コンサート/オペラ2007

2008年5月 5日 (月)

マーラーの交響曲の思い出(10)

■マーラーの交響曲の思い出:第9番

この曲は、初めて東京文化会館で在京オーケストラを聴いた演奏会と、2007年のアルブレヒトの読響の常任最後の演奏会が印象に残っています。

1980年10月21日(火)18:45
東京文化会館大ホール

指揮:モーシェ・アツモン
東京都交響楽団

マーラー:交響曲第9番

確かハガキを出して招待券に当選して出かけた演奏会でした。
都響は太っ腹で、2階席正面のS席に座らせていただきました。
(その後当選した別のオケは、5階席サイドの席でした。)
都響の事務局に「将来チケットを買ってくれる大人になるかもしれない若者を開拓する」という意図があったとしたら、その試みは成功したことになります。
もっとも、値段の安いP席ばかり買っていますので、成功は半分くらいかもしれません。

マーラーを初めて聴いた演奏会であり、いきなり9番だったので曲は難解でよくわかりませんでしたが、今となってはデッドなはずの東京文化会館に響き渡る大編成の音と残響は印象的でした。
もっとも、雑誌の評では、宇野功芳さんが「無機的な音」「僕だったら絶対にあんな鳴らし方はしない」と酷評していたのを懐かしく思い出します。

2007年3月31日(土)14:00
東京芸術劇場
指揮:ゲルト・アルブレヒト
読売日本交響楽団

マーラー:交響曲第9番

この演奏会の感想は以前書きました。
この日ではありませんが、数日前のサントリーホールでの演奏は、ネット配信されています。
http://www.dai2ntv.jp/p/z/101z/index.html
(2008年5月5日現在)

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マーラーの交響曲の思い出(07)

■マーラーの交響曲の思い出:第7番「夜の歌」

この曲はあまり生で聴く機会がありませんでしたが、2007年に2回、素晴らしい演奏に出会えました。

2007年4月29日(日)19:30
ウィーン・ムジークフェラインザール
指揮:マリス・ヤンソンス
バイエルン放送交響楽団

マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

この演奏会の感想は以前書きました。
2007年にウィーンへ旅行したときに、ムジークフェラインザール(楽友協会大ホール)で聴きました。
会場の雰囲気と音響効果もあって、鮮烈な印象が残っています。

2007年11月16日(金)19:00
東京オペラシティ・コンサートホール
指揮:飯守泰次郎
東京シティ・フィル

マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

この演奏会の感想も以前書きました。
半年前にウィーンで聴いたヤンソンス/バイエルン放送響とオーケストラの技量の差は歴然としているはずですなのですが、音楽に対する感動の度合いにあまり差が無いのには感心しつつ、「面白い」と思いました。
(ただし、私は最近、飯守泰次郎さんの指揮する演奏が大好きなので、多少ひいき目に見ているかもしれません。)

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マーラーの交響曲の思い出(06)

■マーラーの交響曲の思い出:第6番「悲劇的」

この曲の生演奏は、2007年のインバル/都響、2008年のハーディング/東フィルと、最近の演奏会が鮮烈な印象に残っています。
一方、20年以上前にN響定期で初めてこの曲を生で聴いたときの印象も、おぼろげに残っています。

1986年6月12日(木)19:00
NHKホール
指揮:若杉弘
NHK交響楽団

マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

当時は若杉さん指揮のマーラーを、いろいろなオーケストラで良く聴きました。
なにぶん20年以上前のことなので、演奏はあまり覚えていませんが、ハンマーが振り下ろされた光景はおぼろげに覚えています。
しかし、NHKホールの3階席では、ハンマーの音はあまり感じられませんでした。
でも、いまだに覚えているということは、視覚に訴える効果は抜群だったようです。

2007年12月19日(水)19:00
サントリーホール
指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

この演奏会の感想は、以前書きました。
自然体で演奏しながら、凄い音を出す都響に驚いた記憶が残っています。

2008年2月14日(木)19:00
東京オペラシティ・コンサートホール
指揮:ダニエル・ハーディング
東京フィル

マーラー/交響曲第6番「悲劇的」

この演奏会の感想も、以前書きました。
第2楽章=アンダンテ、第3楽章=スケルツォの順番で聴いたのは、この演奏が初めてでした。

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マーラーの交響曲の思い出(04)

