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2015年7月20日 (月)

二期会「魔笛」(2015/07/20)

2015年7月20日(月・祝)
東京文化会館

東京二期会
モーツァルト:魔笛

《リンツ州立劇場との共同制作公演》

ソフトウェア優位のステージ、ここに極まれり!

簡素な装置ですがそこに投影される映像(おそらくCG)の作り込みは素晴らしい。
背景の映写は、手を抜くと安っぽくなるリスクがありますが、あの映像は相当に手間(すなわちお金)がかかっているのではないかと想像しました。
下手に安っぽい大道具、小道具が出てくるよりはるかに好ましい。
やや抽象化された蛇の映像だって、おもちゃみたいな蛇が出てくるより、はるかに「らしく」感じました。

現実にあり得ない、わけのわからない設置の「魔笛」の世界を表すのに、あの映像の効果的なこと!

しかも、序曲の演奏中にパントマイム(無言劇)。
これが伏線となって、本編の虚構の世界?に突入し、最後はパントマイムと同じ設定で終演。
あんな作り物の最終シーン、しかも冒頭を観た時点で事前に想定できてしまう設定なのに、ああ、それなのに、それなのに!
不覚にも、目がウルウル、感涙してしまいました。

ああ、苦難の連続だったね。
お互いに苦労したね。
家族のありがたさが身にしみたね。
平凡な毎日って、実は幸せなんだね。
…と。

こういうパントマイムが意味を持つ演出って、ヨーロッパでは標準なのでしょうか?
(DVDで観たコンビチュニー様の演出とか)
日本国内では私はあまり観たことがありませんが、こういう舞台を持ってきてくれて嬉しいです。
今回の上演、もしかして歌手の体型まで考慮してキャスティングしたのでは?とすら思いました。
パミーノもパミーナも、冒頭と最後で、あの長身のスタイルだからパントマイムの設定が様になったのであって…。

序曲中のパントマイムには、動作にもう少しキレがほしい気もしました。
パントマイム直後のパミーノの声が「もしかして息切れ?」とも感じました。
侍女たち3人も、最初のうちは少し固かったような?
でも、流れ出せばそれなりのレベルに収れんして、後はほぼ安心して視覚と聴覚を舞台に集中できました。

第2幕では、第1幕で若干感じた硬さが払拭し、かなり楽しい舞台に。

歌としてはパミーナ、演技まで入れるとチャップリンのように感じられるパパゲーノ、全身と表情で熱演したモノスタトスが素晴らしい。

パミーノは前述のように、第1幕冒頭でひやっとしましたが後は無問題。
ただ、ちゃんと(アリアのように)歌うときと、演技の中で歌うときの差が多少あったような気も少々。

侍女たち3人も表情豊か、動きもコミカルながらなまめかしく、あのまま「パルジファル」の花の乙女に持って行ったらどうなるだろう?と妙な連想をしました。

どうしても舞台の視覚効果に目が行ってしまいましたが、ピットのデニス・ラッセル・デイヴィスさんと読響が素晴らしい。
横綱相撲のモーツァルト。
軽快すぎず重すぎず、歯切れの良い音は本当に心地良い。
序曲のパントマイムの演技に若干のぎこちなさを感じたのも、オケの演奏にキレがあったからのことと思います。

ちなみにこの日は、急きょ当日予約で行ったので(普段は高層階の席ですが)1階席前方で鑑賞しました。
見逃さなくて良かったです。

指揮:デニス・ラッセル・デイヴィス
演出:宮本亜門
装置:ボリス・クドルチカ
衣裳:太田雅公
照明:マルク・ハインツ
映像:バルテック・マシス
合唱指揮:大島義彰
演出助手:澤田康子、木川田直聡
舞台監督:大仁田雅彦
公演監督:曽我榮子

ザラストロ:大塚博章
タミーノ:金山京介
弁者:鹿野由之
僧侶I:狩野賢一
僧侶II:升島唯博
夜の女王:高橋維
パミーナ:嘉目真木子
侍女I:北原瑠美
侍女II:宮澤彩子
侍女III:遠藤千寿子
パパゲーナ:冨平安希子
パパゲーノ:萩原潤
モノスタトス:青栁素晴
武士I:今尾滋
武士II:清水那由太

合唱:二期会合唱団
管弦楽:読売日本交響楽団

201507201

201507202

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