コンサート/オペラ2013

2013年12月24日 (火)

インバル/都響(2013/12/24)

2013年12月24日(月)19:00
東京文化会館

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(都響スペシャル「第九」)
ソプラノ:澤畑恵美
メゾ・ソプラノ:竹本節子
テノール:福井敬
バリトン:福島明也
合唱:二期会合唱団

ベートーヴェン:「エグモント」序曲
ベートーヴェン:交響曲第9番

数年前の前回の演奏を克明に覚えているわけではありませんが、格段に進化&深化した演奏だったのではないでしょうか?
「煽り」に近い「表情付け」の多彩なこと!
前回の演奏が「普通に」良い演奏?だったとすれば、今回は「インバル節」が隅々まで徹底!
初日から凄い!

インバルさまの棒は、ツボ、ツボ、ツボ、直撃。
文化会館の音響のハンディをものともせず、重低音が炸裂し、メロディは歌い、終盤の急加速(?)も崩れずに追従し、スピード感とリズム感と迫力がビシバシと決まります。
快感、至福、感動、そして興奮!

このコンビの「いつもの」レベル…ということは「いつもの」ハイレベル!
表情付けが徹底している…などという域を凌駕し、磨き上げ、徹底した上にライヴならではの揺さぶりと煽りが加味されます。

その煽りと揺さぶりに都響がピタリと追従するのもいつものことではありまするが、何度聴いても、毎回驚嘆せざるを得ません。
最終盤で「もしかして、リハーサルよりかなり速くしたのでは?」というような(?)箇所も、崩れずに一瞬で追従モードになり、棒から離れなかった都響、素晴らしい!

でも、オケがピタリと反応するのは手兵であるからまあ当然のこととしても、さすがはプロの独唱者に、プロのコーラスです。
インバルさまの棒にプロのレベルで反応し、オケと融合したハーモニー。
年末の恒例行事ではない第九の演奏になりました。

インバルさまは、第1楽章が終っても腕を下ろさず、続けて演奏したかった模様です。
オケの皆さんの譜めくりがちょっと手間どり、客席からは咳ばらいがおきてしまいましたが…。

その分(?)、第3楽章の前は大休止。
第2楽章の後、舞台袖に引っ込んだインバルさま。
合唱が入場し、独唱が入場して、拍手をしてよいものやら?…と思っていると、インバルさまも独唱の後について入場。
拍手の中、合唱を起立させ、オケも起立させようとしましたが矢部さん応じず(?)
結局、第3楽章の前に、インバルさまが指揮台上で、客席側を向いて答礼してから第3楽章の演奏へ。
…と、どーでもいいことをすみません。

演奏は、やはりシェフと手兵として積み重ねた年月が物語るのでしょうね。
肩に力が入ることもなく、自然体で舞台に姿をあらわすオケの皆さんと指揮者。
出てくる音は、一朝一夕では出来ない、土台がしっかりして、装飾も施された、動く構造物。
このコンビも、間もなく一区切りです。
ベートーヴェンの第九の後は、8番、9番。
その次は、桂冠指揮者に退いて10番…。

なお、蛇足ですが、大野さんの時は希望の席が買えなくて、この日の席から10メートルくらい離れた場所で聴いたら、音が来ない、来ない。
この日は、私のお気に入りの場所が買えたので、音が来る、来る!
違う日の演奏を比べるのもどうかと思いますが、文化会館の音響はよくわかりません。

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2013年12月20日 (金)

インバル/都響(2013/12/20)

2013年12月20日(金)19:00
サントリーホール

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

(第763回定期演奏会Bシリーズ)
ヴァイオリン:庄司紗矢香
ソプラノ:イルディコ・コムロシ
バリトン:マルクス・アイヒェ

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番
ハンガリー民謡より
(アンコール)
バルトーク::歌劇「青ひげ公の城」

「悲劇的」より刺激的!
インバルさまのマーラーでは、最近あまり目立たないシャープなサウンド、炸裂!
「青ひげ…」の前に、紗矢香様の2番が前半とは贅沢三昧!です。

私としては、3.11で中止になった演奏会の中で一番残念だった演目です。
2日連続で聴きたかったのですが、体調を考慮して1日のみの鑑賞に自重。
「東京文化会館ではどう響いたんだろう?」と思わなくもないですが、まずは1日だけでも、聴けたことを感謝すべきでしょう。

