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2014年10月の10件の記事

2014年10月25日 (土)

ノリントン/N響(2014/10/25)

2014年10月25日(土)14:00
NHKホール

指揮:ロジャー・ノリントン
NHK交響楽団

(第1791回定期公演Cプログラム)

シューベルト:交響曲第7番「未完成」
シューベルト:交響曲第8番「ザ・グレート」

未完成」の冒頭の低弦、「どこからともなく聞こえてくる」などということはなく、ハッキリとした音で鳴る。
その部分に限らず、あらゆる音が(全てかどうかはともかく)、クッキリと鳴る。
そういう意味では隠し味は効いていません。
しかし、そのクッキリと鳴る音には、微細または大胆に装飾(と言って良いのかどうかは不明)が施されていますので、隠し味が効いていないのか、隠し味が効きすぎているのか、わからなくなります。
…が、そんなことはどうでも良いです。
楽しい!

曲が始まった時、楽章が始まった時、思わずニヤリとしそうになるのですは、あっという間にノリントン・ワールドに引き込まれます。
発見の連続なのに、それが“必然”に思えてきます。
この体験も、いつものことかもしれませんが、それでも毎回毎回ワクワクします。

“ピリオド”の名を借りた“やりたい放題”のようでいて、暴力的にぶっ叩くだけの演奏ではないところがさすがノリ様。
繊細なガラス細工を組み上げて散りばめたよう。
今日はステージ上手のティンパニがよく見える席だったので特に楽しかった!
ティンパニも、あんなに多彩に表情付けして叩いたら、ただのスパイスなどではありません。
主役です。
いや、木管のソロだって、金管の強奏だって…。
そう、全ての楽器が、代わる代わる主役になっていたのでした。
ノリ様の“手のひらの上”かもしれませんが。

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2014年10月24日 (金)

ラザレフ/日フィル(2014/10/24)

2014年10月24日(金)19:00
サントリーホール

指揮:アレクサンドル・ラザレフ
日本フィルハーモニー交響楽団

(第664回東京定期演奏会)

【ラザレフが刻むロシアの魂《SeasonⅢショスタコーヴィチ1》】
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番

どうしちゃったんですか、日フィルさん!!というくらい力みがなく、自然に出る音。
それもあって、ここぞ!というところでホール空間満杯の轟音をとどろかせても、音が濁らず、飽和しない。
微弱音も美しさの極致。
ラザレフさんに「演奏させられていた」時期はもう卒業して、一段上のレベルに“進学”したのでしょうか?

そう言えばラザレフさんも、かつての「キュー出しまくり」の引きずり回すような指揮から、少し「普通の指揮」に近づいたのかな(それでも合図は多いですけど)。
ショスタコーヴィチの最後の音が消えても、延々と指を動かし続けたラザレフさん。
長い沈黙をも指揮していました。
力を抜くのも、一気に脱力せず、かなり長いことかけて…。
あの会場の無音状態、音楽を聴きに行って無音状態というのも禅問答のようですが、無音状態も音楽の一部でした。

ぞっとするような凄み、ナイフを突きつけられたかのような怖さはあまり感じない演奏でしたが、そんなものはラザレフさんは最初から狙ってはいないのでしょう。
そんな演出をしなくたって、曲自体が雄弁、無言、沈黙…で物語る(やっぱりぞっとするような曲です)。

前半の弦楽セレナーデは、「ラザレフさんのチャイコフスキー!」「でも、弦楽合奏だし…」「心配ご無用、大編成(16型?)!」。
かみそりの切れ味と言うよりは、斧でぶった切ったような迫力でしたが、それでも、粗雑や大味にならないのが凄い。
数年前の日フィルでは考えられない(偉そうにすみません)。

