コンサート/オペラ2017

2017年4月30日 (日)

藤原歌劇団「セビリャの理髪師」(2017/04/30)

2017年4月30日(日)14:00
昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ

藤原歌劇団
ロッシーニ:セビリャの理髪師

(アルテリッカしんゆり2017)

正直、第1幕の最初の方は、どうなることかと思いましたが、尻上がりに良くなり、終わりよければ全て良し、めでたし、めでたし。

その、第1幕の最初の方で、どうなることかと思っていた舞台に活(喝)を入れたのがロジーナ役の丹呉由利子さん。
技巧的歌唱も、声の美しさも、演技も、全て素晴らしい。
丹呉さんは、プログラム冊子によれば、脇役でオペラの舞台経験を積んだ上で、今回が主役級でのデビューとのことです。
実はどちらかと言うと前日の脇園彩さんの方を聴きたかったのですが(すみません)、日程の都合がつかず、やむなく2日目のこの日を選択したのですが、丹呉さんの舞台に出会えて本当に良かったです。

フィガロ役の押川浩士さんも、存在感のある歌唱でした。
ロッシーニらしい軽やかさや技巧的声のコントロールとは少し違う印象もありましたが、芸達者であることは事実。

進行して、舞台上の流れがスムーズになるに連れて、ドン・バルトロも、ドン・バジリオも、ベルタも、芸達者の側面が良い方に出てきました。

伯爵は、これまた尻上がり(つまり、第1幕は、う~~ん)で、最後は頑張って大喝采を浴びました。

ピットのオケは、第1幕では、時折シンフォニック過ぎるように感じる時もあり、声をかき消すような場面も…。
ここぞというところで、歌手の声をかき消すくらいまでオケを鳴らさなくても…と思ったり…。
しかし、第2幕ではそんな場面はありませんでした。

演奏会ではあまり音響が良いと感じないテアトロ・ジーリオ・ショウワですが、構造上、オペラには向いているはず…と思っていました。
私はこの日初めてここでオペラを鑑賞する機会を得ましたが、やはり良く鳴ります。
ピットのオケもステージ上に配置されたときとは雲泥の差。
歌手にも優しい空間のキャパです。
やはりこの劇場は、コンサートホールではなくて、オペラハウスなのでした。
そして、オペラハウスとして見た場合、素晴らしい空間です。

ロジーナ:丹呉由利子
アルマヴィーヴァ伯爵:黄木透
フィガロ:押川浩士
ドン・バルトロ:田中大揮
ドン・バジリオ:上野裕之
ベルタ:吉田郁恵
フィオレッロ:田村光貴
隊長:小田桐貴樹

指揮:佐藤正浩
演出:松本重孝
合唱:藤原歌劇団合唱部
管弦楽:テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ

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飯森範親/東響(2017/04/30)

2017年4月30日(日)11:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:飯森範親
東京交響楽団

(モーツァルト・マチネ第29回)

≪オール・モーツァルト?・プログラム≫
モーツァルト:交響曲第43番K.76/42a
モーツァルト:バレエ音楽「レ・プティ・リアン」K.Anh.10(299b)
モーツァルト:交響曲第6番K.43

疑作、偽作、真作を並べた知的好奇心をくすぐる演目。
ただ、ミューザの空間に身を置いて聴いていると、それがモーツァルトの書いたものであろうとなかろうと、音楽を聴く歓び以外の何物でもありません。
確かに、違和感を感じる場面は時々ありましたが、モーツァルト・ブランドがついていなければ、そんな些細なことは気にもしなかったでしょう。
同時に、音楽の再生に占める指揮者の役割、演奏家の役割がいかに大きいかということも感じます。
ノンビブラート(または控えめ)だったと思いますが、エッジを立てず(すなわち、騒々しくなく)、優美さと快速性を両立した演奏は非常に心地良い。
それを、普段はなかなか座れないミューザの1階席で聴く贅沢。
全席均一料金なのです。
ショートプログラムですが、そのためにわざわざ足を運ぶ価値があります。

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2017年4月29日 (土)

鈴木優人/神奈川フィル(2017/04/29)

2017年4月29日(土)15:00
神奈川県立音楽堂

指揮・チェンバロ:鈴木優人
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

(定期演奏会 音楽堂シリーズ第10回)

