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2016年10月 8日 (土)

新国立「ワルキューレ」(2016/10/08)

2016年10月8日(土)14:00
新国立劇場

ワーグナー:ワルキューレ

勝てば官軍??

リング・ツィクルスが発表されたときのネット上のネガティヴな反応に対して、「これが答えです。いかがでしょう?(これで文句ありますか?)」と言わんばかりに、本番の公演の舞台で示す飯守監督。

まずは第1幕。
登場して指揮棒を振り上げたとき、音が出る前から、飯守さんの腕、いや、おそらく全身に力がみなぎる。
そして出された最初の一音から重低音で、ぐいぐい。

舞台装置と演出は、私は意外と良いのでは?と思いました。
奇抜ではないが凡庸でもない。
ジークムントが倒れるように入ってきた扉の外は紙吹雪…いや、雪。
フィンランド歌劇場のプロダクションだから雪?
…ではなくて、最後に季節が一転するための伏線?
レンタルだから劇場の間口のサイズが合わないのは致し方ないですが、途中から気にならなくなりましたた(第2幕以降のセットでは無問題)。

禁断の三角関係の緊迫感。
舞台上にぴーーんと張り詰めた怖いくらいの空気。
その三角関係の3人のテンションの高さも物凄いですが、特にマフィアのボスのようなフンディングの怖さは特筆モノ。
私は、そんなに実演に接していませんが、こんなに怖いフンディングは初めてかも。
そして、ジークムントをじっと見て立っている数人、フンディングの手下の無言の不気味さ。
この設定は凄い。

ピットのオケも、気合いの入った重低音寄りのうねる轟音をとどろかせて良かったのでは?
飯守マエストロの相当に気合いの入った動作、途中、オケが全停止でフンディングだけが歌う一瞬に、指揮をせずに素早く汗を拭いていたり。

この公演は幕間にカーテンコールがあったので、第1幕終了時点で盛大なブラボーが飛び交いました。

第1幕の三角関係の緊張感があまりにも凄かったので、第2幕はちょっと劣勢で始まりましたが、終盤でオケが絶叫調に跋扈(ばっこ)し、快感。

冒頭で、なんと頼りなさそうなヴォータン…と思ったら、最後は威厳と貫禄に満ちてびっくり。
逆に、第1幕であれほどおっかなかったフンディングが操り人形のようになっていて、これまたびっくり。
第2幕は右奥での演技が多く、私の席は右サイドだったので、舞台の右奥の方はあまり見えなくて残念でした。
まあ、ピットのマエストロを見るために買った席ですから仕方ありません。
ブリュンヒルデも、第2幕の冒頭は、あれ?小粒?と最初は思いましたが、終盤はパワー全開でめでたし、めでたし。

第3幕は、「これでもうナースと霊安室が出てくるワルキューレの騎行(奇行?)とはお別れだ」と思っていたら、なんですか、あの死体を並べたり、死体にまたがったりするのは…。
まあ、視覚的に面白かったからいいですけど、オーソドックス路線の演出と油断してたらやられたような…。
死体にまたがった動きは、馬に乗っている様子にも見えましたが、腰の動きが妖しいような…という目で見るのは品性を疑われますかね?

第3幕もピットのオケは壮絶に鳴る、鳴る、鳴る。
それを煽ったのは当然、飯守マエストロ。
ヴォータンもブリュンヒルデも、第3幕にパワーを取っておいたの?というような掛け合いの熱唱。
最後はブリュンヒルデを舞台中央に横たえて、舞台の周囲が炎に包まれて「ジークフリートに続く」。

個人的体感としては第1幕がクライマックスだった感もありますが、第2幕、第3幕を「おまけ」と言ったら叱られます。
引き込まれて、あっと言う間に終わった第1幕。
あっ、あっ、あっ、と3回言う間に5時間半が終わったような印象。
座り疲れのお尻の痛さが時間の経過を身体に刻んでいました。

ネット上のうわさ、プラス、足を運んだ数少ない経験からすると、監督が振る時は特に、日によって出来が違うことも多いように想像します。
まあ、ライヴだからそれも良いのではないでしょうか。
個人的にはファンなので、プラス、この日は良かったので、無問題。
ハズレの日に当たってもいいように、複数公演買うしかないですかね。

「前回のトーキョーリングの舞台装置を破棄する決定をした経緯はどうなってる!」と、豊洲の問題のように追求してほしいような気もしますが、予算切迫の中、倉庫の費用など、仕方なかったのかなぁ…とも思います。
だからダンボール・フィガロみたいな簡素な舞台装置は残っているのかなぁ…と。

そして、いざ鑑賞してみたら、演出も舞台装置も、まずまず良かったです。
レンタルプロダクションだって、別にいいじゃない、嘆いたってトーキョーリングは帰ってこないんだし、あれを超える新しいものを頼めばお金がかかるんだし、新しい人に頼んだ挙句、また舞台に水を張られるくらいだったら、私はこれでいいです。

トーキョーリングの舞台装置を破棄したのは現監督ではないし、予算が限られる中で、ここまでやっていただいて、ありがとうございます。

スタッフ
指揮:飯守泰次郎
演出:ゲッツ・フリードリヒ
美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ
照明:キンモ・ルスケラ
演出監修:アンナ・ケロ
演出補:リーッカ・ラサネン
舞台監督:村田健輔

キャスト
ジークムント:ステファン・グールド
フンディング:アルベルト・ペーゼンドルファー
ヴォータン:グリア・グリムスレイ
ジークリンデ:ジョゼフィーネ・ウェーバー
ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン
フリッカ:エレナ・ツィトコーワ
ゲルヒルデ:佐藤路子
オルトリンデ:増田のり子
ヴァルトラウテ:増田弥生
シュヴェルトライテ:小野美咲
ヘルムヴィーゲ:日比野幸
ジークルーネ:松浦麗
グリムゲルデ:金子美香
ロスヴァイセ:田村由貴絵

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
協力:日本ワーグナー協会
芸術監督:飯守泰次郎

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