コンサート/オペラ2019

2019年7月20日 (土)

ノット/東響(2019/07/20)

2019年7月20日(土)18:00
サントリーホール

指揮:ジョナサン・ノット
東京交響楽団
(第672回 定期演奏会)
ソプラノ:サラ・ウェゲナー
メゾソプラノ:ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー
合唱:東響コーラス

J.シュトラウスⅡ:芸術家の生涯
リゲティ:レクイエム
タリス:スペム・イン・アリウム(40声のモテット)
R.シュトラウス:死と変容

リゲティとタリスで東響コーラスが歌いましたが、日頃は暗譜での歌唱が多い東響コーラスが、楽譜を手に持って歌った曲でした…ということが曲の複雑性を物語る??

リゲティのレクイエムは、断じて理解できたなどとは申しませんが、感じることはできました。
何と言いますか…。
サントリーホールの空間を異空間に変え、その空間を支配する曲。
1965年初演とのことなので、もう“現代音楽”ではないような気もしますが、私にとっては十分に斬新。
例えそうであっても、演奏の力というのは大きいもので、指揮者が本気で指揮し、オケや歌手が本気で演奏、歌唱すれば、聴衆の心を揺さぶるという…。

続くタリス(合唱のみ)は、一転して耳に快いメロディーですが、プログラム冊子によると、「ソプラノ、アルト、テナー、バリトン、バス」×8パート=40声部とのことで、耳に心地良い均質感の中は、複雑な動きをした上での調和、という曲。

そして、R.シュトラウスは、静かな部分と激しい部分の対比が素晴らしい。

一見、無造作に4曲並べたようでいて、聴けば、起承転結ならぬ、起「転」「承」結になっているというノット・ワールド、with 東響コーラス!
飲み込まれてしまいました。

こうして聴いてみると、1曲目から4曲目まで、なんとなくつながってる感…だけでなく、もしも翌日の川崎定期も続けて聴けば(私は聴けませんけど)、4曲目のR.シュトラウスから1曲目のJ.シュトラウスⅡへもつながっているのでは?と思えた1曲めの演奏。
先入観のせいかもしれませんけど、なんとなく、楽しいだけじゃなく、もの悲しさを内包した演奏だったかもしれません。

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上岡敏之/新日本フィル(2019/07/20)

2019年7月20日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:上岡敏之
新日本フィルハーモニー交響楽団
(第608回定期演奏会・トパーズ<トリフォニー・シリーズ>)
ピアノ:マリアム・バタシヴィリ

ビゼー:交響曲ハ長調
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番
パデレフスキ:メヌエット(アンコール)
ラヴェル:「マ・メール・ロワ」組曲
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲
ドビュッシー:管弦楽のための「映像」~「イベリア」第3曲「祭りの日の朝」(アンコール)

1曲目から、弾けるような楽しさで始まった演奏会。
「弾ける」と言っても、弾力的な響きではなく、シャープでやや硬質な音。
2曲目のソリストも、のめり込むように弾き、ピアノも指揮者もオケも、はじけちゃって、もう大変、楽しい。
それでも、ノリノリ一辺倒ではなくて、力を抜くときの絶妙の弱音のニュアンスも織り交ぜています。

後半は「マ・メール・ロワ」の柔と「ダフニスとクロエ」の剛を描き分けた感もありますが、やや硬質感のある音が「ダフニスとクロエ」の終曲の炸裂に極めて効果的。
前週の指揮者、ヴェネツィさんのファリャの色彩感とは少し違う響きのNJP、今さら…ですが、指揮者によってオケの音がガラリと変わることを目の当たりにするとともに、NJPが好調を維持していて嬉しい限りです。

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2019年7月13日 (土)

ヴェネツィ/新日本フィル(2019/07/13)

2019年7月13日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:ベアトリーチェ・ヴェネツィ
新日本フィルハーモニー交響楽団
(第24回ルビー アフタヌーン・コンサート・シリーズ)
ハープ:吉野直子
メゾ・ソプラノ:池田香織

ニーノ・ロータ:組曲「道」より抜粋
ヒナステラ:ハープ協奏曲
アッセルマン:泉(アンコール)
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」全曲
プッチーニ:歌劇「妖精ヴィッリ」間奏曲(アンコール)