ベートーヴェン:レオノーレ序曲第2番
J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲BWV.1052
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア第1番~前奏曲
(アンコール)
ハイドン:交響曲第101番「時計」
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク~第1楽章
(アンコール)

終わってみれば、バッハの印象が断然。
ハイドン目当てで行った私ですから、鈴木優人さんのお名前からの先入観のせいではないと思います。

冒頭のベートーヴェンから、いきなり鋭い音。
透明感のある音色で、一撃、二撃、三撃、…連射!は爽快。

それが、バッハになって、鈴木雅人さんの弾くチェンバロの音が間断なく紡がれると、空気感は一変。
あのチェンバロの音はもう、妙技としか言いようがありません。
聴き手は、ただただ、うっとりして聴き惚れるのみ。
弾き振りでこんな音を鳴らされたら、オケだって呼応せざるを得ないでしょう。
アンコールのソロを含めて、もう、めろめろになりました。

休憩後のハイドンも、ベートーヴェンと同様に、やはり透明感のある音。
ピリオドらしい、スピード感とリズム感の爽快な演奏ですが、この音色の透明感が他のピリオド演奏と異なる鈴木雅人さんの特徴(個性)かもしれません。
味わい深さ(音の深み)よりも、勢いの側面が強いですが、それを爽快感をもたらす、良い意味でに「若い音」です。
(バッハは、これらと違って、熟成感があったかも。)

アンコールのアイネ・クライネ・ナハトムジークは、弦楽合奏+ファゴットの編成だったそうで、演奏中は気がつきませんでしたが(←何を聴いてるんだか)、カーテンコールでファゴットの起立があったので「あれ?」と思い、あどで神奈川フィルのツィートで真相を知りました。

この演奏会、繰り返しになりますが、弾き振りしたバッハがさらに素晴らしく、協奏曲が序曲と交響曲を、少しを食ってしまった感もあったりしますが、ともあれ、ハイドン好きの私としては、嬉しい演目でした。

この月はオケ主催公演で「太鼓連打」(カンブルラン/読響)と「時計」(この演奏会)が聴けて幸せです。

なお、この日は2017年のゴールデンウィーク初日でした。
海外渡航に絶好の日の並びですが、今の私は、介護など色々あって、海外に出かけるなんて絶対に無理な状況です。
2007年の最初で最後の海外遠征(ウィーンで小澤さんの指揮するオランダ人を観ました)から10年が経過してしまいました。
ちなみに、シュナイトさんが神奈川フィルのシェフになったのも2007年でしたね。
シュナイトさんの頃に比べると、神奈川フィルの音もずいぶん(良い方に)変わりました。

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2017年4月23日 (日)

ゲッツェル/読響(2017/04/23)

2017年4月23日(日)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:サッシャ・ゲッツェル
読売日本交響楽団

(第95回みなとみらいホリデー名曲シリーズ)
ピアノ:ユリアンナ・アヴデーエワ

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
グリーグ:ピアノ協奏曲
チャイコフスキー:18の小品作品72~瞑想曲
(アンコール)
ドヴォルザーク:交響曲第7番

ゲッツェルさんが読響を振るとこうなる(こう鳴る)のね!とちょっと驚き。
これまで神奈川フィルやフォルクスオーパーで聴いたのに比べて、スポーツカーから高級セダンに乗り換えたような懐が深くスケールが大きな音。
どちらが良い悪いでなく。

アヴデーエワさんのピアノの深みをかじる音も素晴らしい。
旋律の歌い回しや弱音だけでなく、排気量の大きい車のような印象(余裕感)はオケだけでなくピアノも。
ここぞというところでも弾きまくって盛大に鳴らしても、豪腕の印象はなく、格調高いのも素晴らしい。

ピアノを良く聴く方にとっては「何を今さら…」かもしれませんが、アヴデーエワさんの素晴らしさを思い知らされました。

…と、前半終了時点でかなり満足度が高かったのですが、後半はさらにヒートアップ。
ヒートアップと言っても粗雑ではありません。
前半にも増して攻めの姿勢が鮮明な演奏。
第3楽章の優美さから一転して激情?の渦巻く第4楽章へアタッカでなだれ込む。
終楽章はかなりのハイテンションながら、格調も保ったあたりが読響の懐の深さかもしれません。

