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2017年3月20日 (月)

下野竜也/読響(2017/03/20)

2017年3月20日(月・祝)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:下野竜也
読売日本交響楽団

(第94回みなとみらいホリデー名曲シリーズ)
ヴァイオリン:三浦文彰

パッヘルベル:カノン
フィリップ・グラス:ヴァイオリン協奏曲第1番
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」
パッヘルベル(野本洋介編):カノン
(アンコール)

感動的なフィナーレでした。
下野さんの御卒業…と言うよりも、次の大役へのステップアップを皆が祝福している感涙ものの終演後のステージ。
胸がいっぱいです。
下野さん、ありがとう、ありがとうございました。

一曲目のパッヘルベルのカノンは、指揮台の前にオルガンが置かれ、回りをチェロとコントラバスが囲む。
空席の管楽器の部分を飛ばして、後方にヴァイオリン、ヴィオラが立奏で半円形に囲んでいます。
その配置が生み出す音響は、分離の良さと天然サラウンド。
ピリオドではない悠然たるこの演奏は下野さんのスケール大きさを示すものでした。

この後、配置転換の間、下野さんのトーク。
パッヘルベルのカノンを「元祖・繰り返しの音楽」とおっしゃる。
なるほど、次のフィリップ・グラスの協奏曲との橋渡しになっているんですね。

そのフィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲は、三浦文彰さんの独奏。
私はこれまで、三浦さんのヴァイオリンは、技巧をひけらかす(だけの)ような演奏に感じて苦手でしたが、この日の演奏は素晴らしかったと思います。
下野さんが歳をとって円熟するのは当然のこととして、もっと若い三浦さんは当然、内面的、内省的な演奏に成長している…と思いました。
三浦さん、見直しました(偉そうにすみません)。

休憩後の「新世界より」は読響時代の集大成にふさわしい演奏。
私が前回聴いたのは10年近く前の夏の三大交響曲だと思いますが、指揮者の10年はとてつもなく大きい。
(…と思ったら、その後も聴いていましたが…。)
豪腕の場面の突き抜け方はさらにパワーアップしていますが、それだけではなく音が深い、深い。
上にも下にもアップスケールしている下野さん。
躍動する場面もばか騒ぎにならず、格調の音色。
極めつけは第2楽章のしっとり感
。艶やかだが、ため息のでるようなチャーミングな音の連続。
ずっと聴いてきたつもりでいて、下野さんの進化、深化、真価にまるで今気づいたような体感。
正指揮者、首席客演指揮者だったとは言え、天下の読響がこれだけ食らいつくように演奏する場面も感涙ものです。
下野さんのトークで新世界交響曲のラストへの言及もあったせいか、みなとみらいにしては珍しく、音が消えた後の静寂の数秒間もあり。

アンコールにパッヘルベルのカノンは、ハイドンの「告別」のような楽団員の退場。
お別れの寂しい気持ちではなく、みんな笑顔デ手を振りながら退場の明るい、明るいラスト。
言葉を失うような感動的な空間を目撃できて幸せ、目がうるうるするほどの至福、ありがとう下野さん。
パッヘルベルのカノンで始めて、再び編曲されたパッヘルベルのカノンで終わるという選曲の妙も最後の最後まで下野さんの面目躍如。
本当に素晴らしいラストコンサートでした。

以下は蛇足です。
下野さんの思い出。

下野さんの2006年の読響正指揮者就任は、当時としては抜擢に近かったかもしれませんいが、東響も2002年、2003年に定期演奏会に起用していました。
ブザンソンのコンクール優勝の翌年であり、さらに大抜擢だったと思います。
ただ、この2003年の定期は今の下野さんでは考えられないような空回りのドヴォルザークの第6番でした。
その空回りの印象があったので、私は読響正指揮者就任後も下野さんについては半信半疑でした(すみません)。
いや、東響だって、その後、定期には呼んでいませんよね。
今になって思えば、ああ、若過ぎるうちに聴いてしまったのね…と笑える空回りでしたが、私は当時、「当分、下野さんはいいや」と…。

この考えは、2~3年で覆りました。
ただ、会員券で聴いてはいても、プラスして一回券を買ってまでは聴きに行かなかった下野さんですが、近年はますますパワーアップ。
「精一杯頑張ってます!」の感があった数年前に比べ、今では力まずにとてつもない音が鳴る指揮になりました。
今の下野さんに比べれば、正指揮者就任当初の下野さんは「まだ若かったのね」ですね。
「会員券で聴けるし…」と、熱心なファンではなかったにも関わらず、偶然にも、正指揮者退任の演奏会(フラブラ付きのブル5)と、首席客演指揮者退任(この日)の演奏会を聴く機会に恵まれました。

下野さんの読響時代で思い出すのは、一番は、湯治場オランダ人、二番は正指揮者退任演奏会のフラブラですが、それらは番外として、今でも光景が脳裏に焼き付いているのは涅槃交響曲かもしれません(その後、NJPでも聴いているのに)。
團伊玖磨の交響曲もありました。
でも、何年後かに思い出すのは、この日の演奏会かもしれませんね。

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