まずは、庄司紗矢香様の協奏曲第2番。
外来オケの演奏会などでは、まず聴けない曲。
紗矢香様の演奏でこの曲が聴ける幸せ。
太めの筆でたっぷりと鳴らしながら、全く不安定にならない音程(←絶対音感など持ち合わせていないのに、偉そうにすみません)。

都響の安定感はいつものことですが(と偉そうに言うほど、今年は聴けてませんが)、インバルさまのマーラーなどで最近マイルドに聴こえることもあるサウンドとは違って、今日は鋭い音が炸裂する場面多数。

紗矢香様の“音”がたっぷり40分近く聴けて、アンコールまで弾いていただいて、前半が終った時点で満腹に近い満足感ですが、後半にまだ聴きものが控えているという贅沢。
都響さん、大盤振る舞い!

「青ひげ公の城」は、歌手については私は“反対側”での鑑賞だったので断言は出来ませんが、青ひげはもう少し凄みが欲しいような気もしましたし、ユディットは声に貫禄があり過ぎるような気も…。
まあ、欲を言えば…の好みの問題ですが…。

オケの音は、前半の協奏曲同様に、シャープな音が炸裂。
ただ、尻上がりに音が溶け合って、ややマイルドな聴感になっていったような気がしましたけど、私の気のせいですかね?
まあ、文句を言ったらバチがあたります。

ちょっと驚いたのは、私はP席で聴いていたにもかかわらず、オルガンの前のバンダの音がステージ上の音とほどよく溶け合って、極上の天然サラウンドで聴こえたこと。
よくぞここまでバランスをとりましたね…。
私はいつも安い席が多いので、バンダがここまでバランス良く聞こえるのは、あまり経験がないのです。

マーラーとブルックナーとベートーヴェンだけ指揮者ではないインバル様。
3.11で中止になった演目を、よくぞ「復活」させてくれて、感謝、感謝。
2日とも券を持っていたのに、偉そうに間引き運転で1日だけ聴いて、すみませんでした。

20131220

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2013年12月15日 (日)

ウルバンスキ/東響(2013/12/15)

2013年12月15日(日)14:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
東京交響楽団

(川崎定期演奏会第43回)
ヴァイオリン:神尾真由子

チャイコフスキー:幻想交響曲「ロミオとジュリエット」
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

禁欲的なのか、熱狂的なのか、よくわからない不思議な凄さ!
「スダーン監督後」の東響は、もう始まっているような気がします。
メジャー・バージョンアップのβ版リリース!

それにしても、怪しい宗教の教祖様のような、形容しがたい異様な表情と動作連続のウルバンスキさん。
…あ、春の祭典って、もともとそういう曲でしたっけ…。

一曲目の幻想交響曲「ロミオとジュリエット」では、一瞬、カラヤンの(←生で聴いたことないですけど)チャイコフスキーのような、純音楽的にゴージャスな志向かと思いましたが、それにしては爆発せず、禁欲的。
欲求不満ではないですが、少々呆気にとられます。

同じチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲では、神尾さんとは水と油かな?…と思いましたが、聴感上はさほどでもなく…。
この曲の水と油の演奏としては、前橋汀子さんと川瀬賢太郎さんの演奏を経験しているので(←引き合いに出してすみません)それに比べれば、合わせていた方かも…と思いました。
でも、オケが休みで、ヴァイオリンだけの時と、オケと協奏している時とでは、神尾さんの演奏スタイルが結構違っていたような気も…。
指揮者の威圧力、強し!

でも、個人的に、一時期、神尾さんの演奏にはしっくり来ない時期があったのですが(←と言うほど多く聴いてませんが…。偉そうにすみません。)、今日の神尾さんの音は、結構私の心に響いたことも嬉しかったです。

後半の春の祭典も抑制スタイルかと思いきや、そんなことはなく…。
でも、音が妙になまめかしい。
指揮台のウルバンスキさんの動きを見ると、両手をくねらせ、身をよじり、頭を振り乱し、妖しい宗教の教祖様のよう。
その洗脳が音に変換される!
怪しい。
妖しい!