神奈川フィルを退任したゲッツェルさんが、みなとみらいで、下野さんが退任した直後の読響で、ドヴォルザークをでやる…というのは、事前には色々な思いがありました。
でも、今日の演奏を聴けて良かった。
ああ、新しい「時代」が始まったんだ、と晴れやかな気分になりました。

指揮者だって日々進化する。
ゲッツェルさん、1段階段を上がったような風格すら感じました。

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2017年4月22日 (土)

沼尻竜典/東響(2017/04/22)

2017年4月22日(土)18:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:沼尻竜典
東京交響楽団

(第649回定期演奏会)
チェロ:堤剛
合唱:東響コーラス
合唱指揮:大谷研二

グバイドゥーリナ:アッシジの聖フランチェスコによる「太陽の讃歌」~チェロ、室内合唱団と打楽器のための(日本初演)
ホルスト:組曲「惑星」

有名曲なので「あ、惑星ね」と気にもとめていませんでしたが、前半を聴いた後で後半を聴くと、あ、これは神秘性のプログラムだったんだ!と気がつきました。
太陽と惑星…でもありますが…。

前半のグバイドゥーリナの作品は、打楽器奏者が5人(だったかな?)だけ。
コーラスがその後方に楕円形の半円に並び、あとは指揮者とチェロ独奏だけ。
オーケストラの定期演奏会とは思えない編成ですが、曲が始まると、すぐにそんなことは感じなくなりました。
合唱が織りなすハーモニーは神秘的。
「神秘的」という言葉以外の言葉が思い浮かばず申しわけありませんが、とにかく神秘的。

堤さんの入魂の独奏は、突出せず、調和の中にありながら、常に曲の核となる中心にあります。
チェロ独奏は、途中、チェロを置いて、打楽器を叩いたり、こすったり、こすって音を出しながら合唱の前を歩く。
合唱の前でこする音を出すと、それに呼応して合唱のトーンが変わる。
プログラム冊子によれば、このチェロ奏者のパフォーマンスは、すべて楽譜に指示されているとのこと。
わが国のチェロの大御所の堤さんが、こんなパフォーマンスをやる光景は(事前には笑っちゃうかも…と思いましたが、笑っちゃうどころか)、真剣勝負に、もう、固唾をのんで見守り、受け止めさせていただきました。

この曲、Naxos Music Libraryに音源がありました。
沼尻さん、ロストロポーヴィチさんと録音しているのですね。
その音源で予習したのですが、スピーカでストリーム音源を聴くと「なにこれ?ヒーリング音楽?これが延々と続くのか?」と思いました。
実演は大違い。
打楽器奏者が、ガラスのグラス?をこすってあんな音を出してるなんて…。

いやー、得がたい体験をさせていただきました。

そして、ロストロポーヴィチさんがいたおかげでチェロのための作品が増えたという事実は知ってはいたが、今日もこの曲で、それを実感しました。

後半は大編成のオケが揃い、新シーズンの幕開け。

最初の「火星」は、ところどころ、かみ合わないところが散見されたような気がしました。
2曲目以降はさほどでもありませんでしたが、それでも、あうんの呼吸とまで至らず、ところどころオケの一部が遅れたりということはあったようです。
でも、それは細部のこと、些細なこと。
沼尻さんが東響から引き出した音は、これまでに他のオケで聴いた沼尻さんの印象+ふだん聴いている東響の音が相乗効果で、これまでの東響定期ではあまり聴いたことがないような均質的、かつ豪快、かつ艶やかな音…となりました。
東響定期で沼尻さんを聴くのは、私は初めてだと思いますが、以前にも(名曲全集とかで)客演されたことはありましたっけ?
確かに沼尻さんはこういう音響を作り出す方ですよね~と思いながら、また呼んでいただきたいな~と思いました。

「惑星」での合唱は、私の席(2階席舞台右側)からは全く見えませんでしたが、舞台右横の扉の外で歌われたのかな?

