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2021年2月の3件の記事

2021年2月21日 (日)

東京二期会「タンホイザー」(2021/02/21)

2021年2月21日(日)14:00
東京文化会館大ホール

東京二期会オペラ劇場
ワーグナー:タンホイザー
フランス国立ラン歌劇場との提携公演

コロナ禍だから実現した上演!
…として長く記憶に残りそうな素晴らしい舞台でした。

第1幕が終わった時点で、音量で圧倒されないワーグナーの音の、なんと心地良いことか…と陶然。
ヴァイグレさんの紡ぐ音楽は上質の布の手触りのように美しく、そして優しい音楽。
(この優しさは、前年末の第九でも感じました。)
この作品がこんな美しさに満ちていたのかと。

第2幕もその優しさは持続して始まりましたが、「ヴェーヌスベルク!」という一語によって、それまでと一変する音楽と舞台。
その急変ぶりにも圧倒され、あとはそれまでとは異なる音圧に聴き手は身を委ねるのみ。
歌手もオケもヴァイグレさんの棒に導かれ、至福の空間を創り出す。
ああ生きていて良かったとすら思いました。

第3幕は、硬軟織り交ぜて、でも、オケも歌手も、本当に味わい深い音。
コロナ禍が去った後、こういう舞台が観られるかどうか。
小編成、ディスタンスを活かした、がなり立てず、本当に美しいワーグナー。
出会えて幸せでした。

この日は私にしては珍しく、いつもの高層階ではなく、1階席前方での鑑賞。
当然、ピットのオケは見えず、至近距離だけど間接音として届きます。
その音の美しいこと!
慣れない経験なのでなんとも言えませんが、いつもの5階席とかだったら、この日のオケの音はどう聴こえたのでしょう?
その、間接音として届くピットのオケとは異なり、直接音として聴こえる歌手の皆様の声まで、ヴァイグレさんの棒に美しく染め上げられていたように感じました。
フランス音楽のようなワーグナーと言ったら言い過ぎかもしれませんが、本当に美しい。

また、今回はコロナ禍での客席でのディスタンスも考慮して、私にしては高額な券を買ったので、1公演のみの鑑賞でした。
平日は回避の方針なので、土日から選択。
池田さん組(?)一択。
最終日の鑑賞にしておいて良かったです。
前日の土曜日に観に行ったら、この日の公演も“おかわり”して散財していたはずです。

個人的には、仕事で色々あって土日も断続的にあれこれ作業し、中断して上野に向かい、その雑念もあって、かなり集中力をそがれた状態での鑑賞だったにもかかわらず、これだけ感銘を受けた、ということは、雑念がなかったらどうなっていたのでしょうか、私。
(やっぱり在宅勤務は、夜間休日はきっぱりと仕事をやめないといけませんね。)

オペラ鑑賞、超久しぶりでした。
2019年10月の旅行中に観たバイエルン国立歌劇場ウィーン国立歌劇場以来。
国内は、新国立「フィデリオ」以来。

演出は、トーキョー・リングの先入観があったせいか、意外とオーソドックス?
オペラは久しぶりで私の感受性は落ちていたはずなので、定かではありません。

スタッフ
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
演出:キース・ウォーナー
装置:ボリス・クドルチカ
衣裳:カスパー・グラーナー
照明:ジョン・ビショップ
映像:ミコワイ・モレンダ
合唱指揮:三澤洋史
演出助手:島田彌六
舞台監督:幸泉浩司
公演監督:佐々木典子

キャスト
ヘルマン:長谷川顯
タンホイザー:芹澤佳通
ヴォルフラム:清水勇磨
ヴァルター:高野二郎
ビーテロルフ:近藤圭
ハインリヒ:高柳圭
ラインマル:金子慧一
エリーザベト:竹多倫子
ヴェーヌス:池田香織
牧童:牧野元美
4人の小姓:横森由衣、金治久美子、実川裕紀、長田惟子
合唱:二期会合唱団
管弦楽:読売日本交響楽団
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2021年2月13日 (土)

田中祐子/神奈川フィル(2021/02/13)

2021年2月13日(土)13:00
関内ホール

指揮:田中祐子
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(定期演奏会音楽堂シリーズ第17回)
ピアノ:小林愛実

