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2016年7月16日 (土)

ノット/東響(2016/07/16)

2016年07月16日(土)18:00
サントリーホール

指揮:ジョナサン・ノット
東京交響楽団

(第642回定期演奏会)

ブルックナー:交響曲第8番

いつもは艶やかな東響の音ですが、つや消し加工を施したようなちょっとくすんだような音色がなんとも言えず味わい深い。
そのつや消しが音に深みを与える。
深化、深化、深化、鳴らしても鳴らしても、深み、深み。
アンサンブルはもしかしたら、明日はさらに良くなるかもしれませんが、この演奏に対して細部のことをあげつらったら叱られます。
人工的な印象が全く無い素朴な響きは得難い体感。

ノット監督って、ライヴの人なんだなーと思います。
私は2日聴き比べたことは私はありませんが、ネット上の情報から類推すると、日によって結構違うような??
いや、この日の演奏だって、第3楽章までと、第4楽章で、ちょっと、いや、結構印象が違いました。
第3楽章までは、微弱音だけでなく、金管の咆哮まで、鳴らしても、えぐっても、煽っても、内省的な深みを感じました。
それが第4楽章では、かなり開放的に鳴っている体感。
凝縮から爆発へ…と言ったら言い過ぎでしょうか。

この幸せの80分。
演奏が終わって、静寂がホールを包む。
その瞬間、静寂を突き破る「一人ブラボー」が…。
一瞬会場に殺気が立ちこめますが、皆さん気を取り直して、拍手、そしてノット監督が客席の方を向いたときは、嵐のようなブラボー。
そして、オケが引き上げた後も拍手は続き、ソロカーテンコールに。

まあ、あの「一人ブラボー」、確かに残響は消えた後だとは思いますが…。

思い起こせばノット監督の就任披露のサントリー定期、壮絶なマーラーの9番に会場が打ちのめされて、フラブラどころか、ノット監督が1回舞台袖に入って再度出てくるまで、会場はブラボーも叫べなかったような…。
その後は物凄いブラボーの嵐。
この日もそれに近かったのに、約1名、平然と「一人ブラボー」を叫べたお方が…。

ただ、東響定期は、在京オケの中でも「拍手は指揮者のタクトが…」の定着は遅い方で、つい最近だったと思います。
読響定期や都響B定期あたりで「すぐの拍手はNG」が定着した後も、かなりの期間、終わるやいなの拍手が普通でした。
それを思えば??…いや、違う…??

閑話休題。

ノット監督って、私にとっては「こういう指揮者だよ」「こういう音を鳴らす人だよ」「こういう演奏をする人だよ」というレッテルが貼れない指揮者で、毎回、毎回、本当に引き出しが多いなぁと思います。
予定調和のように終わる演奏会ではなく、どうなるかちょっと予想がつかないところも毎回楽しみです。

20160716

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コメント

弦も金管も今日は抜群でしたね。国内オケのブッルクナー演奏はついにここまで来たか、と感嘆しながら聴き入っていました。

あれはフラブラですよね。残響が消え入り指揮棒が下りきり、指揮者の肩から力が抜け、次の動きを始めるまでは、演奏は終わっていないと思います。
演奏の素晴らしさに対する賛辞は勿論ですが、フラブラ氏に対する怒りと、指揮者やオケに対する申し訳なさ(あんなバカが混じっていてすみません、とでも言うような)が、残り全員の聴衆に共有されていたかのような、その後の爆発的な拍手とブラボーの嵐でした。

随分昔ですが、ヨッフム=アムステルダムコンセルトヘボウの来日公演(ブル7)でも、衝撃的なフラブラがあり一瞬殺意を覚えましたが、今回久しぶりに同じ感情を抱いてしまいました(実行には移しませんが)。

それにしても、ノット=東響の演奏は実に素晴らしい。次はどういう演奏をして楽しませてくれるかと、毎回楽しみです。

投稿: 黒猫 | 2016年7月16日 (土) 23時27分

黒猫様
この日のフラブラのことは語り出すと止まりませんね。悲しいことに…。
ほんと、あの後の会場の熱狂は、感動を取り返そうというような感もありました。
ノット監督と東響は、おもしろいことに、スダーン/東響やインバル/都響のように「あうんの呼吸」にはならないんですよね。
ノット監督が意図的にそういているような気もします。まだまだ先がありそうですね。

投稿: 稲毛j海岸 | 2016年7月16日 (土) 23時58分

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