ダウスゴー/新日フィル(2016/01/27)
2016年1月27日(水)19:15
サントリーホール
指揮:トーマス・ダウスゴー
新日本フィルハーモニー交響楽団
(第553回定期演奏会)
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
マーラー:交響曲第5番
前半のモーツァルトは、かつて、わが国におけるブリュッヘンさんのオケだったNJPで、ダウスゴーさんが古典を振る幸せなひと時。
当然ピリオド寄りですが、エッジを立てたり、ことさら刺激的に強調したりせず、自然にピュアトーンがホール空間を包む。
あっさり味だけど、その音には、はっとするようなニュアンスが宿る。
そして、その印象は、全く性格が異なると思われる後半のマーラーでも続きました。
かつてハーディング様の煽りに追従できずに飽和してしまったのと同じオケは思えない鳴りっぷり。
ダウスゴーさんの繰り出す大小のひねり技と豪快な煽り、渾身の力演にも見事な追従。
それでいて濃厚と言うよりは、シャープで分解能の高い熱演は驚異的、素晴らし過ぎ。
(バーンスタインのマーラーが好きな方にはお奨めしません。ショルティのマーラーが好きな方は楽しめるかもしれません。え?全然違う?すみません。)
まるで往時のスダーン/東響のように、インバル/都響のように、アルミンク!(2010年以前…)/NJPのように…。
まるで気心知れたシェフのように、あうんの呼吸すら感じた指揮棒への追従ぶり。
それが大暴れの熱血の指揮と、大暴れの割にはかなり細かい指示なのだから、こりゃたまりません、癖になる音。
モーツァルト同様、むしろあっさり風味なのに、なんとも味わい深い絶妙のニュアンスを内包。
第4楽章の比類の無い美しさが秀逸でしたが、他の楽章の鋭く轟くごう音も然り。
重量感はあまり感じませんが、鮮烈な音の連射を織り重ねていて、全く不満に感じないどころか、興奮ものの快感。
もちろん、生演奏ですから、いろいろありますが、それは無問題。
演奏が終わって指揮者が最初に引っ込んだ直後の楽団員さんのはじけっぷりが全てを物語る快演、もちろん指揮者の表情も破顔、笑顔、笑顔…。
ステージ上でみんな心底嬉しそうにしている演奏会は幸せ、もちろん客席、帰りのロビーも。
| 固定リンク
コメント
昨日に引き続きお邪魔します。
テンシュテットのマーラーが好きな自分も?楽しめました。
ダウスゴー、4年前のシベリウス7番の素晴らしさは今でも良く覚えています。前回来日の都響とのニールセンも好演でしたが、新日フィルの方が両者の良さがより引き立つような気がします。
最近の新日フィルは好調ですね。都響、東響、読響それに日フィルも聴き応えがあるので、どの演奏会に行こうか楽しく悩んでいます。
投稿: 黒猫 | 2016年1月28日 (木) 18時34分
黒猫様
テンシュテット派はどちらになるだろう?と迷ったので書きませんでした。(^^ゞ
ネット上では肯定派と否定派が交錯したようですね。
そして、おっしゃる通り、新日本フィルが良い方に向かっているようで、私も本当に嬉しい限りです。
投稿: 稲毛海岸 | 2016年1月30日 (土) 10時04分