのに、…いや、だからこそ(?)最初から最後まで弛緩することなく気合い入りまくりのオケの音。
最後列で出番を待つ楽員さんも、お休みモードではなく、目つき鋭く指揮者と歌手を見つめる。
いやー、歌手があんな声を出し、インキネンさんが精緻な棒でオケから日フィルとは思えない(失礼!)音を出していれば、出番じゃなくなって、見つめざるを得ませんよね。

サントリーホールの豊かな残響で鳴るオケと声は、「まるでミキシングして調整したような音」とすら思いました(←ほめているつもりです)。
歌手の皆さん、日フィルを「ものすごい実力のオケ」と思ってしまったのでは?(暴言失礼!)。

それにしてもインキネンさん、恐るべし。
まさに錬金術のオケの音(失礼!)。
重量感はさほどなくても、これだけ音の要素を散りばめ、そのひとつひとつが表情豊かに歌い、輝く。
こういう演奏を聴けると、5回に2回のアタリでも、日フィルの演奏会に通おうとい気になりますね(重ね重ね失礼)。

なお、ステージ上には、両脇には電光式の字幕。
私の席からはハープとコントラバスの影で、両方とも下の方が見にくかったのは、まあ、ご愛嬌。
字幕にかかる経費がいかほどかは存じ上げませんが、少なからずの出費であることは、想像がつきます。
苦しい予算の中からお金を捻出してまで字幕をつけてくれた日フィル事務局に感謝!!

こんな演奏を聴かされたら、普通だったら翌日の当日券を買ってでも、もう一回聴きに行きますけど、行けないのです。
理由は周知の通り…。

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コメント

私も大変感激しました。
さすがバイロイト音楽祭の常連!!
声量に圧倒されました。

来て良かったと、つくづく思います。
またこのような企画期待したいです。

投稿: 炎のタロー | 2013年9月 7日 (土) 11時27分

炎のタロー様

私は、不勉強にも、歌手の名前を存じ上げず、声を聴いて、「この人たち、何者?」と仰天しました。
バイロイトの常連だったのですね!
よくぞ、呼んでくれました。
希有の体験をさせていただきました。

投稿: 稲毛海岸 | 2013年9月 7日 (土) 22時57分

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