少し前までの「剛腕ラザレフさん、繊細インキネンさん」という勝手に決めつけのレッテルは間違いでした(と言うのをここ数回感じています)。
ヤマカズさまも加えて、錬金術師が3人も入れ替わり立ち替わり来れば、そりゃ鉛も金になりますか(日フィルさん、鉛などと言ってごめんなさい)。

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2014年10月20日 (月)

ブラビンズ/都響(2014/10/20)

2014年10月20日(月)19:00
サントリーホール

指揮:マーティン・ブラビンズ
東京都交響楽団

(第776回定期演奏会Bシリーズ)
ピアノ:スティーヴン・オズボーン

ヴォーン・ウィリアムズ:ノーフォーク狂詩曲第1番
ブリテン:ピアノ協奏曲(1945年改訂版)
ドビュッシー:前奏曲集第2巻第10番「カノープ」
(アンコール)
ウォルトン:交響曲第2番

名フィルに取られちゃった(←関東中心目線ですみません!)と恨めしく思っていたブラビンズさんが都響の指揮台に帰ってきました!
名フィルさん、枠を少し分けてくれてありがとうございます!
感謝、感謝!

ブリテンの協奏曲の演奏が終わった瞬間の、指揮者とピアニストの本当に嬉しそうな笑顔が全てを物語るような快演、気合い十分。
明快な音作りのブラビンズさんだから当然…と思ってはいけません。
都響も、よくぞここまで、ブラビンズさんの音を鳴らしました。
ブリテンの協奏曲で、サントリーホールが沸き返る。
でも、演奏の気合いの入り方からすれば、当然の大喝采。

後半のウォルトンの交響曲は、プロコフィエフみたいなウォルトン…と言ったら叱られるかな?
いや、ブラビンズさんの音って、何を聴いてもプロコフィエフっぽく聞こえたりして。
(暴言、妄言、すみません。)
明晰なブラビンズさんらしい爽快サウンド。
尾高さんあたりが振ったら全く違う音色になるのかもしれませんが、私はブラビンズさんのこういう音を待っていたのだから、これはこれで快感のシャワーです。

ブラビンズさん(当時はブラビンスさん)、前回の都響客演は大震災の年でしたね。
節電協力で月曜休みになっていたので、公開ゲネプロも聴けたのでした(不謹慎な物言いですみません)。
名フィルにポストを得たのでもう都響は振らないのかな…と思っていたので、今季ラインナップに名前を見た時は嬉しかったです。

個人的にいろいろあって、この日もどうしようか(自粛しようか)と思ったのですが、名古屋までは行けないので、がんばって行きました。
行って良かったです。

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2014年10月19日 (日)

ウルバンスキ/東響(2014/10/19)

2014年10月19日(日)14:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
東京交響楽団
(川崎定期演奏会 第48回)
ヴァイオリン:庄司紗矢香

キラール:交響詩「クシェサニ」
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲
パガニーニ:「うつろな心」の主題による序奏と変奏曲より
(アンコール)
ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲

一曲目の“秩序あるごった煮”から2曲目に移った時オケの音が、ドヴォルザークにふさわしい艶消しで弾力性のある音に変化したように感じたのは私の先入観のせいでしょうか?
恐るべき複数の音のパレット…なのでしょうか?
「艶やかだけど、過度に華美にならない、節度ある庄司さんのヴァイオリンの音に合わせるなら、オケはこういう音!」と引き出しをあけて音色を出してきた?
(部外者の単なる想像です。)

単純に「こういう指揮者」「こういう音」とレッテルを貼らせない多彩さ無限。
毎回、いや、毎曲、“漠然と抱く予想”を裏切られる楽しさ!