半狂乱っぽい指揮の動作にもかかわらず、表情付け、間合い、音色の変化など、細部の仕上げも徹底。
これはもう、新しい時代の春の祭典?
でも、案外、この妖しい宗教っぽさは、曲の本質をついているのかな、とも。

こうして後から振り返ると、妖しい宗教のような春の祭典も、禁欲的でうっ積したチャイコフスキーも、実は曲の本質を突いていたのかも…と思えてきます。
ウルバンスキさんに気安くレッテルを貼れなくなりました!

変わった演奏だったという口コミのブラームスは聴けませんでしたが、一筋縄で行かないウルバンスキさんの得体の知れなさの片鱗に触れ、ポスト・スダーン監督の東響には、ノットさんともども、興味を抱かざるを得ません。
前首席客演指揮者に恵まれなかった(←しつこくてすみません)東響のリベンジが、本格的に始まります!

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2013年11月30日 (土)

パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィル(2013/11/30)

2013年11月30日(土)15:00
横浜みなとみらいホール

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団

フロレスタン:ブルクハルト・フリッツ
レオノーレ:エミリー・マギー
ロッコ:ディミトリー・イヴァシュチェンコ
マルツェリーネ:ゴルダ・シュルツ
ヤッキーノ:ユリアン・プレガルディエン
ドン・ピツァロ:トム・フォックス
ドン・フェルナンド:デトレフ・ロート
語り;ヴォルフ・カーラー
合唱:東京音楽大学合唱団

ベートーヴェン:フィデリオ(演奏会形式)

快感!
このクラスのオケの音、このクラスの歌手によるオペラ、久しく聴いていないかも…と思いました。
歯切れ良く快速な進行も、粗雑でも暴力的でもなく、ただただ、音楽的でした。

この日は私は疲労感が強く、第1幕中盤くらいまでは眠気との戦いでした。
しかし、パーヴォさんの音楽にエネルギーをもらって体調が持ち直し、その後は第2幕の終わりまで集中して鑑賞できました。
音楽の浄化作用を体感したのは今回が初めてではありませんが、音楽の力は偉大です。

…というわけで、歌手がどうの、合唱がどうの…と感想を述べる立場にないのですが、合唱の皆さん、音大コーラスとは思えない(偉そうにすみません)高いレベルにまで音が鍛え上げられていたような…。

私の席は、今回初めて座ったエリアだったので断言は出来ませんが、比較的残響が多いエリアなのでしょうか。
割と、まろやかな音に聴こえたが、よく座るP席で聴いたらどうだったのでしょうか?
それでも、スリリングな音のスピード感は十分。

演奏会形式の場合、演出は良し悪しで、下手にわけのわからない演出がつくなら、何もない方がいい…と思うことが結構あります。
今回はスクリーンへの映像の映写などはなかったのですが、語り手が挿入されていて、個人的好みとしてはちょっと冗長なような、流れを阻害しているような印象を受けました。

語り手の挿入は、プログラム冊子によれば、ドイツ・カンマーフィル版のようで、現地でも登壇した方を起用。
でも、台本片手での声の張り上げ。
私としては、オケと歌手と合唱が素晴らしいだけに、語りに切り替わると違和感が…。
(好みの問題だと思いますが。)

それでも、パーヴォさんの引っ張る音楽は、語りなど必要ないくらいに、エネルギーに満ちています。
(暴言失礼)
歌手も実力者揃いだったのでしょうが、やっぱりパーヴォさんクラスの指揮者の力は偉大です。
それにしても、ドイツ・カンマーフィルも、こんなに凄いとは…。
(またまた暴言ですが、前年にパーヴォさんの指揮で聴いたオケよりも、好印象でした。)

オペラ上演でも、動きが止まって声楽付きの交響曲のようになってしまうことがある終結部のたたみかけは快感、快感。
音楽の方向性は違いますが、小澤さんが振ったウィーン国立歌劇場来日公演のフィデリオにも、コンサートっぽいという意味で通じるものが…。(←ほめてます)