音による神秘体験に浄化されたような演奏会でした。

蛇足ですが、プログラム冊子を見て、東響コーラス、前半と後半ではメンバーが分かれているのか、当たり前だよね…と思いましたが、よく見たら両方にお名前が載っている方もいらっしゃる。
前半のあれ(あの凄い曲)を歌った後に後半も歌うとは、さすがは超働き者オケの東響の附属コーラスですね。

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2017年4月16日 (日)

ルイージ/N響(2017/04/16)

2017年4月16日(日)15:00
NHKホール

指揮:ファビオ・ルイージ
NHK交響楽団

(第1858回定期公演Aプログラム)
ヴァイオリン:ニコライ・ズナイダー

アイネム:カプリッチョ作品2(1943)
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番~アンダンテ
(アンコール)
マーラー:交響曲第1番「巨人」

個人的に、母親が緊急入院したりして、疲弊して向かえた週末。
前日の土曜日は都営新宿線のホームまで行ったのに、強い疲弊感で身体が言うことをきかず、初台に向かわずに引き返すという失態。
空席をつくって申しわけございません。

この日は、まだ少し疲弊感が残っていましたが、出かけました。
出かけて正解でした。
体調が今ひとつの中、このN響定期を聴いて体調上向きに。
やはり音楽にはヒーリング効果が有るよね…と普段なら言うところですが、この日に限っては、覚醒作用と興奮作用によるものだと思います。

このような体調と精神状態だったので、1曲目はよく覚えていません。
音を聴いてホッとしたというのが実感。
ああ、音楽って、いいよね、生の音楽っていいよね、と。

続くメンデルスゾーンの独奏、ズナイダーさんは、出だし、スリムな音像ね…と思っていたらそんな単純なものではなく、チャーミングな表情や太筆も使い分け、最後はオケとともに突っ走る快感の演奏。
「この曲を甘く見てはいけない」とわかってはいますけど、どうしても有名曲なので、「またメンコンかい?」と言うような斜に構えた感じで臨むのをお許しいただきたい。
定期演奏会でわざわざ弾くのだから、真剣勝負で当たり前ですが…。

会場の興奮をやさしく冷ますような、アンコールのバッハの無伴奏が心に染み入る。
幸せな空気が充満して前半が終わりました。

後半の「巨人」は、今の時代においては、かなり濃厚な部類に入るマーラーと言って良いでしょう。
音量の振幅だけでなく、横方向の揺さぶりやスパイスを散りばめる。
テンポの緩急も、加速と減速のギアチェンジが見事。
これだけ、あれこれやっているのに、作為感なく最後まで貫いた熱演。
おそらく計算しつくされた完璧な熱狂だと思いますが、いま、まさに生まれた興奮のように聞こえるところもさすが。
終演後の会場は大歓声に包まれました。

第3楽章冒頭のコントラバスは、ソロではなく合奏で演奏していましたが、聴感上はあまり変わったことをしているという印象は無し。
(ソロと違って強く弾く必要が無いので、きれいな音が出せる…とおっしゃっている文章をネット上で拝見しましたが、なるほど、そういう側面はあるかもしれません。)
むしろこの楽章は、緩急の緩はひたすら止まるくらいに、急は急かすくらいの煽りが印象的でした。

ルイージさんが素晴らしいことは十分に存じ上げていますが、私は最近、なかなか聴く機会がありませんでした。
(外来オケの来日などではなく)定期演奏会で聴けて嬉しいです。

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2017年4月 9日 (日)

カンブルラン/読響(2017/04/09)

2017年4月9日(日)14:00
東京芸術劇場

指揮:シルヴァン・カンブルラン
読売日本交響楽団

(第196回日曜マチネーシリーズ)

ハイドン:交響曲第103番「太鼓連打」
マーラー:交響曲第1番「巨人」

実は「巨人」ではなく、「太鼓連打」が目当てで買ったチケットです。
(ハイドンの交響曲の中で、たぶん一番好きな曲です。)
そのハイドンは期待通りの素晴らしさ。
しかし、後半のマーラーも(万人受けするかどうかはともかく)素晴らしい。
いろいろありましたが(→後述)、「行って良かった!!」という演奏会でした。

「太鼓連打」は自在な“太鼓殴打”で始まりました。
いや、これくらいは最近は当たり前。
最初にアーノンクールのCDを聴いた時は驚きましたが、今では比較的頻繁にこういうティンパニに出会います。
(本当かどうか存じ上げませんが、この曲、この後に続く静かな旋律に注目を集めるために、ティンパニを“静かに”連打させた…という解説を読んだことがあります。
昨今の壮大な殴打だと、そういう効果とはちょっと違う気もしますが、まあ、これはこれで面白いので、どちらでもいいです。)

