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2017年5月 6日 (土)

オリンパスホール八王子「アイーダ」(2017/05/06)

2017年5月6日(土)15:00
オリンパスホール八王子

八王子市市制100周年記念事業
ヴェルディ:アイーダ
全4幕・原語(伊語)上演・字幕あり・セミ・ステージ形式

事前に想定していたレベルをはるかに凌駕する素晴らしい上演でした。
この成功に導いたのが川瀨さんであることは間違いありませんが、ラダメス、アムネリス、アイーダの主役3人が、3人とも素晴らしかったことが好演を白熱の高揚に導く。
初日が最終日なので全力投球できた側面もあるかもしれませんが、この方々の熱唱は、もう、目がウルウルするくらい、素晴らしいものでした。

第1幕では、ラダメスが登場して間もなく歌う超有名アリア。
こういうのって、新国立で外国時歌手が歌っても、あらら大変そうですねということもあるのですが(カルメンとか)、この日のラダメスは無問題。
それどころか、このハイテンションで、第4幕の最後まで行っちゃいました。

アムネリスもアイーダも、第幕から第4幕まで万全の迫力。
ただし、ラダメスも含めて、幕が進むに連れて感情移入がさらに凄みを増していったのは、おそらく川瀨さんにのせられたものと拝察しました。
川瀬さんはいつもの通り、身体能力を誇示するような、跳躍するような指揮。

第2幕では「川瀬スイッチ」が完全にONになり、強烈な巻き上げ。
何度も同じことを書きますが、アムネリス、ラダメス、アイーダの3人が素晴らしいので盛り上がること、盛り上がること。
三角形の頂点に配置されて3人が歌う時の重唱の威力抜群。
演出の指示なのか、識者の指示なのかはわかりませんが、3人の重唱は、この3角形だったり、舞台上に5メートルくらいの間隔を開けて立ったりで、それぞれが、それぞれに、勝手なことを(違)歌っているのが視覚的にも音響的にもよくわかりました。

ただ、この主役3人以外は多少のツッコミどころもあり
合唱は、女声合唱はまずまず良かったと思いますが、男声合唱は少し荒削りで迫力不足の印象もあり。
(主催公演でないから仕方ありませんが、どうしても、合唱が東響コーラスだったら…と思ってしまいます(すみません)。)
あと、国王は、奥まった位置での歌唱とはいえ、少し声が不安定に感じられたりもしました。
それでも、主役3人が素晴らしいので、全て許します(上から目線ですみません)。

第2幕が終わったところでは、東響メンバーも結構感極まった表情をされていた方が多かったようにも見えました。

第3幕では、「川瀬スイッチ」がONになった第2幕のノリは継続…どころかさらにヒートアップ、凄い。
アモナズロは王というよりは野蛮人の風貌と声ですが、これはこれで壮絶。
声の表情付けが役者的。
そしてここでは、アイーダ、ラダメス、アモナズロの3人が、相乗効果で張り合って(?)ヒートアップ。
なんだかんだ言っても、この高揚感を導いたのは川瀬さんですが、それに反応した声、オケが、これまた相乗効果で張り合ったように白熱するのは、まさにライヴ。
オペラは生き物ですねぇ~。

第4幕で、裁判の場を経て、2人の最後と祈るアムネリス。
アムネリスは、意地悪な女などではなく、苦悩する高貴な女性として演じられたと思います。
アイーダとラダメスは墓の中で、ある意味幸せな死を迎え、残されたアムネリスは祈る。
ラダメスに冷たく拒絶され、一番の被害者のよう。
このアムネリス像には深く感じるものがありました。

セミ・ステージ形式と銘打っていますが、歌手は衣装を着け、オケの前と、オケ後方の少し広いスペースで所作もこなして、完全にオペラの舞台として成り立っています。
バックのコーラスにも、歌っていないところでも演技がつけられ、「演出」と呼んで良い演出。
背景のスクリーンへの静止画(部分的には、川の流れなどは動画)の映写もあり、バレエもあり、演奏会形式ではないれっきとしたオペラ上演。
瞬時に変わる背景画面は効果的。
その前(オケの後ろ)には、光の加減で半透明な幕になったり、遮光スクリーンになったりする幕が、照明技術を駆使して効果的に使用されていました。
セミ・ステージ形式の制約の中でここまで見せる舞台を作った演出も素晴らしい。
読み替えなどないオーソドックスな舞台ですが、神官が実はラダメスを救いたかったという裁判での設定は面白い。

このように、すべtが万全ではなかったのに、指揮、オケ、主役、演出が素晴らしくて、満足度の非常に高い上演。
東響としては、あくまでも「依頼公演」のはずですが、川瀬さんに見事にのせられて、
全力投球。
東響さん、初台でもこれくらいお願いしますよ、と言うのはお門違いで、これは川瀬さんの初台ピットを切望せざるを得ません(まだ早いのはわかっていますが)。

指揮:川瀬 賢太郎
演出:岩田 達宗

アイーダ:小林厚子 
ラダメス:村上敏明
アムネリス:福原寿美枝 
アモナズロ:森口賢二 
ランフィス:大塚博章
エジプト王:泉良平
使者:澤崎一了
巫女の長:山口佳子

管弦楽:東京交響楽団
バレエ:バレエシャンブルウエスト
合唱:八王子祝祭合唱団、児童合唱団「こんぺいとうの空」

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