ルトスワフスキでは、最初のうちは「先週のショスタコーヴィチで、こういう音を出すかと思ったよ」などと斜に構えて聴いましたが、そんな単純な図式でないことを思い知らされます。
ハイレゾなんてレベルのものではない驚異的に多彩な音←生演奏だから当たり前…ではないのです。

それにしても、あのはるか地底から響いてくるような、うごめくような微弱音の空恐ろしいこと。
そして、一転、高らかに鳴り響く音さえ、単に開放した音ではなく、完全に指揮棒のコントロール下に置いた、計算ずくの高揚。
凄い。
凄すぎる。

あの「客演枠」の少ない東響で、あっという間に(それでも初回から数年)首席客演指揮者のオファーを受け、多忙な中で年一回(以上)きっちりと来てくれて、来たら毎回鮮烈な印象を残すウルバンスキさん。
「よくぞ、狭き枠の中でポストを得られましたね」ではなく、いつのまにか「よくぞオファーを出して受諾してもらいましたね」に逆転。
東響の未来は明るいですね。
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蛇足:なんとなくパルジファルを思い出すのは私だけでしょうか?
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2014年10月14日 (火)

新国立「パルジファル」(2014/10/14)

2014年10月14日(水)16:00
新国立劇場

ワーグナー:パルジファル
(第2幕、第3幕のみ鑑賞)

先週半休を取ったので、さすがの私も遠慮して第2幕からの鑑賞。
計画通りに第1幕終了後の休憩時間に到着しました。
開演後、2時間半も遅刻したのに、第2幕から観て十分すぎるほど長時間堪能することができたのを喜ぶべきか、長大な第1幕を観れなかったことを悲しむべきか…。
いや、第1幕がどうだったかに関わらず、第2幕、第3幕を観ることが出来たことを感謝すべきでしょう。

まずは第2幕から、前回鑑賞の時よりもさらにオケの音に切れ味が増した印象。
飯守さんの指揮の動作は、私の席からは想像するしかありませんが、おそらくその俊敏な動作に、今日はオケがついて行っている!
炸裂、炸裂、炸裂!
前回も凄かったですけど、微妙に歌手優位にも感じました。
今日は互角以上。
よく聴く飯守マエストロの音(東京シティフィルとかで聴く)とは音色が少し違うにせよ、これはこれで素晴らしい。

花の乙女たちが、舞台上はダンサーのみで、歌手は別の場所から…というのは、私は1回目も今回もわかりませんでした。
前回はボーッと聴いていて。
今回は(東条先生のブログを読んで知っていたので)注意して観ていたけど、4階の端から観ていたのでは…。
(Twitterで教えていただきましたが、ピットの中で歌っていたとのことです。)

ソフトウェア優位の演出という印象は今回も変わらず。
もちろん、新国立の舞台機構という優秀なるハードウェアあってのソフトウェアだとは思いますが、2回目で多少覚えていても、光線の豹変、炸裂!は、まばゆいばかり。
そして、もちろん、マエストロの音あってこその光の効果です。

第3幕終了後、私はすぐに拍手が出来ませんでした。
素晴らしかった。
素晴らしかった。
本当に素晴らしい第3幕。

ピットの東フィルも、ウソのように気合い入りまくり。
何度も、何度も、東フィルさん、今日は違うではないですか!と思いました。
いや、96点と99点くらいの僅差なんですよ。
でも、その僅差が聴感に与える印象の差は大きい。
歌手は元々良いのだから、ピットが万全なら言うことなし。
第3幕が終わった後の充足感と言ったら…。

この日の私の席は4階の左端の方だったので、終幕の僧侶の姿は全く見えず。
先日の公演では見ていたので、脳内補正しましたけど。
同じ階の、同じ列なのに、左右の位置で相当に印象が違う(値段も違うけど)。
でも、それも含めて面白かったです。

例によって個人的バイアスが入ってますが、飯守泰次郎さんが「本来立つべき場所」に立ったのを目の当たりにして、もう目がうるうる。
就任が発表された時の報じられ方には、ややネガティヴな論調も一部にあったような気もしますが、「さあ、これでいかがでしょうか?」と提示された開幕の“舞台一式”の素晴らしさ!
「文句あるか!」ですね。