■マーラーの交響曲の思い出:第4番

この曲の生演奏で印象に残っているのは広上淳一さん初体験の演奏会がひとつ。もう一つは番外編とでも言うべき、一部のお客さんの行為にがっかりした演奏会がひとつです。

1991年2月9日(土)14:15
NHKホール

指揮:広上淳一
NHK交響楽団

ヴァイオリン:加藤知子
ソプラノ:三縄みどり
和田薫:オーケストラのための3つの断章
外山雄三:ヴァイオリン協奏曲
マーラー:交響曲第4番

広上淳一さんの指揮を初めて「見た」演奏会でした。
当時はまだそれほど有名でなかった広上さんが登場すると、客席は少しどよめき、私の周囲からは「小さいねぇ!」という声があちこちで聞こえました。

しかし、指揮姿は流麗で出てくる音はその視覚効果に見合ったもの。。
当時、私は「カルロス・クライバー並みに美しい指揮」と思いました。
陶酔するような視覚と聴覚が巨大なNHKホールを支配しました。

この演奏会の後、私は広上さんが日フィルのシェフを辞任するまで、“追っかけ”のように広上さんの演奏会に通いました。

2007年4月22日(日)14:00
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:大友直人
東京交響楽団

ソプラノ:幸田浩子
ハイドン:交響曲第101番「時計」
マーラー:交響曲第4番

この演奏会の感想は以前書きました。
演奏は良かったので、間髪を入れずの拍手は本当に残念でした。

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2007年12月31日 (月)

2007年を振り返って(下半期)

引き続き、2007年に聴きに行った演奏会とオペラから“特に”印象に残ったもの。
下半期(7月~12月)分です。

■2007年7月

■広上淳一/日本フィル(7/13)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/20070713_6634.html
オペラシティの3階バルコニー席は、視覚的にはともかく、音響は結構好きです。ここで聴くハイドンとモーツァルトは至福のひとときでした。

■飯守泰次郎/東京シティ・フィル(7/27)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/20070727_a40e.html
シティ・フィルはエキストラの力量によるのか、演奏会によって金管に多少差があるような気がしますが、この日は万全。すばらしい音響でした。前日のオペラシティでの演奏会がNHKで放送されました。飯守さんの指揮するシティ・フィルの音は魅力的。5/15(http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/2007526_40f6.html)、11/16(http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/20071116_6e3c.html)も良かったです。

■小澤征爾音楽塾「カルメン」(7/28)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/20070728_22d6.html
オケが素晴らしい!学生オケの域ではありません。「小澤征爾さんの楽器」の役割を十二分に果たしていました。一部の歌手には多少不満もありましたが、エネルギッシュな小澤さんの指揮を、音響と視覚の両面で満喫しました。

■2007年8月

■大野和士/東京フィル(8/10)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/2007810_0a26.html
大野さんの“音の力”に圧倒されましたが、雑誌の批評には「オケが指揮に応えられず、粗野な演奏に…」というものもあり、「そういう感じ方もあるのか」と思いました。

■小澤征爾/サイトウキネン・フェスティバル松本「スペードの女王」(8/26)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/20070826_54b1.html
この後、ウィーンでも「スペードの女王」プレミエを指揮して大成功との雑誌記事を読みました。「オザワは海外で振る前に日本で練習する」と揶揄する人もいますが、これは“練習”ではありません。“劇的な”音響に圧倒されました。オケの音はもちろん、主役のガルージンさんをはじめ、歌手陣も見事でした。

■2007年9月

■ウェルザー・メスト/チューリッヒ歌劇場「椿姫」(9/1)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/200791_e749.html
オケの音がきれい!メイさんの“死にそうなヴィオレッタ”のリアリティーにじ~んと来ました。ヌッチさんの“こわいお父さん”が迫力満点!