個人的には体調が十分でなくて行こうか迷った公演。
途中、第1幕が終ったら帰ろうかと思ったくらいでしたが、パーヴォさんにエネルギーをもらって、最後は目を輝かせて感激。
勧善懲悪、水戸黄門の快感、めでたし、めでたし。

20131130

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2013年11月24日 (日)

ソヒエフ/N響(2013/11/24)

2013年11月24日(日)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:トゥガン・ソヒエフ
NHK交響楽団

(NHK交響楽団2013横浜定期演奏会)
ヴァイオリン:諏訪内晶子

リャードフ:交響詩「魔の湖」
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第2番
チャイコフスキー:交響曲第5番

こんな音を聴いたら、後半もショスタコーヴィチを聴きたくなるじゃありませんか…という思いを吹き飛ばすチャイコフスキーの凄演!
緻密に構築した熱狂です。

個人的体調(疲労)により、自粛しようか迷ったのですが、ずっと自粛しっぱなしなので、寝ることを覚悟して出かけました。
良かった!
足を運んで良かったと言うべき「本気にさせられた」N響の凄い音。

まず、リャードフの「魔の湖」は、「この曲、こんなに面白い曲でしたっけ?」という、目から鱗が落ちるような、深い深いニュアンスの音。
私はこの曲を生で聴いたのは初めてか、それに近い体験ですが、確かに、CDやFM放送では、わかりませんよね、このニュアンス。
確か、昔、コンドラシン/N響(古過ぎてすみません)の演奏をFM放送で聴いたような気もしますが…。

諏訪内晶子さんの独奏によるショスタコーヴィチの協奏曲は、個人的体調により、強い眠気を感じながらの鑑賞になってしまいました。
覚悟はしていたとは言え、もったいない、猫に小判、豚に真珠。
諏訪内さんの抜群の安定感(たぶん)は当然のこと(たぶん)として、オケの音の鋭いこと! スコーンと伸びる音は全く飽和せずに爽快!
前述のように、後半がショスタコーヴィチの交響曲でないことが残念になってしまいますが、チャイコフスキーの交響曲第5番の演奏が始まったとたん、そんな思いは吹き飛びました。
深く、激しく、雄大で…(語彙枯渇)。

これほどまでに旋律を歌わせながらも感傷的一本槍でなく、嘆き、慈しみ、勇敢になり、咆哮し、芳香を感じさせる。
とても言葉では形容できない多彩、多様。
チャイコフスキーが文学、文章ではなく、音符で記した必然性がそこにあります。
ソヒエフさんの凄いのは、これだけ多様な要素を繰り出しているのに、「あれもこれも」のごちゃ混ぜ感は皆無。
一つ一つの音が唯一無二の必然の音として響く。
細部に至るまで表情付けとニュアンスを徹底しているのに、それを組み上げて、白熱の高揚感に導く。
ソヒエフさん、恐るべし!
10年もしたら、日本のオケなんか、振ってくれなくなるくらい出世されるのでは?

ソヒエフさんにとっては、去年のトゥールーズ・キャピトル管弦楽団来日のガラガラの客席のリベンジのみなとみらいホール。
あの時のようなソヒエフさんのソロカーテンコールはなかったものの、空席ゼロではないものの、そこそこ大入り。
めでたし、めでたし。

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2013年11月17日 (日)

ティーレマン/ウィーン・フィル(2013/11/17)

2013年11月17日(日)16:00
サントリーホール

指揮:クリスティアン・ティーレマン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ウィーン・フィルハーモニー・ウィーク・イン・ジャパン2013
クリスティアン・ティーレマン指揮
ベートーヴェン 交響曲チクルス

ソプラノ:エリン・ウォール
メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
テノール:ミヒャエル・ケーニヒ
バリトン:ロベルト・ホル
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン楽友協会合唱団

ベートーヴェン:交響曲第8番
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」

8番は前プロの序曲ですかい?
「あれ、こんなもん?」と思った前半の印象を、徹底的に覆す第九の充実、凄演。
オケが解散した後のカーテンコール4回。
恐れ入りましたとしか、言いようがございません。