ピットの中の飯守泰次郎さんが見える席を買わなかったのを後悔していますが、今の私の生活では、券を無駄にするリスクが大きくて、高い券は買えない私。
(買えない「高い」は値段のことです。席の位置は十分に「高い」です。)

拍手はまだ続いていたのに、場内アナウンス「本日はご来場…」が拍手を止めてしまったのはいかがなものかと思いますが…。
まあ、千秋楽の上演があまりにも素晴らしかったから、いいです。

スタッフ
【指揮】飯守泰次郎
【演出】ハリー・クプファー
【演出補】デレク・ギンペル
【装置】ハンス・シャヴェルノッホ
【衣裳】ヤン・タックス
【照明】ユルゲン・ホフマン

キャスト
【アムフォルタス】エギルス・シリンス
【ティトゥレル】長谷川 顯
【グルネマンツ】ジョン・トムリンソン
【パルジファル】クリスティアン・フランツ
【クリングゾル】ロバート・ボーク
【クンドリー】エヴェリン・ヘルリツィウス
【第1・第2 の聖杯騎士】村上公太/北川辰彦
【4人の小姓】九嶋香奈枝/國光ともこ鈴木 准/小原啓楼
【花の乙女たち】三宅理恵/鵜木絵里/小野美咲針生美智子/小林沙羅/増田弥生
【アルトソロ】池田香織

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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2014年10月12日 (日)

ウルバンスキ/東響(2014/10/12)

2014年10月12日(日)14:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
東京交響楽団

(名曲全集第101回)

ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」

あの気色悪い「春の祭典」の演奏からすると、随分綺麗に鳴らした感もありますが、表面的に綺麗なだけではないのがウルバンスキさんの非凡なところ。
スマートに振っていたように見えたウルバンスキさんが、終演直後、客席を向く前にハンカチを取り出して大汗を入念に拭っていたのもビックリ。

ウルバンスキさんは、そんなに回数多くは聴いてはいないのですが、毎回少しずつ意表を突かれています。
先ほど書いた、前年12月の「春の祭典」もそうでした。
そして、その鮮烈な印象がまだ残っているのに今回は、スッキリ爽快。
ラザレフさんだったら許さないくらい、ピュアなショスタコーヴィチ・サウンド。

私の席の位置も影響したのかどうかわかりませんが、轟音が襲いかかってくる体感は皆無。
純度の高い音が、時には本当に微細、繊細な音としてくっきり聞こえる。

ミューザの音響効果を最大限に生かした音にも感じられましたが、基本的な解釈は変えてないでしょうし…。
キレイキレイだけど、テミルカーノフさん並みに(暴言失礼)微細なニュアンスを内包したサウンド。
細部にこだわった上での、細部を意識させない綺麗さ。

過密スケジュールの影響やいかに?…と危惧していたのは門外漢の聴衆の私であって、東響さんにとっては、これくらいの過密スケジュールは日常茶飯事。
心配は全く無用の、定期演奏会のステージにのせても良いような高水準の演奏でした。

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2014年10月11日 (土)

スクロヴァチェフスキ/読響(2014/10/11)

2014年10月11日(土)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
読売日本交響楽団

(第75回みなとみらいホリデー名曲シリーズ)

ブルックナー:交響曲第0番
ベートーヴェン:交響曲第7番

とんがっている音だけど、その最先端は、微細な面取り加工が施されているような極上仕上げの音と言って良いのでしょうか?