■ウェルザー・メスト/チューリッヒ歌劇場「ばらの騎士」(9/8)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/200798_f82e.html
元帥夫人役のシュテンメさん(ソプラノ)が目当てでしたが、他の歌手陣も含めてすばらしい出来。演出はよくわかりませんでしたが、ため息が出るような瞬間が何度もありました。

■小澤征爾/サイトウキネン・オーケストラ(9/9)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/20070909_81f7.html
幻想交響曲は小澤さんにピッタリの曲。圧倒されました。かなり大きなホールなのに2階席後方までパワフルな音が届き、「PAでも使っているのでは?」と錯覚するくらいでした。NHKでも放送された演奏会です。

■2007年10月

■ロジェストヴェンスキー/読響(10/13)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/20071013_4cea.html
チャイコフスキーのオペラ「イオランタ」(演奏会形式)が聴けたのが収穫。ロジェストヴェンスキーさんの指揮は“珍しい曲の紹介”のレベルではなく、立派な芸術でした。

■上岡敏之/ヴッパータール響(10/14)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/20071014_5408.html
ドイツの音。モーツァルトの弾き振りや、自作のカデンツァや、アンコールの「こうもり」序曲など、聞きどころ満載でした。

■ボッセ/都響(10/30)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/20071030_231d.html
オール・ハイドン・プログラムは、在京オケではめったにありません。“ハイドン好き”の私には、素晴らしい御馳走でした。

■2007年11月

■ゲルギエフ/マリインスキー劇場管弦楽団(11/11)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/20071110_244f.html
過密スケジュールで、日によって演奏に出来不出来があったようですが、この日は素晴らしかったと思います。

■ゲルギエフ/東響(11/12)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/20071112_d3f0.html
ゲルギエフさんの指揮に応えた東響も見事。(雑誌記事によれば、ゲルギエフさんが来る前に音楽監督のスダーンさんが下準備のリハーサルをしたとか。)幻想も良かったですが、ジュピターもスゴイ。ゲルギエフさんのモーツァルトをもっと聴いてみたいです。

■ヴァンスカ/読響(11/24)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/20071124_b74f.html
今年最もコストパフォーマンスが良かった演奏会。この演奏でP席\2,000は破格だと思います。ヴァンスカさんのベートーヴェンはツィクルスとして来年以降も続くようなので期待しています。

■広上淳一/神奈川フィル(11/30)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/20071130_5081.html
私はチェロの山崎伸子さんのファンなので、前半の三重協奏曲での堀米ゆず子さんとの“競演”を存分に楽しみました。後半のサンサーンスの交響曲も大熱演。

■2007年12月

■ボッセ/札幌交響楽団(12/7,8)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/20071207_e97a.html
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/20071208_ba02.html
ハイドン「朝」「昼」「晩」は初期の交響曲ですが、かなり凝った作りになっていて面白い。Kitaraで聴く札響の響きとボッセさんの指揮を満喫しました。

■インバル/都響(12/19)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/20071219_0476.html
指揮者もオケも、それほど力むことなく、ものすごい音楽を響かせていたように思います。まだデプリーストさん在任中なのに申しわけありませんが、インバルさんと都響のコンビに期待を抱かないわけにはいきません。

■インバル/都響(12/24)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/20071224_43bd.html
終盤の盛り上がりで、オケのメンバーと同じように指揮棒に反応した二期会合唱団は、さすがプロ。オケと独唱と合唱が統一感の取れたサウンドで、推進力のある「インバルの第九」を奏でました。

■秋山和慶/東響(12/29)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/20071229_dcd3.html
4年ぶりに東響の「第九と四季」を聴きましたが、他のオケとは“ひと味違った演出”は何度聴いても感激します。

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2007年を振り返って(上半期)

2007年に聴きに行った演奏会とオペラから、“特に”印象に残ったものを振り返ってみました。
まずは上半期(1月~6月)から。

■2007年1月

■ブリュッヘン/新日本フィル(1/26)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/2007126_8937.html
「プロメテウスの創造物」というめったに聴けない曲がブリュッヘンさんの指揮で聴けて幸せでした。

■デュトワ/N響(1/28)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/nhk2007128_df93.html
音楽監督として頻繁に来日していた頃は有り難みを軽視しがちでしたが、久しぶりに聴いた“デュトワ・サウンド”は素晴らしかったです。

■2007年2月

■ブリュッヘン/新日本フィル(2/3)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/200723_f97f.html
ハイドンの104番「ロンドン」にベートーヴェンの1番という、ほぼ同時代の名曲をブリュッヘンさんの指揮で聴くという、まさに「適任」の演奏会でした。