遊び心の側面を随所に散りばめながら、スピード感とスリリング、そして格調高く鳴らした爽快かつ味わい深い演奏。
ノンビブラートではないと思いますが、かなりビブラート控え目でしょうか。
後半も続けてハイドンの他の交響曲を聴きたいくらいの満足度でした。

さて、休憩時間が終わって席に戻ると、ステージ上は巨大編成に配置換えされていました(当たり前)。

のたうち回らず、大見得をきらず、着実に歩みを進めれば音楽が自然と高揚するマーラーとでも言いましょうか。
前半のハイドンと違って、やや遅めに、一歩一歩構築していった印象。
興奮と言うよりは味わった体感に近いのに、やっぱり最後は興奮しているという、ちょっと不思議な感動。
こういうマーラーもいいね、と素直に絶賛したい演奏でした。
以前聴いた5番が、私は少し相性が良くなかったので身構えていましたが、杞憂に終わりました。

なお、第3楽章あたりから最後まで、携帯音楽プレイヤーの切り忘れのような異音が聞こえました。
3階席でも楽章間で聞こえたそうですが、私の席(舞台の近く)では、演奏中の静かなところでも聞こえました。
ソプラノが歌っている音源のようにも聞こえましたが…???
3楽章冒頭はカンブルランさんが顔をしかめ、一瞬、演奏を止めようかとすら思ったようにも見えました。
いったい何だったのでしょう?

しかし、そんな妨害?があったのに、終わった後、喜んで拍手できたのは、私は初めてかもしれません。
普段だったら、憮然、呆然としていたかも…。
私、人間が円くなったのでしょうか…。
いや、演奏が素晴らしかったのだと思います。

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2017年4月 8日 (土)

上岡敏之/新本フィル(2017/04/08)

2017年4月8日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:上岡敏之
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第572回定期演奏会 トパーズ<トリフォニー・シリーズ>)
ヴァイオリン:ヴァレリー・ソコロフ*

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番「バラード」
(アンコール)
ドヴォルジャーク:交響曲第7番
ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲作品72-2
(アンコール)
ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲作品72-1(アンコール)

ブラームスでソロを弾いたソコロフさん、テカテカなくらいに艶やかなヴァイオリンは、まるで電気的にエコーをかけたかのようにすら聞こえます。
そういう音なのに、太筆には感じられず、大味にもならず、かなり細かい表情付け。
私としては、もう少しスリムタイプか、あるいは重厚タイプが好みですが、ソコロフさんのスタイルは、これはこれで、確立されたスタイルと言うべきでしょう。

上岡さんの指揮するバックのオケも、交響曲並の全力投球。
あちこちに、一瞬「あれ?」と思うような細かいスパイスがちりばめられていますが、全般的には堂々たるドイツ音楽。

ソコロフさんのヴァイオリンは、ブラームスではちょっと解放感(楽天的)が感じられましたが、アンコールのイザイでは、一転、凝縮感(内省的)が感じられ、私はこちらの演奏の方が、好感でした。

後半のドヴォルザークは、流麗!
そして、揺らぎ、いや、揺さぶり。
あえて縦の線を無理に合わせようとせずに、加速減速を伴う煽りで突っ走った演奏。
粗雑な演奏ではなく、十分に練り込んだ上で、本番でさらに輪をかけたような…。
(前日に1回演奏しているにもかかわらず)、最初のうちはオケ、あるいはその一部が一瞬遅れるときも散見されましたが、まさにライヴならではなので無問題。

アンコールのスラヴ舞曲2曲を加えて、最終的には(拍手をはさんだとは言え)6楽章の交響曲のようにも感じられた演奏会。
アンコールがあっても、本編の交響曲での力の温存は無しの全力投球。
もちろん、指揮があれだけ半狂乱のように振れば、オケも応じざるを得ないでしょう。
上岡さんの着任後、良かったね~また来ようね~と思える演奏会が続く新日本フィル。
オケの音も少し熟成してがっしりしてきたかもしれません。

(なお、この日は、いつもの同じ席で聴いたにもか関わらず、まるで残響が増えたように感じられたのですが、なぜだったのでしょう??)