連続券で買っていたから行きましたが(すみません)、日頃の私ならノーマークの演奏会だったことでしょう。
よって、斜に構えて「お手並み拝見」という感じで席につきましたが(すみません)、とんでもない、驚異的と言って良い演奏に度肝を抜かれました。

ただ、「会場も大半がそんな感じ(お手並み拝見)だったのでは?」とも思いました。
終演後の熱狂的な拍手とブラボー。

そう、特に後半の「三角帽子」です。
オケを南欧の陽光を想起させるカラフルサウンドに染め、瞬発力のある炸裂するリズムを刻みながら粗雑にならない音の処理をしてみせた指揮者の力量に脱帽です。
それを音にした新日本フィルもさすが。
これは凄い、驚きました。

池田香織さんは、1回目は舞台上手(右側)後方での歌唱。
2回目は舞台裏、下手(左側)の扉を開けての歌唱。
ただ、私の席は上手側バルコニーで、舞台上手(右側)後方での歌唱では、直接音はあまり来ない位置での鑑賞となったため、音像が定まらない印象。
逆に、音像をぼかす効果のはずの舞台裏、下手(左側)の扉を開けての歌唱は、上手側バルコニーには音が比較的直線的に届くという…。
池田さんの歌唱のことではなく、ホール音響的なことに感心が行ってしまいましたが、どこで歌うかの決定権は指揮者にあるはず。
まあ、1階席中央の聴衆を想定しての音響設計だったのでしょう。
これだけは、「久しぶりに池田さんの歌唱を聴ける」と思っていたので、ちょっと残念でした。

前半は、ニーノ・ロータの曲で始まりました。
スカッと爽快系の音ですが、やっぱり軽めの曲なのかな。
ヒナステラと比べると、そして後半のファリャと比べると、音の深みが違う感じがしました。

ヒナステラでの吉野さんの音は、もう人間国宝ものの老大家の至芸の域に達してしまったかのような絶妙さです。
ハープの音が、単に美しいだけでなく、こんなに深みがあるとは…。

池田さんをちょい役で起用するという贅沢、吉野さんを呼ぶ贅沢、結構な贅沢な人選と思いますが、指揮者も代役なのにわざわざ海外から招聘だけのことはあったのかもしれません。
ヴェネツィさん、斜に構えて足を運んですみませんでした。

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2019年6月29日 (土)

ヴァンスカ/香港フィル(2019/06/29)

2019年6月29日(土)20:00
香港文化中心

指揮:オスモ・ヴァンスカ
香港フィルハーモニー管弦楽団
クラリネット:カリ・クリーック

シベリウス:フィンランディア
リンドバーグ:クラリネット協奏曲
シベリウス:交響曲第2番

范斯克、香港管弦樂團、2日目。

シベリウスの交響曲第2は、前日の演奏で十分に満足していたのですが、この2日目の演奏は、「昨日は公開ゲネプロだったのかな?」というくらいの素晴らしさ!!
ヴァンスカ様、たっぷり歌わせるところまで気合い入れまくりで、オケを半狂乱にさせる。
弦楽器1列目の奏者、特に私の席から良く見えたチェロの女性奏者の方の表情や身体の揺れ具合は、もう完全に、ヴァンスカ様にマインドコントロールされている状態。
私は、客席で、もう、演奏中に目がうるうるしてしまい、感激、興奮、感謝。
やっぱり生演奏のヴァンスカ様は凄い。
しかも、2日連続にもかかわらず、結構印象が違います。

冒頭のフィンランディアも、前日の演奏(あれ?香港フィルって、こんなもん?と思いました)とは雲泥の差のパワーアップ。
爆演一歩手前の煽りで興奮ものでした。
ヴァンスカさんなら、さらにもう少し磨き抜かれた音色にできると思いますが、オケからすれば、難曲の協奏曲と大曲の交響曲を控えていたから仕方ないのかな。
それでもパワーアップが確認できて良かったです。

リンドバーグの複雑極まりない協奏曲も、2日目でオケもこなれてきて素晴らしい。
クラリネットの音色がこれだけ多様、多彩、多色とは…。
これだけ音のパレットがあるから、シンセサイザーなど要りませんね。
クラリネット1本でこれですから、オーケストラ位の楽器があれば、音のパレットは組み合わせも含めて無限になるようなものです。
前日と同様に、充足感すら感じる終結で、この日も会場も大喝采。
ソリスト・アンコールは、たぶん同じ曲で、演奏終了後は前日は控えめだったのが、ステージ上で拍手に応えてポーズをとり、パントマイムと言って良いくらいの動きで、会場とスケージ上のオケの皆さん微笑、爆笑をさそいました。