■秋山和慶/東響(2/10)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/2007210_2651.html
この日の“影のソリスト”とでも言うべき、主席フルート奏者の甲藤さちさんの音色に聴き惚れた演奏会でした。

■2007年3月

■小澤征爾/東京のオペラの森「タンホイザー」(3/24)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/2007324_a740.html
このときの小澤征爾さんの音楽を聴いて、ゴールデンウィークのウィーン旅行を決意しました。主人公を画家に読み替えた演出も面白かったです。

■アルブレヒト/読響(3/31)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/2007331_72ed.html
淡々とスゴイ音楽を奏でる名コンビ。「常任指揮者としての最後の最後にマーラーの9番で惜別」などとセンチメンタルになっていたのは聴き手だけだったかも知れません。
この日の2日前の演奏がネット配信されています。(2007年12月31日現在)
http://www.dai2ntv.jp/p/z/101z/index.html

■2007年4月

■スクロヴァチェフスキ/読響(4/21)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/2007421_fae4.html
「アメリカのメジャーオケのような」という私の印象が適切だったかどうかわかりませんが、読響の鋭いサウンドに圧倒されました。

■ルイジ/ウィーン交響楽団(4/29)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/211_fd87.html
ブルックナーの8番の初稿でウィーン・ムジークフェラインザールを初体験。ルイジさんのエネルギッシュな指揮に見合った音が黄金のホールに響き渡りました。「ここに座っているのは夢の中では?」と思えるような、まさに夢見心地の至福のひとときでした。
ムジークフェラインでは、同じ日の夜にもう1回、ヤンソンス/バイエルン放送響を聴きました。
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/214_8655.html
ルイジ/ウィーン響は翌日にコンツェルトハウスでも聴きました。
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/323_9362.html

■2007年5月

■小澤征爾/ウィーン国立歌劇場「さまよえるオランダ人」(5/2)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/544_0251.html
小澤征爾さんの指揮する国立歌劇場管弦楽団は、まさにウィーン・フィルの音。ゼンタ役のニーナ・シュテンメさん(ソプラノ)も素晴らしかったです。

■テミルカーノフ/読響(5/19)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/2007519_ca37.html
“ロシアの指揮者”という画一的な先入観は失礼ですね。“正攻法のドイツ音楽”と言うべきブラームスは素晴らしかったです。

■テミルカーノフ/読響(5/27)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/2007527_6d7f.html
「くるみ割り人形」が、テミルカーノフさんの手にかかるとこんなにも立派な音楽になるんだ…と驚嘆しました。

■2007年6月

■ペーター・シュナイダー/新国立劇場「ばらの騎士」(6/15)
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/2007615_7b28.html
シュナイダーさんの指揮は甘美な音と荒々しい音の対比が面白い。比較的オーソドックスな演出も好感で、“雰囲気”を楽しみました。

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2007年12月30日 (日)

「第九」を振り返って

年末なので今年を振り返って…と行きたいところですが、ふと気になって、今までに生演奏で聴いた「第九」全てを振り返ってみたくなりました。
全部で26回です。
期間は23年間ですが、多いと言うべきか、少ないと言うべきか…。
ちなみに、指揮者別の回数では秋山和慶さんが8回、ジャン・フルネさんと広上淳一さんが各3回、それ以外の指揮者は各1回でした。

■1984年12月20日(木)19:00
東京文化会館大ホール
指揮:ヘルベルト・ケーゲル
日本フィル

初めて聴いた合唱はもちろん、独唱者の声の迫力にも圧倒されたのを覚えています。
当時の手帳に感想が書いてありました。

1階12列は少し前すぎたようだった。
第1楽章前半は、オケも指揮者もかたくなっていたようだったが、だんだんと音楽がのってきた。
第2楽章が熱演で、指揮者はところどころ指揮台の上でとび上がった。
第4楽章の前で合唱団入場のため、かなりの中断があった。
第4楽章はまったく切れ目なしで演奏された。
終盤のあおりたてるような指揮ぶりが印象的だった。
合唱のこの迫力は、やはり生演奏でなければ味わうことはできない。

■1985年12月28日(土)18:45
簡易保険ホール
指揮:秋山和慶
東京交響楽団

2007年12月29日の演奏会の記録の中に回想を書きました。
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/20071229_dcd3.html

