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2017年8月の3件の記事

2017年8月12日 (土)

下野竜也/新日フィル(2017/08/12)

2017年8月12日(土)16:00
すみだトリフォニーホール

下野竜也プレゼンツ!音楽の魅力発見プロジェクト 第4回
指揮・お話・企画監修:下野竜也
新日本フィルハーモニー交響楽団

ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ドヴォルザーク:我が母の教えたまいし歌
(アンコール)

入場時に「え?1曲なのに終演が17:45?下野さん、いったい何分しゃべるつもり?」と思いましたが、心配は杞憂でした。
それどころか、もっとしゃべってほしかったくらい。
30分ほど、オケを鳴らしながら解説。
その後、休憩20分でした。
その休憩前のレクチャーの面白いこと、面白いこと。

まず登場して、第2楽章の冒頭を指揮。
オケのメンバーが「遠き山に…」と歌いながらの演奏。

その後、背景のスクリーンに映っている肖像画を「実はドヴォルザークではなくノーベルでした」といういたずらも。

そのスクリーンに楽譜を写しながら、「もしも二流作曲家が書いたら」のバージョンと比較しながら演奏したり。
第4楽章でシンバル鳴らしまくりの編曲?で演奏したり、もしも第2楽章で、弦楽器がミュートを付けないで演奏したら?とか。

「新世界」ではなく「新世界より」ですよ。
最後、静かに消えていくんですよ。
本編では、ぜひ、余韻を楽しんで下さい。
…とおっしゃっていたのに、本編では、静寂の中でくしゃみをした方がいらして…。
下野さん、演奏終了後、客席側を向く前に、楽団員さんと笑っていました。

それはともかく、本編は素晴らしい演奏でした。

やはり定期と同じとはいかないよね…と思った出だしを、あっという間に本気印の熱演にもっていった下野さんの迫力の指揮、さすが。
この数ヶ月前に読響ファイナルで聴いたばかりなのに、また下野さん凄い!凄い!という驚きの連射でした。

下野さん、ここぞというところで左手で、ひょい、全身でグイッと西江コンマスをあおり、西江コンマスが素直に呼応して前のめりになって力を込めて弾くので、指揮とコンマスを見ているオケ全体がうねるように反応するという連鎖の連射も堪能させていただきました。
アンコールの前に「来年も開催します」と言ったらオケからも拍手が起きました。

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2017年8月11日 (金)

秋山和慶/東響(2017/08/11)

2017年8月11日(金・祝)
ミューザ川崎シンフォニーホール

フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2017
東京交響楽団フィナーレコンサート
指揮:秋山和慶
東京交響楽団

ピアノ:反田恭平

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番~第3楽章(トルコ行進曲)
(アンコール)
ラフマニノフ:交響曲第2番

反田恭平さんは初めて聴きました。
輪郭のくっきりした音を駆使し、縦方向の振幅と横方向の揺らしを、許容範囲最大限に駆使した快演。
秋山さんのファンの私ですら、しばしは耳がピアノに吸い寄せられました。
私が好きなスタイルかどうかは横に置いて(すみません)この吸引力と発散するエネルギーは素晴らしいと言わざるを得ません。

アンコールは、本編でのくっきり感から一転、流麗感きわまるモーツァルト。協奏曲の時よりも枠が外れた感もあり、強弱も含めて自由奔放ですが、聴いていて面白いことは間違いない。

反田恭平さんは、私の好きなタイプの演奏には絶対に入らないと思いますが(何度もすみません)、また聴いてみたくなる不思議。
あと、秋山さん、慌てず騒がず(時にはブレーキをかけたかどうかは不明)、懐の深さでがっしりとオケの音を構築。
その安心感もあっての“やりたい放題”だったかもしれません。

休憩後の交響曲は、秋山さんにしては、かなり旋律の歌い回しをきわださせていたと感じました。
特に第3楽章、ですが、全曲を通しても。
それでも、曲の最後に向けてのがっしりとした構築はゆるぎ無し。
この日の私の席の位置のせいか、ミューザの割には分解能よりも音の溶け合いを感じましたが、芳香感もある美しいブレンドの音にに聴こえました。

この曲は広島響とのCDもある秋山さん。
もっとも「録音しているだけあって手の内に入った」などと申し上げるのは秋山さんに失礼でしょう。
かつての切れ味よりも近年の円熟の側面がやや強い演奏でしたが、まだまだ枯れていない秋山さん。
「今日指揮したのは誰だっけ?と言われるのが理想」とおっしゃっているようですが、この日の演奏は、秋山さんのファンの私が聴いても、それに近い、まさに、曲に、音楽に、献身的に向き合われた演奏だと感じました。

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2017年8月 6日 (日)

鈴木秀美/神奈川フィル(2017/08/06)

2017年8月6日(日)15:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2017
指揮:鈴木秀美
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」
J.S.バッハ:カンタータ「汝、何を悲しまんとするや」BWV107~
      第7曲コラール「主よ、あなたの栄光を与えて下さい」
      (アンコール)

メンデルスゾーンからバッハまで、時代を、音の大河を、遡るような体験。
全てに発見がある、素晴らしい演奏会でした。

まずはメンデルスゾーン。
「フィンガルの洞窟」も「イタリア」も、第一印象は「素朴な音だな~」でした。
あまり光らない、コテコテに盛られていないその音は、素材の良さを存分に活かした料理のよう。
「あまり迫ってこないな~」と思いながら、こちらから注意を向けると、何もしていないわけではありませんが、まるで何もしなくても音楽が勝手に生き生きと踊り出すような、ハッとするようなチャーミングな瞬間の連続。
これは素晴らしい。

“もっと後の時代の風にしない”と言うことの意味が、秀美さんの棒で初めてわかったようなちょっとした驚き。
こういう天然素材の音で聴くと、メンデルスゾーンが「偉大なる過渡期」であったことがよくわかります。
古典派の枠内から、いままさに離陸しよう!としている瞬間のようです。

さて、この、メンデルスゾーンの、意外に古い側面を見た後に待っていたのは、ハイドンの意外と新しい側面でした。
斬新さと言った方が良いかもしれません。
そのハイドンの先進性を誇示するような快演。
叩きつけても巻き上げても揺るがない音楽。
秀美さん、ベートーヴェンに対峙するのと同じくらいの気迫で臨まれたのではないでしょうか。
こういう音楽が、既にあの時代にあったという…。

いやいや、ベートーヴェンの交響曲第1番が書かれたのは、このハイドンの交響曲第104番の5年後のようです。
モーツァルトの交響曲第41番の7年後でもあります。

ハイドン→モーツァルト→ベートーヴェン(直列)ではなく、ハイドン→モーツァルト→ハイドン→ベートーヴェン(同時並行含む)だったということを音で示したような、ベートーヴェンの交響曲に比肩しうることを示したような。
比肩しうるベートーヴェンの交響曲は、第1番どころではないかもしれません。

先進性のハイドンの後のアンコールは深遠なるJ.S.バッハ。
こういう世界が、さらに時代を遡って確立されていたことを体感。

このコンサート、「シンフォニーで、ヨーロッパ旅行」などという副題(キャッチフレーズ?)がついていました。
表題から言えば、確かにその通りでしょう。
しかし、これは、単なる都市間の旅行ではなく、タイムトラベルの世界だ、と思いました。

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