香港文化中心のコンサートホールは、200人規模にもかかわらず、こじんまりとした印象。日生劇場よりも狭いのでは?と錯覚しそう。
ステージを客席が取り囲んでいるのに加えて、おそらく、1階席に“雨宿り”席が多いのかもしれません。

私は2階席の舞台サイドの席を事前にネットで購入。
国際郵便で出発前に受け取りました。
昨日は右側(いわゆるRA)に座りましたが、この日の2日目は左側(いわゆるLA)に座りました。
ヴァンスカ様を間近に見られて感激でした。

この2日目の演奏が本当に素晴らしかったので、お酒に酔ったかのような気分で会場を後にしました。
以前は、読響の演奏会で経験できた体感を、本当に久しぶりに味わいました。
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2019年6月28日 (金)

ヴァンスカ/香港フィル(2019/06/28)

2019年6月28日(金)20:00
香港文化中心

指揮:オスモ・ヴァンスカ
香港フィルハーモニー管弦楽団
クラリネット:カリ・クリーック

シベリウス:フィンランディア
リンドバーグ:クラリネット協奏曲
シベリウス:交響曲第2番

また、間に、こんな曲をはさんじゃって…と思っていたリンドバーグの協奏曲が、とんでもない名演でした。
超絶技巧を散りばめた独奏クラリネット、それを全身で吹きまくるようなクリーックさん。
超絶技巧はクラリネットだけでなく、おそらくオーケストラも。
ヴァンスカさんは他の曲の指揮とは違って、指揮をしている間、ほとんど楽譜を目で追っています。
もっとも、手の動きはしなやかで、拍子を刻んでるだけの指揮ではありません。
相当にリハーサルで仕上げたとみえて、この超絶技巧満載のオケが、分離せず、調和感を持って鳴り響く。
独奏も、オケも、曲が進むにつれて音に熱を帯びるかのよう。
最後は充足感すら感じる終結、会場も大喝采でした。

ソリスト・アンコールでは、どなたの編曲か存じ上げませんが、きよしこの夜のメロディーを、微弱音中心、ときどき突拍子の無い音で吹き、会場を微笑にさそいました。

で、あおりをくったのがフィンランディア?
ヴァンスカ様だから、気合いの入った指揮で、豪快な音が鳴りましたが、協奏曲や交響曲を聴けば、もっと磨き上げた音に出来たのでは?という思いも少々。
この思いは、2月のソウル・フィルでも、似たような印象があって、序曲~協奏曲~交響曲の序曲は、こんなものなのかな。
決して凡演ではありませんが…。

…と言うことは、交響曲は当然、素晴らしかったわけで、オケも、リンドバーグの難曲を乗り切った解放感からか、冒頭から艶やかな音色で鳴りまくり。
ヴァンスカさんの指揮は、基本、煽りなんですけれど、粗雑な爆演にせず、調和感とスケール感のある音を実現した上での煽りです。
聴き手はその、急流だったり、雄大なる大河の流れだったりの音に飲み込まれて、もう身をまかせるしかない幸せな拘束感。

ああ、やっぱり、生演奏のヴァンスカ様は素晴らしいです。

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2019年6月15日 (土)

スダーン/東響(2019/06/15)

2019年06月15日(土)18:00
サントリーホール

指揮:ユベール・スダーン
東京交響楽団
(第671回定期演奏会)
ピアノ:菊池洋子

シューマン:「マンフレッド」序曲
シューマン:ピアノ協奏曲
チャイコフスキー:マンフレッド交響曲

良かった、スダーン前監督、枯れてなどいませんでした。
マンフレッド交響曲は、私は苦手曲ですが、凄まじい音圧と感情のうねりに圧倒されました。
同時に、なぜ苦手曲なのかもよくわかりました。
常にハイテンションの曲だからでした。
それを名演奏で教えてくれた前監督に感謝したいと思います。
感謝しつつ、感動、感激しました。
次にこの曲を聴くのはずっと先で構いませんけど。