■1986年4月26日(土)14:15
NHKホール
指揮:朝比奈隆
NHK交響楽団(定期演奏会)

ギュンター・ヴァントさんのキャンセルで実現した演奏会だったと記憶しています。
もっとも、当時はまだ朝比奈さんの人気は、後年ほどではありませんでした。
NHKホールの3階席中央で聴いたので、音響的にあまり良い印象がありませんでした。
しかし、CDになった前日(4月25日)の録音を聴いてみると「実はかなり良い演奏だったのだ」と思いました。
1階席前方で聴けば、違った印象を持ったかもしれません。

■1986年10月12日(日)13:30
サントリーホール
指揮:ウォルフガング・サヴァリッシュ
NHK交響楽団

記念すべきサントリーホールのオープニングです。
1階席中央前方で聴きました。
東京に初のコンサート専用ホールが出来たことと、始めて体験する豊かな残響にかなり舞い上がっていて、演奏はあまり覚えていません。
ソリストにルチア・ポップやベルント・ワイケルが登場し、豪華な顔ぶれでした。
ちょうど、N響定期公演1000回記念の頃でした。

■1991年12月27日(金)19:00
東京文化会館大ホール
指揮:広上淳一
新日本フィル

マーラー編曲版日本初演の演奏でした。
第2楽章でのホルンの強調などが耳に残っています。
当時、まだ広上さんはそれほど知られていなくて、登場したときに背の低さに会場から笑い声が聞こえました。
でも、演奏は大暴れで、終演後は大喝采でした。
客席には、コンクールで優勝した直後の諏訪内晶子さんの姿も見えました。

■1992年12月21日(月)19:00
東京芸術劇場大ホール
指揮:広上淳一
日本フィル

日フィル正指揮者時代の広上さんです。
非常に魅惑的な演奏でしたが、近くの席のお婆さんが寒いのか手をこすり合わせて、カサカサカサ…という音を立てて、鑑賞の邪魔をしてくれました。
したがって第2楽章後半以降のことはあまり覚えていません。

■1993年12月24日(金)19:00
東京芸術劇場大ホール
指揮:ガリー・ベルティーニ
東京都交響楽団

細かいことは覚えていませんが「ベルティーニさんの第九が聴けるなんて幸せだ」と感じたのを覚えています。

■1993年12月26日(日)15:00
千葉県文化会館大ホール
指揮:ハンス・フォンク
読売日本交響楽団

「指揮者のフォンクさんが実力者なので必聴」という触れ込みでしたが、読響の演奏はルーチンワークの域を出ておらず、指揮者が力を込めて振っても、淡々と演奏していたように感じました。
現在の読響とは雲泥の差だったと思います。

■1994年12月11日(日)14:00
新宿文化センター
指揮:ジャン・フルネ
東京都交響楽団

合唱団がアマチュアの域を出ておらず、約一週間後に聴いた12月24日の「第九」とは別物でした。

■1994年12月24日(土)18:00
東京芸術劇場大ホール
指揮:ジャン・フルネ
東京都交響楽団

12月11日の「第九」にがっかりしたので“口直し”が出来、嬉しかったです。
合唱は二期会合唱団。
プロだから当たり前ですが、12月11日のアマチュアとはまるで違う。
人数ははるかに少ないのに迫ってくるものが違う。
やっぱりフルネさんの音楽はこのレベルでなくては…。

■1995年12月24日(日)14:00
東京芸術劇場大ホール
指揮:ジャン・フルネ
東京都交響楽団

2年続けてフルネさんの「第九」が聴けるのは幸せでした。
本当に良い時代でした。
都響も指揮者に恵まれていますね。

■1996年12月22日(日)14:00
サントリーホール
指揮:ネーメ・ヤルヴィ
東京フィル

細かく覚えていませんが、良い演奏に感動した記憶は残っています。
ヤルヴィさんの指揮もエネルギッシュだったと思います。

■1997年12月23日(火・祝)15:00
NHKホール
指揮:シャルル・デュトワ
NHK交響楽団

デュトワさんは“フランスものだけの指揮者”ではないということを再認識しました。
でも「第九」の前にストラヴィンスキーの詩編交響曲を演奏するあたりは、デュトワさんの面目躍如でした。
また聴いてみたいですが、たぶんもう無理でしょうね。

