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2018年5月の4件の記事

2018年5月27日 (日)

新国立「フィデリオ」(2018/05/27)

2018年5月27日(日)14:00
新国立劇場

ベートーヴェン:フィデリオ

2回目の鑑賞なので、音楽に耳を傾ける余裕が出てきました。

第1幕。ピットの東響の筋肉質に引き締まった音が素晴らしい。
重低音一辺倒だけじゃない飯守監督の、ツボを突くような音がビシバシ飛び出します。
舞台が3階層(右端は4階層)で、歌う位置の高低差があるためか、歌手の声は、位置によって印象差がありました。
第2幕になって、グールドさんが声を出すと、その圧倒的な声のスケールは、位置など関係なく突き抜けましたが…。

第3幕のレオーノーレ序曲以降、ピットの飯守監督、煽る、煽る。
その、一見“振り回しているだけ”のような指揮に、おそらく水谷コンマス経由で一糸乱れず追従した東響、本当に素晴らしい。
独唱歌手陣、合唱も、素晴らしい。
いや、もしかしたら初日の演奏もこうだったのかもしれませんが、私は初日は演出に打ちのめされて、音楽に気が行きませんでした。

演出は2回目になると多少観る余裕が出てきました。
まあ、結末を知っている推理小説みたいなものですが、前回、気がつかなかった細かいことに気がついたりもしました。
レオノーレ序曲の間、ブロックを積むだけでなく、もっとパントマイムを入れればいいのに…とか、欲張りなことを思ったりしますが、1回目の鑑賞のときは、目の前の光景を受け入れるだけでした。
おそらくもう1回観ると、さらに慣れるでしょう(?)
こうしてみると、刺激的な演出の賞味期限は、結構短いのかもしれません。
そうは言っても、賛否両論の演出は観ていて面白いです。
私は2回目には肯定派に転じつつありますが、初日は「斬新」と思いつつも「勘弁してよ」という気持ちもありました。

トーキョーリングはもう帰ってきませんが、新国立にカタリーナ・ワーグナーさんを呼んだ飯守監督の功績は、大きい。
飯守監督は、もしかして、予算が潤沢であれば、指輪4作を全てカタリーナ・ワーグナーさんの演出でやりたかったのでは?と思ったりもしました。
任期最後に指揮する作品を「神々の黄昏」にしなかったですし。
「パルジファル」で始まり「フィデリオ」で終わりつつある、新国立の一つの時代…。

スタッフ
指揮:飯守泰次郎
演出:カタリーナ・ワーグナー
ドラマツルグ:ダニエル・ウェーバー
美術:ユリウス・ゼンメルマン
衣裳:トーマス・カイザー
照明:クリスティアン・ケメトミュラー

キャスト
ドン・フェルナンド:黒田博
ドン・ピツァロ:ゲルト・グロホフスキー
フロレスタン:ステファン・グールド
レオノーレ:リカルダ・メルベート
ロッコ:妻屋秀和
マルツェリーネ:石橋栄実
ジャキーノ:鈴木准
囚人1:片寄純也
囚人2:大沼徹
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団

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2018年5月20日 (日)

新国立「フィデリオ」(2018/05/20)

2018年5月20日(日)14:00
新国立劇場



ベートーヴェン:フィデリオ



演出に対するブーイングの嵐は、やった方から見れば大成功、してやったり、でしょう。
音楽が白熱すればするほど、やり切れなさが漂う終結部の舞台。
最後の音が鳴り終わった後、一瞬の間合いを置いて、戸惑ったように始まる拍手。
挿入された序曲「レオノーレ」第3番が、こういう風に聴こえてしまうとは…。



まだ初日なので、ネタバレを回避しようとすると、感想が述べにくくなりますが、まず、どこに注意して観るべきかというと、大臣の到着を知らせるラッパが鳴った直後。
その後は、おいおい、ベートーヴェンの崇高な音楽に、どうしてこういうストーリーをつけるかい!
しかしながら、そのステージ上の光景を目の当たりにしながらベートーヴェンの音楽を聴くと、確かにそういう側面を内包した音楽(ベートーヴェン自身が意図したかどうかは別として)。



最後の方は、ラダメスとアイーダへのオマージュ?と思ったりしましたが、そこだけで終わらず、さらに最後に急展開があり、本当に暗澹たる気分で打ちのめされました。



この日の私は疲労蓄積でめちゃくちゃ体調が悪く、正直、鑑賞を自粛しようかと思ったくらい。
でも、きっとカタリーナ・ワーグナーさんに対するブーイングが出るだろうから、それを生で観たい!と思って、疲れた身体を引きずって、初台に足を運びました。
目的は果たしました。
疲れを音楽で癒されるどころか、余計、疲れが増幅したような気もしますけど。



第1幕の印象が薄くなってしまいましたが、なんと本来お休みのはずのフロレスタン役のステファン・グールドさんが、ずっと地下牢でパントマイムの出ずっぱり。
意外とめまぐるしい動きはない印象でしたが、観客は一点だけ凝視していれば良いわけでもありません。
序曲からパントマイムは、今どきは珍しくもありませんか…。



今の私はヨーロッパ遠征などできない身分なので、負け惜しみではなく、日本に居て、初台で、こういう尖った演出を観れたことを感謝すします。
この演出家を呼べたのは、飯守監督の最大の功績の一つかもしれません。