…と、後半で「良かった、枯れていなかった」と思ったのは、前半の印象がいまひとつ、もやもやしていたからです。

まずは序曲ですが、スッキリ系の音色はスダーン前監督の音であるにせよ、かつて聴かれた、あうんの呼吸とはちょっと違う。
普通のレベルではあるけれども、かつてのあうんの呼吸と比べれば、微妙に「噛み合わない」感も。
もっとも、コンサートマスターがゲストの郷古廉さんだったためかもしれません…と言ったら、バリバリのソリストである郷古さんに失礼かな。

協奏曲は、アグレッシブなピアノと言ったら言い過ぎですかね?
全てとは言いいませんが、チャイコフスキーのピアノ協奏曲を聴いているかと錯覚するような場面が何度かありました。
特に第1楽章で、ですかね。
あ、この曲には、こういう側面もあるのねと、ちょっと目から鱗だったり、後半のチャイコフスキーへの橋渡しにピッタリと思ったり。
もっとも、第2、第3楽章は、そのような印象は後退して、チャーミングで繊細なシューマンにの側面が前面に出ました。
オケの音は序曲よりはしっとり系に寄りました。
後半の高らかに咆哮する音色も含めると、スダーン前監督、決して音色のパレットが少ないわけではございませんでした。

かつて日常的に聴いていた前監督の音は、過ぎ去りし日の思い出の、1年に1回の再会になりつつありますが、最後は盛大に盛り上がった「お帰りなさい」の会となりました。

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2019年6月 9日 (日)

パーヴォ・ヤルヴィ/N響(2019/06/09)

2019年6月9日(日)15:00
NHKホール

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
NHK交響楽団
(第1915回定期公演Aプログラム)
バリトン:マティアス・ゲルネ

マーラー:こどもの不思議な角笛
ニールセン:交響曲第2番「4つの気質」

N響の、カラフルではないけど多彩さを内包したサウンドのクォリティに舌を巻いた演奏会でした。

マーラーの「こどもの不思議な角笛」は、暗譜で身振りを交えて歌うゲルネさんはもちろんのこと、バックのオケがうまいのなんの。
おそらく声とのバランスで音量を上げていないと拝察しましたが、それなのに、絶妙の音色や魅惑的な表情で耳が釘付けになりました。
あるときはオペラのよう、あるときは交響曲のような(マーラーの交響曲に転用されたりしているので当然?)、こんなに凄い作品だったんですね、という歌曲集でした。

後半のニールセンは、スッキリ爽快。
音が本当に爽快に鳴る鳴る鳴る。
第2楽章などの微弱な音の出だしもきれいに処理され、不用意な音や無駄な響きの濁りは皆無。
北欧系の音楽は本場ではどう鳴るのかは存じあげませんが、普遍的音響として奏でた演奏だったでしょうか。

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2019年6月 1日 (土)

ヘレヴェッヘ/新日フィル(2019/06/01)

2019年6月1日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:フィリップ・ヘレヴェッヘ
新日本フィルハーモニー交響楽団
(第606回定期演奏会 トパーズ<トリフォニー・シリーズ>)
ピアノ:仲道 郁代

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
シューマン:ピアノ協奏曲
シューマン:子供の情景~トロイメライ(アンコール)
シューマン:交響曲第2番

水を得た魚のよう…だったのは、オケの方か、指揮者の方か…。
もっとも、終演後の崔コンマスのツィートを拝見すると、リハーサルはかなりハードだったようですが…。

歯切れが良いのに重量感のあるサウンドは本当に心地良い。
前半はあまりエッジを立てている印象はありませんし、後半もずっとエッジを立てている印象はありませんでしたが、乱暴に言えば(どちらかと言えば)、前半はモダン寄り、後半はピリオド寄りだったかもしれません。
協奏曲は、仲道さんの中音域が綺麗なピアノの音との相性も良好のオケの音でした。。

特に、シューマンの交響曲第2番は、この曲の複雑極まりない部分も、団子状態(失礼)の響きとな部分も、ありのままにさらけ出した快演。
よって、スケルトンに感じる部分とマッチョに感じる部分も交錯しますが、それは曲の本質をついたものなのかもしれません。

指揮とオケの相性はかなり良いものと拝察しました。
ピリオド寄りの指揮者が新日本フィルに来演するときは、どうしてもブリュッヘンさんを思い出してしまいます。
もちろん、ブリュッヘンさんのときの音とヘレベッへさんの音はかなり違います。
そして、新日本フィルがブリュッヘンの薫陶を受けた…というのはもう既に過去のことになってしまっています。
でも、オケには財産として残っているでしょう。