前半の客席からの拍手は、お義理気味の拍手でしたよね、終わってみれば。

個人的体調により、集中できたとは言い難いのですが、この空気を吸うことが出来ただけでも大満足。
もっと凄いウィーン・フィル、もっと凄いティーレマン様があるのかどうかは存じ上げませんが、私はもう、これにて恐れ入りました。

私のウィーン・フィルの生演奏の鑑賞体験は数えられるほどしかありません。
これまでの体験では、高額チケットに舞い上がってしまった自分が悪いのか、本当に「凄い!」と思ったことはほとんどありません。
(ゼロではありませんが。)
むしろ歌劇場管弦楽団としてピットに入ったの時の方が、凄い!素晴らしい!と思ったことが多いくらい。

この日も前半の第8番は、尻上がりに良くなっていきましたし、決して文句を言うような低レベルの演奏ではありませんが、「あれ?こんなもん?」と思ったことは事実です。
8番という曲に期待したのが間違いなのだろうか?…などと言ったら、こんどはベートーヴェン様に失礼かな。
でも、この指揮者の名前と、オケの名前のブランド・イメージからして、8番だって期待したくなるじゃございませんか。
いや、決して気の抜けた演奏ではなかったのですよ。
でも、後半を聴いてしまってから振り返ると…。

後半の第九が始まったとき、あれ?音が変わった!と思ったのは私だけでしょうか?
もちろん、前半は合唱のエリアがぽっかり空いた配置でしたから、物理的にも音響が変わったかもしれませんが、それにしても、この音の溶け合い具合と広がり…。
その溶け合った美しい音が、押し寄せては返す様に、ただただ浸るのみ。
どこがどうだったか、よく覚えていません。
日本の年末第九を卑下する意図は全くありませんが、第4楽章の歓喜の歌の崇高なこと!

第九の、特に第4楽章の格調の高さは、憧れていたものにようやく出会った…と言ったら言い過ぎでしょうか?
いや、私個人にとって、ウィーン・フィルの生演奏の鑑賞で、初めて心の底から、ああ、生きていて良かったと思いました。

前半でも後半でも、微妙な一部奏者の音の飛び出しとかはあったような…。
でも、前半のそれと、後半のそれは、全く印象が違います。
後半のそれは、大河のうねり(かなり急流)の中での出来事、無問題。

そして、オケとコーラスの響きの均質性にも驚嘆。
独唱すら、突出せずに全体融和の一要素。
素晴らしい、美しい、崇高、…。

…というわけで、細かいことは全く覚えておらず、十分に集中出来たわけでもなく、ウィーン・フィルの生演奏の鑑賞体験もたいして多くないのに、舞い上がって駄文を垂れ流し、大変失礼いたしました。

ちなみに、この演奏会のチケット、なぜすぐにぴあのシステムにつながって、最安席が買えたのか、いまだに謎です。
なんとなく思い当たる節もないわけではありませんが、いつもその経路がつながりやすいわけでもありません。
門前払いの方がはるかに多いです。
偶然の幸運でしょうかね。

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2013年11月16日 (土)

ソヒエフ/N響(2013/11/16)

2013年11月16日(土)14:00
NHKホール

指揮:トゥガン・ソヒエフ
NHK交響楽団

(第1767回定期公演Cプログラム)
ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー

ボロディン:交響詩「中央アジアの草原で」
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
ラフマニノフ:10の前奏曲Op25~第5番
(アンコール)
プロコフィエフ:交響曲第5番

一曲目のボロディンでの音を聴いて、前年に、トゥールーズ・キャピトル管弦楽団の来日公演で聴いた音は、半分以上ソヒエフさんの音だったのか!と悟りました。
極彩色と言っても良いくらいのカラフルな音。
水彩画風ではなく、油絵風の塗りたくった(←ほめてます)音。
強い意思の込められた音!
よくぞN響を、ここまで…。

よくぞN響をこんな色に染めた…と言いたいところですが、染めたなどというなまやさしいものではありません。
中心部まで色素を浸透させた上で、さらに上質加工の塗装皮膜。
N響が嫌がらず、喜んで染まっていたことは、後の曲の演奏でわかりました。