開演前のロビーコンサート

ヴァイオリン:崔文洙
ヴィオラ:井上典子

モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲K.423 より

さすがコンマスと首席、シャープな音像(NJPのフルオケの音のイメージ通り)で、優雅ながらも、ぐいっぐいっというスパイスを隠し味に込めた爽快な演奏でした。

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2017年4月 1日 (土)

東京春祭「神々の黄昏」(2017/04/01)

2017年4月1日(土)15:00
東京文化会館 大ホール

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2017-
東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.8
『ニーベルングの指環』 第3日
神々の黄昏
(演奏会形式/字幕・映像付)

第3幕の葬送行進曲の後、喉に刺さった小骨が取れたかのように感じてしまいました。
終わりよければすべてよし!!
ブリュンヒルデが最後で良かった、良かった。

ジークフリートに関しては、パワーのある歌手に囲まれて気の毒なくらい。
オケの音の中に声が埋もれがちになる場面も多々あり、英雄のはずが、ひ弱な印象すらあり。
ブリュンヒルデだけでなく、ハーゲンやグートルーネと絡んでもパワー不足の印象がありました。
他の歌手、指揮もコンマスもオケも素晴らしいだけに、いつも打たれて負けているクローザーが9回裏に出てきて、おいおい大丈夫かい?…に似た体感を覚えたのは私だけ?

休憩時間のロビーでは、「あ、こんにちは」と知り合いに会って挨拶をしている方々が、二言目には全く同じ会話「ジークフリートは…」を交わしているという…。^^;

急の代役であることは事情として理解するとして、ブリュンヒルデもが急の代役で、よくぞこんな人を呼んできた!というのと、どうしても相対比較してしまいます。
すみません。

のカーテンコールでの歌手に対する客席の拍手は正直に出たなーという印象。
ブリュンヒルデとハーゲンの大歓声の谷間に挟まれたジークフリートは、極端に拍手のトーンが下がって気の毒なくらい。
それでも、ブーイングも(たぶん)なく、まあ、急な代役お疲れ様、仕方ないよね、急だったもん、みたいな…。

もっとも、第3幕は多少は上向いた印象もあり、2日目は(私は聴けませんけど)良くなるかも???

あと、パワー不足は横に置いて、声自体はコントロールされた綺麗な歌だったような気もいたします。
もしかして小ホールでピアノ伴奏で歌曲でも歌ったら、手のひらを返したように絶賛するかも…という気も少々。

…と、ジークフリートの悪口ばかり書きましたが、それを除けば、素晴らしい上演でした。
オペラなのでいろいろあるわけでして、これで文句を言ったら叱られます。

N響に関しては、極上の手触りのようなオケの音色に驚きました。
ヤノフスキさんの指揮はもちろん、元々のN響の伝統(故人となった方も含めて、名誉指揮者からの薫陶)に加え、キュヒル・コンマスの果たした影響力が大なるところは客席から見ていてもは明らか。
時折、コンマスの出が一瞬早い(おそらくオケ全体の方が一瞬遅れる)(あえて速く出ているという説も)場面があったのはご愛嬌。
…と言うより、やはりキュッヒルさん、凄いわ、名前だけじゃないわ…と。

この日は私にしては珍しく下層階に座っていたせいか、以前、上層階で感じた、背面が反響板ではなくスクリーンであることによると思われた音響的違和感は、全く感じませんでした。
席の違いのせいか、オケの音の気合い(コンマス効果?)のせいかは、不明です。

エコノミークラスのような東京文化会館の座席で、東京から東南アジアへのフライトと同じくらいの5時間半が、あっという間に終わった印象でした。

指揮:マレク・ヤノフスキ
ジークフリート:アーノルド・ベズイエン
グンター:マルクス・アイヒェ
ハーゲン:アイン・アンガー
アルベリヒ:トマス・コニエチュニー
ブリュンヒルデ:レベッカ・ティーム
グートルーネ:レジーネ・ハングラー
ヴァルトラウテ:エリーザベト・クールマン
第1のノルン:金子美香
第2のノルン: 秋本悠希
第3のノルン:藤谷佳奈枝
ヴォークリンデ:小川里美
ヴェルグンデ:秋本悠希
フロースヒルデ:金子美香
管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル)
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:トーマス・ラング、宮松重紀
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
映像:田尾下哲