ブルックナーの交響曲第0番は、大作曲家若書きの作品。
それにふさわしく若々しく指揮したのは、外観だけ(?)老大家で内面は青年のミスターS。
…と言いたいところですが、年齢を重ねた深化もあることは事実です。
ブルックナーの有名曲に比べて軽量級の曲ではあるのでしょうが、そこはブルックナー、二流作曲家ではなく、音楽史に名前を残す大作曲家の作品であることも事実。
私は個人的に「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉に疑念を抱いておりますが、(ブルックナーに限らず数多くの作曲家で)どう聴いても、「鶏口」よりも「牛後」の方が…。

そして、もうひとつ言えることは、鳴る音に対して、指揮者の貢献度(指揮者の力量の差)は馬鹿に出来ないほど絶大であること。
作曲家が居なければ音は生まれないのは当然として、それを演奏する皆さんが居て、初めて音に成る(鳴る)。
その時の指揮者は、作曲家とオーケストラの寄生虫などでは決して無く、指揮者の絶大なる解釈と統率力無くして、名曲は音に成らない(鳴らない)と思います。

ミスターSがブルックナーを振る!
それだけで、こういう音が鳴ることは自明の理。
自明の理だけど、目の前で鳴らされると、のけぞるほとの音の威力。
第3楽章冒頭など、腰を抜かさんばかりでございまする。

休憩後のベートーヴェンは、若い頃(と言っても、私が聴き始めたのは80歳代)に比べて少し音が丸く、まろやかになったのかな?
それでも、決して“枯れた”演奏などではなく、音が迫ってくること、この上なし。
第2楽章など、さらさら流れていくようでいて、本当に味わい深い。
全楽章をほどんど間を置かずに指揮した集中力。
舞台袖との出入りはさすがにかなりゆっくりになりましたが、全曲起立しての体力。

私事ながら、昨年亡くした私の父の享年は82歳。
ミスターGは91歳。

みなとみらいのマチネだったので、ソロカーテンコール無し。
おそらく2日前の定期演奏会(行けませんでした)とは会場の雰囲気も違ったのかな。
大喝采だけど、教祖様に贈る拍手のようではありませんでした。
でも、終演後のロビーは、皆さん、表情が明るかったです。

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2014年10月 8日 (水)

新国立「パルジファル」(2014/10/08)

2014年10月8日(水)14:00
新国立劇場

ワーグナー:パルジファル

私は飯守泰次郎さんのファンなので、マエストロがあそこ(ピット、カーテンコールの舞台)に立っている姿を見ただけで、ようやくこの時代が来た…と、うるうるしてしまいました。
それも単なる“お呼ばれ”の指揮者ではなく、監督として、オープニングで(←個人的バイアスあが入っています)。

第1幕、トイレの心配をするくらいの長さですが、なんか、あっという間に終わった感じ。
何度もすみませんが、飯守泰次郎さんが“本来立つべきだった位置”にようやく立った!というのを、五感で体感して感無量。
ピットのオケは、出だしは「まだ気合入ってない音が所々」だった感もありますが、尻上がりにマエストロの求める音に。

演出は、開演前に慌ててプログラム冊子を読んだ程度で臨んだため、「理解した」などとはとても申し上げられませんが、視覚的な面白さを感じて拝見しました。
レンタルプロダクションや共同制作だと、時々劇場のサイズにミスマッチの時もありますが、今回はさすがに、新国立劇場の空間に見合った舞台になっているような…。

それにしても、同じ「パルジファル」、同じ飯守泰次郎さんなのに、二期会の時とこんなにも印象が変わるとは…。

演目が発表になったとき、飯守泰次郎さん、二期会でやったばかりなのになぜ同じ作品を?という思いもありましたが、こりゃ、全然違うクプファー演出。
あえて続けて取り上げて、違いを際立たせたかったのか?と思えてくるくらい、視覚的印象は違います。
二期会は、あれはあれで立派な舞台でしたが、乱暴な言い方をすれば、二期会がハードウェア優位だとすれば、今回はソフトウェア優位?
そのソフトウェアの威力は凄まじい。
もちろん、ハードウェアあってのソフトウェアであり、新国立の最新鋭の舞台機構があってのソフトウェアだと思いますが…。