ベレゾフスキーさんの剛腕と互角に渡りあったラフマニノフの協奏曲
ピアノの音の威力は凄い。
豪快。
しかし続いて鳴り出したオケの音も凄い。
強い。
強いだけでなく、深みがありました。
ピアノの対等に渡り合う表現力。
オケがこんなに雄弁な曲でしたっけ?と思いました。
あの楽器がこんな音を出していたのね…という発見多数。

ソヒエフさんの指揮は、おそらく、計算し尽くして、緻密に組み上げた熱狂でしょう。
だから、最後も、馬鹿騒ぎにならずに頂点を築きます。
聴衆も「今のは何だったんだ?」にならずに、ついて行って熱狂する。
ツボにはまりまくり。

ベレゾフスキーさんのアンコールは、ああ、ピアノだけでこんなに大きな音が出るんだ、こんなに多彩な音が出るんだ…と、改めて思いました。
そして、こんな凄い音の持ち主が、協奏曲でオケと融合した音を奏でていたことに改めて驚きました。

プロコフィエフの交響曲第5番は、もう、めくるめく音に忘我の境地。
N響の「積極的な」「従順ぶり」には驚嘆するしかありません。
本気に「させられた」N響は、やっぱり凄い。

おそらくN響のメンバーは、棒に従うことを全く嫌がってはいないばかりか、棒に従っているという意識は全く無く、棒に従順なつもりも、おそらく意識していなかったのではないでしょうか。
指揮台の辺りに見える「何か動くもの」にインスピレーションを受けながら、自発的にノリノリ状態になっていったのではないでしょうか?
恐ろしや…おそロシア…ソヒエフさんのマインドコントロール!

最初から最後まで、ソヒエフさんの指揮の動作と、それが面白いように音に変換されていく様を満喫しましたが、特に惹きつけられたのは、微細な表情付けオンパレードの第2楽章。
出番でない最後列の金管奏者までが、食い入るように指揮者を見つめていました。

9月10月、11月と、N響定期Cプロ2日目を、同じ席で聴きました。
と言っても、宗旨替えをしてN響定期会員に復帰したわけではなく、割高な一回券で、です。
一回券発売後数日して、迷った末にシーズン会員券を買おうとN響ガイドに電話したら、ローソン・チケットに出ている一回券の方が場所が良くて…。

ブロムシュテットさんノリントンさんに加えて、ソヒエフさんのチケットも買うかどうか、実は少し迷いました。
N響がソヒエフさんを「若い」となめて、従わないのではないか?と。
しかし、それは愚かな考え、無知の極みでした。
ソヒエフさんは、そんな軟弱な若手ではありませんでした。
そのうち、日本では、外来オケしか振らないレベルのビッグネームになるかもしれません。

ちなみに、この日も、全席完売でした。
自分がチケットを買った演奏会が完売になるのは嬉しいことですが、NHKホールでも完売になることが時々あると、N響はAプロ、Cプロの定期公演の会場を、他のホールに移そうなどと、考えないでしょうから、ちょっと複雑な気分ではあります。

20131116n

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2013年11月 9日 (土)

インバル/都響(2013/11/9)

2013年11月9日(土)14:00
東京芸術劇場

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

「作曲家の肖像」シリーズVol.95《マーラー》

マーラー:交響曲第7番

エクストンが、なぜ通常録音のCDに加えて、わざわざワンポイント録音のCDも発売するのか?
それを音で納得させられた驚異のハーモニー。
この騒々しくなりかねない曲を、ここまで、一つの巨大な生き物のように鳴った都響、恐るべし。
鳴らしたインバルさん、恐るべし。

これほどまでにめいっぱい鳴らして、これほど騒々しくなく、まとまり、一体化して迫って来る都響サウンド。
インバルさんも比較的淡々と…いや、淡々と振ってるわけがないのですが、そのように錯覚させられるのは、インバルさんが時折投げる変化球にも、都響が余裕で追従するからです。

鳴り物がジャラジャラ鳴ろうが、それが突出したり、ノイズっぽくなったりしません。
鳴り物さえも一体化したハーモニーの一部分。
あの奇っ怪な第3楽章もグロテスクでなく、あの馬鹿騒ぎになりかねない第5楽章も格調高い。

このコンビの到達点でしょうか?
頂点なのでしょうか?
まだこの先があるのでしょうか?