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2017年3月26日 (日)

新国立劇場「ルチア」(2017/03/26)

2017年3月26日(日)14:00
新国立劇場

ドニゼッティ:ルチア

「金返せ!」の反対語は「チケット安かった!!!」でよろしいでしょうか。

今後、このプロダクションが再演されるたびに「プレミエの時は凄かったんだけどね」と言われる未来を作ってしまった凄演でした。

第1幕の中盤の時点で、幸せな興奮が客席に充満。
主役3人が、絶叫調にならずにパワー全開(まだ余力がありそうですが)。
ピットのマエストロとオケも歌に寄り添いながら存分に魅惑的な音を奏でる。

これで文句を言ったら叱られるレベルの上演ではありますが、私の席からだと、舞台上の定位置で歌うのと、やや高いところ(と言っても1~2mの高さ)で歌うのとでは、音響的に、結構、声の通り具合が違う印象。
これは歌手の皆さんの責任ではありません。
私は、常日頃、演出家の皆さん、高いところや、奥まったところで歌わせないでほしいなぁーと思っていますが、この舞台も時々、そういう場面もありました。

第2幕(第2部第1幕)は、婚姻の署名の後の重唱が素晴らし過ぎ…だけで終わらずに、幕切れに向けて合唱も加わっての畳み掛け(ピットのオケを含む)はまさに手に汗握るドラマティック!!
この作品がこんなに劇的だったなんて、まるで初めて知ったかのような(オペラ初心者ですみません)。

第3幕(第2部第2幕)の…いや、この作品のクライマックスは、言うまでもなく狂乱の場のはずですが、私はこれまで、なんとなく劇としての物足りなさを感じていました。
「ルチアが花婿を殺害した」というのは、別室の場面の説明に近い“語り”として歌われ、そこへ、ルチアがふらふらと出てくるからです。
しかし、この日は衝撃的な視覚効果が用意されていたと言って良いでしょう。
花婿の首を槍の先に突き刺したようにして持って出てきたのです。
(ネット上で、「サロメ」うんぬんと言われていたことの意味が、観てようやくわかりました。)
グロテスク、悪趣味…という意見もあり得るでしょう。
しかし、私は好意的に観ました。
これまで劇としての物足りなさを感じていた部分を、ルチアが登場した後の視覚効果で補ってくれたような気がしました。
本当は凄惨なはずの場面の衝撃を視覚的によく表していたと思いました。
(カーテンコールで、小原さんが首をさすりながら出てきたのは、どうかと思いますが…。)

狂乱の場のピットの中で奏でられた、本来の編成のグラスハーモニカの不思議な音色も素晴らしかったですが、ルチアは本当に感情移入した歌唱で、目つきは本当に狂っちゃったようでした。

歌手はもちろん、ピットのオケも素晴らしかったのではないでしょうか。
時折、評論家の先生に酷評されることもあるピットですが、それは指揮者に起因することも多いのでは?と、この日の素晴らしい音を聴いて、それを導いたピットのマエストロの指揮の動作を見て、思いました。
もちろん、公演を重ねた最終日ということもあるかもしれませんが…。

カーテンコールでは主役3人がプロンプターさんと握手。
ルチアはグラスハーモニカ奏者とも握手。
ルチアはずいぶんはしゃいでいましたが、最終日だし、会心の舞台でもあったのでしょう。

冒頭に書いた「金返せ!」の反対語の件、仮に「本日の公演がお気に召しましたら、お帰りの際に一口千円以上のご寄付をお願いいたします」と出口に箱を置いたら、180万円くらい集まったのではないでしょうか????

スタッフ
指揮:ジャンパオロ・ビザンティ
演出:ジャン=ルイ・グリンダ
美術:リュディ・サブーンギ
衣裳:ヨルゲ・ヤーラ
照明:ローラン・カスタン
舞台監督:村田健輔

キャスト
ルチア:オルガ・ペレチャッコ=マリオッティ
エドガルド:イスマエル・ジョルディ
エンリーコ:アルトゥール・ルチンスキー
ライモンド:妻屋秀和
アルトゥーロ:小原啓楼
アリーサ:小林由佳
ノルマンノ:菅野 敦
合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
グラスハーモニカ:サシャ・レッケルト

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