第2幕ではのピットのオケの音は、第1幕に比べて格段にグレードアップしてませんでした?
そりゃ、歌手があれだけボルテージアップすれば気の抜けた演奏など出来ないか…。
それ以前に、私の席からは見えないピットのマエストロの煽り、凄かったのですかね?
演出の光(画像と言っても良いくらい)のパワーも拍車をかける!
視覚効果炸裂!
歌手もパワー全開(全開し過ぎ?)。

今日のピットの東フィル、第1幕後半以降はかなりの好演と感じましたがどうでしょう?
音色としては、飯守泰次郎さんがシティ・フィルや読響を振ったらもっと重低音が出るような気もしますが、定期で聴く東フィルのような、微妙に荒いけど豪快で伸びのある音(良い時の東フィル)に感じました。

なお、ごく限られたエリア(4階席)だけの問題でしょうが、なぜか第3幕だけ、3秒に1回くらいのペースで鼻をすする方がいて、著しく集中力を削がれたのは残念。
時々咳もされていたのでお風邪を召していらしたようですが、無理はなさらず、家で静養された方が、周囲にも(以下略)

…というわけで、第3幕だけは音の方は、周囲のノイズで残念でしたが、すでにネット上でネタバレになっていたとは言え、第1幕から時々姿を見せていた3人の僧侶、エンディングでの存在感は絶大に感じました。

スタッフ
【指揮】飯守泰次郎
【演出】ハリー・クプファー
【演出補】デレク・ギンペル
【装置】ハンス・シャヴェルノッホ
【衣裳】ヤン・タックス
【照明】ユルゲン・ホフマン

キャスト
【アムフォルタス】エギルス・シリンス
【ティトゥレル】長谷川 顯
【グルネマンツ】ジョン・トムリンソン
【パルジファル】クリスティアン・フランツ
【クリングゾル】ロバート・ボーク
【クンドリー】エヴェリン・ヘルリツィウス
【第1・第2 の聖杯騎士】村上公太/北川辰彦
【4人の小姓】九嶋香奈枝/國光ともこ鈴木 准/小原啓楼
【花の乙女たち】三宅理恵/鵜木絵里/小野美咲針生美智子/小林沙羅/増田弥生
【アルトソロ】池田香織

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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2014年10月 5日 (日)

ロウヴァリ/東響(2014/10/05)

2014年10月05日(日)14:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:サントゥ=マティアス・ロウヴァリ
東京交響楽団

(川崎定期演奏会第47回)
ヴァイオリン:マイケル・バレンボイム(遅れていったため未聴)

《オール・プロコフィエフ・プログラム》
交響曲第1番「古典交響曲」(遅れていったため未聴)
ヴァイオリン協奏曲第2番(遅れていったため未聴)
バレエ音楽「ロミオとジュリエット」抜粋

2年前の「ミラクル!」を偶然体験した私にとっては、「東響さん、よくぞ再招聘してくれました!」だったのですが、所用が終わらず、ようやく休憩時間に間に合いました。
いや、間に合って良かった!!と言うべきでしょう。

2年前に比べて、音はさらにグレードアップしていた印象ですが、前回は川崎教育文化会館での演奏でしたので、ミューザの音響とは比べるべくもありません。
しかし、才能のある指揮者の、この年代の2年間の成長は大きいはず。
ミューザの音響に助けられただけの演奏では、絶対にありません。

今回のロウヴァリさんの音、緻密と言うよりは、綺麗な鏡面仕上げのような音ですが、表面的に、磨いただけではなく、細部の磨き上げあっての全体の輝きであることは明らか。

変幻自在?
飛び跳ねるような?
いやいや、ちょっと違う。
言葉は無力です。
なんとも言いようが…。
勢いで生まれた演奏ではなく、完璧にコントロールされた演奏だと思いますが、それであの音ですから、ロウヴァリさんの器の大きさを再認識した次第。