この日の演奏を聴いて、かつてのフランクフルト放送響とのワンポイント録音のCDを思い出したのは私だけでしょうか?
いや、演奏の細部を覚えているわけではありませんし、CDと生演奏を同列に考えるのは愚かかもしれませんが、バランス調整不要の都響の音!
どこかで聴いたスーパーサウンド。

会場の聴衆も、例によって、ほぼ、定期演奏会並みの集中力。
インバルさんが水分補給のために途中でいったん引っ込んだ時も、オケの中からマンドリンの音が鳴った時も、「なんだ?なんだ?」とざわついたりしません。
(途中で出て行った人はいましたが。)

「さあ、今日も、ひと仕事しましょうかね」みたいに気負いなく登場し、予定調和のように演奏し、芸劇の音響を完全に掌握し、終演後は客席から、さながらコーラスのようなブラボーがかかる。
「都響のデフォルト」は、恐ろしいほどの高打率です。

当然、終演後は、例によってインバルさんの一般参賀ですが、オケが引き上げ始めた後も拍手を続ける人は、先日の第6番の時よりも多かったのではないでしょうか。
お義理でない一般参賀、一回で終わったのが不思議なくらいです。

ちなみに、帰りにロビーでワンポイント録音版のCD(1番と5番が出ています)を買ってしまった私です。

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2013年11月 3日 (日)

インバル/都響(2013/11/3)

2013年11月3日(日)14:00開演
東京芸術劇場

指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

「作曲家の肖像」シリーズVol.94《マーラー》

マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

高機能、高性能、高排気量の都響、インバルさんがアクセルを踏み込もうが、急ハンドルをきろうが、余裕で追随。
客席の集中も、第1楽章を演奏中の地震でも(ホール内も、結構揺れ、そこそこ音がしました)、びくともしませんでした。

個人的事情により、心身ともに疲弊感が蓄積しており、前日のみなとみらいでの演奏会の鑑賞は断念して、昼寝プラス鍼治療に切り替えたくらいでした。
この日もどうしようか迷ったのですが、多少無理して行った甲斐がありました。

会場に向かう電車の中で、ネットの情報から、前日のみなとみらいでの演奏会での出来事を知るりました。
ちょっと心配になりましたが、まあ、今日は会場(聴衆)も変わりますし、奏者も交代とのことなので、きっと無問題だろう…と思っていたのですが、無問題どころか、凄い、凄い。
都響の全く乱れない様も、客席の聴衆の集中も。

いつも同じような感想を述べている気もしますが、全く無理している様子を見せずに、これだけの音響を構築してしまう都響の高機能ぶり、懐の深さは、本当に驚嘆以外の何物でもありません。
決して手を抜いて8割の力で弾いているわけではなく、100%の力で弾いているのだと思いますが、無理している様子が全く感じられないのです。

インバルさんも、しゃかりきになって棒を振って引っ張る様子もなく(それでも、十分に力強い指揮ですが)、ひょい、ひょい、ひょうひょうと振って、トテツモナイ音を鳴らさせる。
ご自分の手の動きに、ここまで都響が反応すれば、振っていてさぞかし気持ちよいのではないでしょうか。

前回の6番の演奏は、就任直前でしたっけ?
あの時もインバルさんは、最後の音が鳴り終わると、さっさと手を下ろして、ことさら静寂を持続させようとはしなかったと思いますが、この日も同様。
拍手はすぐに始まりましたが、盛大なブラボーの声は、インバルさんがオケのメンバーを起立させて、客席側を向いてから。
やっぱり、こうありたいですよね。

最後は、お決まりのソロカーテンコール。

芸劇の客席は、一般的な休日マチネとは雰囲気が違い、ほぼ、定期演奏会並みの集中力です。
まあ、一回券も含めて、今季のこのシリーズのチケットを、早期に入手していた方々が中心ですからね。
どなたかのカバンに付けた鈴が演奏中にチリチリ鳴る…のが、なかったわけではありませんが…。

個人的には体調が十分ではなく、隅から隅まで集中して聴けたわけではなかったのですが、こういう精神的疲弊感の時には、第3楽章のような美しさ、穏やかさよりも、第1、第2、第4楽章の凄まじい攻撃のパルスの方が、雑念を追い出してくれて効果大。