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2019年5月26日 (日)

ヴァイグレ/読響(2019/05/26)

2019年5月26日(日)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
読売日本交響楽団
(第111回みなとみらいホリデー名曲シリーズ)
チェロ:ユリア・ハーゲン

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
シューマン:チェロ協奏曲
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番~サラバンド(アンコール)
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

在京オケにもう一つ、名コンビ誕生かもしれません。
私はヴァイグレさんは、東京春祭で1回聴いたくらいで、先入観はあまりなかったのですが、「ドイツ正統派とはこういうものだよ」と言わんばかりの音に驚き、

まずはマイスタージンガーの前奏曲。
何というオケの安定感!
どっしりと寸分の狂いもなく構築された演奏。
それが豪腕一辺倒などではなく、安定感を土台にして随所で微細なざわめきが上品なスパイスとして加わる。
(歌劇場のシェフという先入観にとらわれているかもしれませんが)歌劇場の舞台を想起させるような演奏、至福の約10分でした。

続くシューマンの協奏曲は、チェロ独奏のユリア・ハーゲンさんの美音に酔いました。
指揮とオケはソロを立てる側に回った感はありますが(音量も、チェロをかき消さないように抑え目?)、無表情の伴奏ではなく、音がしっかり作り込まれていてソロとオケが遊離しません。
これもまた、至福のひとときでした。

休憩後の英雄交響曲は軽快テンポですが、根底にがっしりとした土台のある聴いていて本当に心地良い演奏です。
もう、ピリオドか、モダンかの二択という時代は終わったのでしょう。

あまり仕掛けはしなくても、音楽自体が物語る…という正攻法でしたが、第3楽章のホルンが急にタメを作って、こってり歌い回して歌劇の角笛みたいになったり、第4楽章で弦のトップ4人だけになったりの仕掛けも土台あってこそです。

昔、歌舞伎役者の方のインタビューで、「型破り」というのは「型」が出来ているから出来ること、「型」が出来ていなくて破るのは「形無し」…という話しを聞いたことがあります。
ヴァイグレさんの演奏を聴いて、極一部の素晴らしい小細工(←ほめているつもり)の「型破り」は、「型」が出来ていいるからだよね~と思いました。

1回聴いただけで断言はできませんが、読響とは相性が良いかもしれません。
そして、こういう演奏が聴けるなら、ヴァイグレさんが振るプログラムがドイツ系偏重であっても構わないとすら思いました。

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2019年5月25日 (土)

ノット/東響(2019/05/25)

2019年5月25日(土)18:00
サントリーホール

指揮:ジョナサン・ノット
東京交響楽団
(第670回定期演奏会)
ヴァイオリン:ダニエル・ホープ

ブリテン:ヴァイオリン協奏曲
エルヴィン・シュルホフ:ヴァイオリンのためのソナタ~第2楽章
      アンダンテ・カンタービレ(アンコール)
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

ノット監督の指揮する定期だから、何かが起こるはず(想定外を期待)→その通り、何かが起こる(想定外を想定したことは想定内)という贅沢極まりない時間と空間。

…と言うわけで、期待が高いだけに、意外と驚かないのですが、ハイレベルでの話しなので、期待は満たされて終わってみれば演奏中の興奮と演奏終了後の幸福感。
ソロカーテンコールやらなきゃ、皆さん帰れません。

こういう「ハイレベルが日常となっている」という状態がいかに贅沢だったか、後年、きっと思い知ると思います。

…と、演奏のことは筆舌に尽くしがたく、すみません。
ショスタコーヴィチに関しては細部とか、金管楽器の音色とか、突けば何かしらありますが、そんなことで価値がなくなる演奏ではございません。

前半のブリテンは、均整で洗練された響きで始まり、途中でたがが外れたかのように、…いや、リミッターを解除したかのように、音の濁りを恐れずに畳み掛け、後はハイテンションを維持して静かな終結へ、オケも独奏Vnも。
こちらも、言葉で形容しがたい演奏でした。

2曲を並べたプログラミングの妙に加えて、ソリスト・アンコールも絶妙で、ホープさんのナイス・チョイスで、2曲を並べたプログラミングの妙となり、めでたし、めでたし。

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