ちなみにロウヴァリさんの前回の東響客演、私はたまたま川崎教育文化会館での名曲全集の方を聴いたのですが、確か、前日のオペラシティは、ソリスト急病で協奏曲無しの演奏会になり、払い戻しもあったような記憶が。
川崎は上原彩子さんが急の代役となり、協奏曲はラフマニノフの2番に。

そのソリスト急病での急な協奏曲の曲目変更、楽団員さんのツィートによれば、ロウヴァリさんはラフマニノフの2番はさほど指揮経験が無く(?)、本番までの猛勉強で「ミラクル!」だったとか。
リハーサル時点と本番では別人のような指揮だったのでしょうか??
私はそのツィートは後で拝見したので、本番鑑賞中は“普通に素晴らしい演奏”としか思わなかったのですが…。
確かにロウヴァリさん、演奏会が全て終わった後のカーテンコールでは、足元が少しふらついていたような…。

それから、2年前の時、モーツァルトと接していたような…というような別の楽団員の方のツィートがありましたが、まさにアマデウスの映画のモーツァルトが指揮台に立っているかのような…。
指揮していた曲はプロコフィエフですが…。

直前に発表になった来シーズンの東響のラインナップにはロウヴァリさんの名前はありませんが、一般的な招聘ペースからいけば、次は2年後ですかね?
今回は定期演奏会枠で、前日のサントリーホールの演奏のネット上の大評判(ですよね?)からすると、きっと次回もあるものと期待いたします。

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2014年10月 4日 (土)

メッツマッハー/新日本フィル(2014/10/4)

2014年10月4日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:インゴ・メッツマッハー
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第531回定期演奏会)
ソプラノ:スザンネ・ベルンハルト
メゾ・ソプラノ:マリー=クロード・シャピュイ
テノール:マクシミリアン・シュミット
バス:トーマス・タッツル
合唱:栗友会合唱団
合唱指揮:栗山文昭

ツィンマーマン:管弦楽のスケッチ「静寂と反転」
ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス

ツィンマーマンの「出口」がベートーヴェンの「入り口」につながっていた驚き。
プログラム冊子によれば「オラトリオとしても演奏できる」とベートーヴェンが述べたという、人生の喜びのような音楽。
幸せ、幸せ。

ツィンマーマンの静寂と反転。
断片的のような音の集合体で異次元の世界を10分ほどさまよった後、長い静寂…という選択肢をとらず、休憩どころか間合いも無く開始されたベートーヴェンのミサ・ソレムニス。
その、パッと眺望が開けたような体感!
その一瞬だけでも、のけぞりそうになるほどの体験でした。

ミサ・ソレムニスは、個人的嗜好では、世評の高いクレンペラーさんのCDで聴いても今ひとつ良さのわからない曲なのですが、メッツマッハーさんの指揮で聴くと、楽しい、楽しい、ワクワク、…。
胸が高鳴るとはこういうことか、と。

メッツマッハーさんが定期演奏会で聴ける幸せ、いつまで続くのでしょうう?
任期を延長するのか否か、部外者の私は存じ上げませんが、万一、延長が無いとしたら、この幸せなシェフと手兵のコンビを聴けるのは、あと何回?
客席がシェフに贈る拍手の暖かいこと!
はっきり言って、音楽面では、新日本フィルの救世主ではないしょうか?
新日本フィルが目指すべき、さらなる上のレベルはあるにせよ、3.11の後の長いギクシャクした時期を経て、就任が決まった後のメッツマッハーさんとの一連の演奏を聴くと、私としては、もう手放しで喜びたいくらいです。

今さら3.11の時のことを言っても仕方ありませんが、新日本フィルが新国立のピットに呼ばれることは、もうないのでしょうかね。
メッツマッハーさんと新日本フィルにピットに入ってもらって、ツィンマーマン…でなくても、ヴォツェック…いや、フィデリオでもいいから観てみたい!
いや、錦糸町での演奏会形式でもいいです。

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