インバルさんと都響の蜜月も、あと数ヶ月で終わってしまいます。
このコンビは、指揮者側も、オケの側も、本当に良いタイミングで結びついたと言って良いのではないでしょうか。
もちろん、都響に種をまいた先人の努力があっての、現在のの都響の充実ぶりではあるのですが、その実った果実を享受している今の自分は、本当に幸せです。

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2013年10月27日 (日)

ラザレフ/日フィル(2013/10/27)

2013年10月27日(日)14:30
東京芸術劇場

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィルハーモニー交響楽団

(第207回サンデーコンサート)
チェロ:横坂源

チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲
マーラー:交響曲第9番

毎回こんなに鼓舞され、引きずり回されたら、身体が持たないでしょ、日フィルの皆さん…って、前夜も演奏したんですよね、これ。
もう、大騒ぎ!
一つ間違えば“空騒ぎ”になりかねない豪快な“大騒ぎ”!
最後までポジティブ!
「英雄の生涯」のような?マーラーの9番??

例によって剛腕でキュー出しまくりのラザレフさん。
そのキューに、よくぞここまで食らいついて行った日フィルのメンバー!
それも、荒々しいだけではなくて、細部の音の磨き上げも十分!

この、諦観のイメージのある曲を、ラザレフさんは、最初から最後までポジティブ!
最後まで負けない!
戦う男、戦い続ける男、ラザレフさん!
こんなに、寂しさもない、諦めもない、むしろ明るいこの曲の演奏を聴いたのは、私は初めてかもしれません。
体感的には、本当に「英雄の生涯」を聴いているかのような気分になってしまったのです、私は。

それにしても、ここまでついて行った日フィルも凄い!と言うべきか、ここまで日フィルの音を磨き上げ、その上で舞台上で引きずり回したラザレフさんが凄い!と言うべきか…。
最後の最後の微弱音の美しさも、明るい表情の音だけに、比類がない美しさです。

最後の最後の微弱音から会場ノイズ(咳)が散見され、ラザレフさんが無音の空間を、手の動きを止めずに指揮し続ける間も、そのノイズが多少あったのは残念でしたが、それによって集中力が切れなかった会場全体の空気。
日フィルの歴史に残る(と偉そうに言うほど多く聴いてませんが)演奏だったのではないでしょうか。

マーラーの演奏を聴いてしまった後では印象が飛んでしまう損な役回りの前半。
十分に良かったとは思いますが、この豪快なマラ9の凄まじい演奏と組み合わせるのが良かったのかなぁ…という思いも少々…。
ソリストはもちろんのこと、オケも手抜きなしの美しさ。
決して「前座」のレベルの演奏ではなかったと思いますが、なにしろ、比べる相手が悪い。

あと、私の個人的な体調の問題ですが、疲れ気味だったこともあって、鑑賞のペース配分が少々難しかったです。
マーラーの第3楽章あたりで、ちょっと疲労感を感じてしまったり…。
最初から気合いを入れて聴き過ぎて、すぐに休憩になって…。

私の個人的体調と、ペース配分のミスは横に置いて、まさに体験出来て良かった!という演奏会、忙中に閑を無理やり作って足を運んだ甲斐がありました。

なお、蛇足ですが、第3楽章あたりで疲労感を覚え、眠気に襲われそうになった私の集中力を呼び戻してくれたのは、近くの席の年配の女性がバッグを開け、飴の包みをガサゴソやる音。
「なんで、ここで飴を取り出さなきゃいけないいんだよ!」
と普段なら怒るかがっかりするところで、そういう精神状態になりかけましたが、でも私も、疲労感でチョコレートか何かで糖分補給をしたい気分もしてきました。
なぜ演奏中に飴の包みをいじる人が後をたたないのか、わかったような気も…(おいおい)。
決して、演奏中の飴の包み紙のガサゴソ音を肯定する派に転じたわけではありませんが、ものの見方をちょっと変えると、視野が広がるものですね。
(でも、やるなら、せめて楽章間にしてほしいですけどね。)

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