モーツァルト:交響曲第31番「パリ」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第15番
ショパン:24の前奏曲~第17番(アンコール)
サン=サーンス:交響曲第2番

後半のサン=サーンスが鮮烈!
いやー、田中裕子さん、この曲を振りたかったんですねー。
前半のモーツァルトも良かったですが、申し訳ありませんが、この後半の曲の演奏が、数段インパクトがありました。
事前にNAXOS Music Libraryの音源で予習した時は、こんなに面白い曲とは思わず。

田中裕子さんの、アスリートのような身体能力を誇示するような、瞬発力の動作が、次々と音に変換されて炸裂する快感。
第3番よりはかなり前に書かれた曲のはずなのに「やはり第3番の一つ前の交響曲なのね」と錯覚(?)するような快演でした。

前半のモーツァルトは、割とモダンで、ピリオドっぽさは少ないけれど、キビキビ、ハツラツで聴いていて気持ち良くなるモーツァルトでした。
小林愛実さんのピアノ独奏は、突出しないけど音色は味わい深く、たぶたび耳を惹きつけられる音。

この演奏会、プレトークによると、たまたまホールがおさえられ、たまたま田中裕子さんの2月のスケジュールが空いていて、中止ではなく延期にすることができた主催公演だとか。
サマーミューザの配信で田中裕子さんの指揮に魅せられた私にとっても、嬉しい首都圏での鑑賞機会となりました。

その関内ホール、小さめの空間で、音響は物理的には悪くないはずですが、いかにも多目的ホールっぽい音のようにも感じたり…。
でも音楽堂のデッドな音響と比べてどうなのだろうと思ったり…。
でもホールの音色って、残響だけではないよね思ったり…。
結局自分でもよくわからない気持ちですが、やはり音楽堂の方に一票?

会場も含めて色々なことを思った演奏会でしたが、関内ホールという滅多に聴かないホールに足を踏み入れる体験をできたことも面白かったです。
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2021年2月 6日 (土)

阪哲朗/新日本フィル(2021/02/06)

2021年2月6日(土)14:00
すみだトリフォニーホール

指揮:阪哲朗
新日本フィルハーモニー交響楽団
(第630回定期演奏会トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉)
クラリネット:重松希巳江
ファゴット:河村幹子

モーツァルト:交響曲第13番
J.シュトラウスⅡ:ワルツ「芸術家の生涯」
R.シュトラウス:クラリネットとファゴットのための二重協奏曲
J.シュトラウスⅡ:ワルツ 「南国のバラ」
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
J.シュトラウスⅡ&ヨゼフ・シュトラウス(Norbert Rubey編曲):ピツィカート・ポルカ(アンコール)

なんとなんと、最初固めだったホール空間が、いつの間にか「阪ワールド」に変遷し、ああ、この空間に身を委ねる幸せ、もっと聴きたい、もっと聴きたい、というところで時間切れになったような。
でも、本当に幸せなひと時でした。

J.シュトラウスⅡの曲は、いまや、ウィーンの楽団でないと演奏できない曲ではなく、これくらいのスタイルはプロオケだったら、表現できて当然だよね~などと斜に構えて聴き始めましたが、阪さんの絶妙の「間」や「揺らし」に、すっかり魅了され、聴き惚れてしまいました。

R.シュトラウスの協奏曲は、まるで「ナクソス島のアリアドネ」のピットのように艶やかで軽やかな小編成の魅惑。
NJP木管の宝のお二人の音色も美しい。
協奏曲と言うよりはアンサンブルみたいな印象ですが、この木管の宝は、日頃からオケの中にあって、アンサンブル、ハーモニーの中で、いったんソロになると聴衆の耳目を惹きつける演奏をしています。
それが、まさに、この協奏曲で、見事に発揮された印象でした。

あまりウィーン、ウィーンと言ってはいけないですが、あの時代のあの地の雰囲気(体験したわけではありませんが)を空想させられるような阪さんの紡ぐ音楽です。

モーツァルトは、ことさらピリオド、ピリオド、という演奏ではないものの、モダンティンパニは固めの音でトントン鳴り、テンポも快速。
弦楽器はヴィブラート控えめだったのかな。
今の時代に合ったモーツァルトですが、そう言う外面的なことよりも、音楽的に魅了される演奏でした。

いやー、阪さん、久しぶりに聴けて良かったです。
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