音楽のこと、歌手のことを全く書きませんでした。
グールドさんの突き抜けた声はやはり別格。
新国立の飯守監督指揮の公演で、終演後、飯守監督のことをほとんど感想を述べない私も珍しいと思われます。



スタッフ
指揮:飯守泰次郎
演出:カタリーナ・ワーグナー
ドラマツルグ:ダニエル・ウェーバー
美術:ユリウス・ゼンメルマン
衣裳:トーマス・カイザー
照明:クリスティアン・ケメトミュラー



キャスト
ドン・フェルナンド:黒田博
ドン・ピツァロ:ゲルト・グロホフスキー
フロレスタン:ステファン・グールド
レオノーレ:リカルダ・メルベート
ロッコ:妻屋秀和
マルツェリーネ:石橋栄実
ジャキーノ:鈴木准
囚人1:片寄純也
囚人2:大沼徹
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団

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2018年5月19日 (土)

ファレッタ/新日フィル(2018/05/19)

2018年5月19日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:ジョアン・ファレッタ
新日本フィルハーモニー交響楽団

(第15回RUBY<アフタヌーンコンサート・シリーズ>)
ピアノ:山下洋輔

バーバー:交響曲第1番
ガーシュウィン:ピアノ協奏曲へ調*
カーニス:ムジカ・セレスティス
コープランド:バレエ組曲「アパラチアの春」

1曲目のバーバーで、「音の溶け合いがいまひとつかも」と思いましたが、その他の曲は無問題。
良い演奏会でした。

個人的体調(疲労)により、集中力が今ひとつだったので、バーバーの感想は省略。

続くガーシュウィンは、鮮烈なリズムがオケから鳴り、「あ、この指揮者は、ハーモニーよりも、こういう方向が得意なのかな?」と思いました(違っていたことは、後半にわかりました)。
山下洋輔さんのソロは、即興を交えてのものと思われ、ピアノソロの部分に入ると、長大で、一瞬、音楽の流れを阻害するようにも感じます。
しかし、聴いているうちに、その長大なピアノソロに引き込まれ、またオケが入ってくると、我に返った、目が覚めたような錯覚。
そして、しばらく進むと、再び長大なソロ…という具合。
最初のうちは「いつ、終わるんだい?」と思ったのが、最後は「いつまでも続いて欲しい」に変わったくらいで、聴き終わったときは、「ようやく終わった」ではな、少し興奮モードで聴いておりました。

会場も同じ気分だったようで、盛大な拍手、山下さんがアンコールを弾くまで続きました。
(アンコール曲、メモ(撮影)してくるのを忘れました。他の方のブログを拝見すると、ガーシュインのサマータイムの自由な即興とのこと、え、あれ、ガーシュインのサマータイムだったんですか?)
なんだか、変幻自在と思っていた協奏曲ですら、枠をはめていたのかな?と思える、スリリングなアンコール演奏でした。

後半の弦楽合奏だけで演奏されたカーニス、そしてフル編成で演奏されたコープランドと、1曲目で感じた「音の調和感がもう少しあれば」は、完全に解消されました。
「格調の高さ」をも感じる音色。

NJPも最近、本当に好調ですねぇ。
指揮者が導いたにせよ、見事に応えています。
錦糸町の客席がこういう風に沸くのも嬉しい限りです。

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2018年5月13日 (日)

パーヴォ・ヤルヴィ/N響(2018/05/13)

2018年5月13日(日)15:00
NHKホール

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
NHK交響楽団

(第1885回定期公演Aプログラム)
ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番~アンダンテ
(アンコール)
シベリウス:交響詩「4つの伝説」

とうとう、NHKホールにこういう音が鳴ってしまったか…と言ったら大げさですが、かなりピリオド寄りの演奏。
ノリントンさんが客演していた頃もピリオド寄りの演奏はありましたが、パーヴォさんの鳴らす音は、あれとは結構違います。
何と言うか、素朴系とでも言うか…。

テツラフさんの独奏とオケの音は、どちらかと言うと同質系で、見事なまでに寄り添います。
ガラス細工のような繊細さの印象が強い演奏でしたが、ここぞという所で太筆でアグレッシブに弾きます。
第1楽章のティンパニが寄り添って演奏されたカデンツァや、第3楽章の最後などは、手に汗握る演奏。
これを体験できただけでも、雨の中、足を運んだ甲斐がありました…ともう終わったような気分の休憩時間。
しかし、後半も凄かった。

「繊細な音の織りなす」「ここぞという所でアグレッシブな」と、文字にすると、なんと前半のベートーヴェンと似たような文字の羅列になってしまします。
しかし、鳴っている音は相当に違います。
音楽の前で言葉の無力さを悟るしかありません。
時代を経てスケールアップされた音楽様式と管弦楽法によって、パーヴォさんが引き出す音は、基本的に同じ方向のアプローチでも、鳴る音はこのようになるということでしょう。

「トゥオネラの白鳥」が本来の位置におさまると…を通り越して、やはりこの曲は4曲からなる連続ドラマだ…というのを音にしてみせた演奏です。
第2曲以降はほとんど間合いをおかずの一気呵成。
さほど有名ではない曲ですが、NHKホールは沸きに沸きました。

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