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2017年10月21日 (土)

ノット/東響(2017/10/21)

2017年10月21日(土)18:00
サントリーホール

指揮:ジョナサン・ノット
東京交響楽団

(第654回定期演奏会)
オルガン:石丸由佳
ピアノ:児玉桃

リスト:バッハの名による前奏曲とフーガS.260(オルガン独奏)
シェーンベルク:管弦楽のための変奏曲
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
ラヴェル:「鏡」~「悲しい鳥たち」
(アンコール)
ラヴェル:ボレロ

プログラミングの妙味に、よくぞここまで磨き上げた!というような演奏で、もうお腹いっぱい。
前菜、メインディッシュ、デザートなどではなく、メインディッシュ級を4曲(桃さんのアンコールを入れれば5曲)並べられて、おいしいので全部食べちゃった…という感じです。

私は東響の定期会員は比較的長い方だと思いますが、嬉しい反面、東響が未知の領域の高みに登って行ってしまって、手の届かない存在になってしまいそうな怖さも感じた演奏会でした。

まずはオルガン独奏とオーケストラで、連続して演奏されたリストとシェーンベルク。
実はめちゃくちゃ(破壊的なくらいに)革新的だったリストと、実はそれまでの伝統との継続性がるシェーンベルクを、続けて演奏することで音にしてみせたのでしょうか。
私は、シェーンベルクの複雑怪奇は想定内として、リスクと音が絡まりあう複雑怪奇に、かなり驚きました。

そして…。

私は、シェーンベルクは結構苦手な作曲家なので、オルガン独奏が終わってオケの演奏が始まった時は、「あー、しばしの我慢…」と思ったのですが、曲が進むにつれて、複雑な音の絡まりが高揚していく様子にで、「あれれ?面白いじゃないですか!」という気持ちになっていったのに、自分で驚きました。
これ、「珍しいものを聴かせていただき、ありがとうございました、おわり」の演奏ではありません。
シェーンベルクをここまで楽しませてくれたノット監督に感謝!感謝!です。

そして…。

休憩後のラフマニノフが、もしかしたら一番の聴きものだったかもしれません。
実は、桃さんのパガニーニ狂詩曲って、事前に想像が出来なかったのです。
あの一見クールな桃さんが、どう弾くのだろう?
なぜ、桃さんがソリストに呼ばれたのか?
その答えは、ノット監督指揮するオーケストラの音にありました。

パガニーニ狂詩曲のオーケストラ・パートが、こんなにくっきりと分解能高く演奏されたのは(私の乏しい鑑賞経験の中ではありまするが)全く記憶にございません。
あのカンブルラン様が読響で振ったときだって、確か、こうはならなかったような…。(←芸劇の3階で聴いたので、断言はできませんが…。)

この、ロマンティックではなく、センチメンタルでもない、スタイリッシュでモダンなラフマニノフを実現するためには、ソリストは桃さんでなければならなかったのです(←大げさ)。
このオケの音、伴奏などではありません。
がっぷり四つの協奏曲、いや、交響曲並みの気合いで演奏されたオケ。
シェーンベルクよりも後の時代ながら、作風から「時代が逆戻りした」ような印象になるものと予想していましたが、その予想もはずれました。
感傷的な印象は皆無に近く、完全に「同時代」のような音楽。
本当に、本当に、素晴らしい演奏。
この曲の、これ以上の演奏は、おそらく、私が生きている間に、もう二度と出会えないでしょう(翌日のミューザ川崎での同演目の演奏会に行かない限り。

桃さんのアンコールも、最初、「メシアンかな?」と思いました。
桃さんらしい、クールだけどちょっと凄みがある演奏でした。

最後は、文字通りオーケストレーションの天才によるボレロ。
一般的には、この曲がこの日のメインディッシュでしょう。
その通り、素晴らしい演奏でしたが、それ以外の曲の演奏もめちゃくちゃ素晴らしかったので、最後は大喝采ながら、いつものノット監督のソロカーテンコール(一般参賀)にはなりませんでした。

凝りに凝った演目(桃さん、ちゃんと、構成を壊さないように、ラヴェルを選んだんですね~。さすが!)にお腹いっぱい。
満腹感で大満足です。

プログラム冊子に載っているアシスタントコンマスの廣岡さんの談話に「最初の頃は(ノット監督に)ついていけない時もあった」というようなことが載っていましたが、確かにそうでした。
私も、そういう演奏会にあたってしまったことはあります。
しかし、今や、就任当初に比べて打率は格段に上がっていると言って良いのでしょう。
東響は、秋山さんの時代の最後の方、スダーン監督との蜜月に続いて、ホップ・ステップ・ジャンプの、第3の黄金時代を迎えたと言って良いのかもしれません。

201710211

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