■1998年12月27日(日)14:00
東京芸術劇場大ホール
指揮:秋山和慶
東京交響楽団「第九と四季」

この年から2003年まで6年連続で東響の「第九と四季」を聴きました。
2007年12月29日の演奏会の記録の中に回想を書きました。
http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/20071229_dcd3.html

■1999年12月29日(水)19:00
サントリーホール
指揮:秋山和慶
東京交響楽団「第九と四季」

■2000年12月23日(土)18:00
横浜みなとみらいホール
指揮:広上淳一
日本フィル

広上さんにしては不完全燃焼だったような記憶があります。

■2000年12月29日(金)19:00
サントリーホール
指揮:秋山和慶
東京交響楽団「第九と四季」

■2001年12月29日(土)18:00
サントリーホール
指揮:秋山和慶
東京交響楽団「第九と四季」

■2002年12月29日(日)14:00
サントリーホール
指揮:秋山和慶
東京交響楽団「第九と四季」

■2003年12月28日(日)14:00
サントリーホール
指揮:秋山和慶
東京交響楽団「第九と四季」

■2004年9月25日(土)18:00
サントリーホール
指揮:ユベール・スダーン
東京交響楽団(定期演奏会)

スダーンさんの音楽監督就任記念の「第九」でした。
「東響から秋山さんの時代とは異なる音が…」という評論の記事が載っていたのを記憶しています。
ミューザ川崎での演奏はCDになっています。

■2005年12月25日(土)14:00
横浜みなとみらいホール
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
読売日本交響楽団

80歳をこえた指揮者による若々しい「第九」。
1993年にがっかりした読響の名残は全くありません。
素晴らしい演奏でした。

■2006年12月24日(日)14:00
横浜みなとみらいホール
指揮:ゲルト・アルブレヒト
読売日本交響楽団

正攻法の「第九」で、2年続けて読響の演奏に感動しました。
アルブレヒトさんの常任最後のシーズンで、この後3月に退任されました。

■2007年12月23日(日)14:00
横浜みなとみらいホール
指揮:下野竜也
読売日本交響楽団

http://c-music.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/20071223_bad2.html

■2007年12月24日(月・祝)14:00
東京芸術劇場大ホール
指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

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■2007年12月29日(土)14:00
サントリーホール
指揮:秋山和慶
東京交響楽団「第九と四季」

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2007年12月29日 (土)

秋山和慶/東響(2007/12/29)

2007年12月29日(土)14:00
サントリーホール


指揮&チェンバロ:秋山和慶
東京交響楽団

ヴァイオリン:大谷康子
ソプラノ:佐藤しのぶ
メゾ・ソプラノ:井戸靖子
テノール:フェルディナンド・フォン・ボートマー
バス:ダニエル・ボロウスキ
合唱:東響コーラス

ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」より「春」「冬」
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」
蛍の光 (アンコール)

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最近は「第九」の後のアンコール、照明を落としたステージをペンライト等でライトアップした「蛍の光」も、かなり気に入っています。
しかし、昔は違いました。

最初に東京交響楽団の「第九と四季」を聴いたのは1985年。
サントリーホールはまだなく、会場は五反田の簡易保険ホールでした。
そのときは「第九の後にアンコールをやるなんて!」「しかも、よりによって蛍の光をやるなんて!」と思いました。
「第九に対する冒涜だ」とまで過激には考えませんでしたが、「照明を落として、ペンライトでライトアップするなんて、なんと一般大衆向けの企画なんだろう!」とがっかりして家路についたのを覚えています。

その後(私は秋山和慶さんの大ファンであるにもかかわらず)、しばらくは「第九と四季」を聴くことはありませんでした。
久しぶりに聴いたのは13年後の1998年。
1985年には無かった東響コーラス(1987年創設)の素晴らしいハーモニーに触れ、また、秋山さんの音楽の運びがやはり素晴らしく、“第九の後のアンコールとライトアップ”も素直に受け入れられました。
もしかしたら、秋山さんの円熟もあったかもしれません。
受け入れてしまえば、年の瀬に聴く「第九」として、こんなに雰囲気満点の演奏会はありません。
その後2003年まで、6年連続で聴いています。

その間に気がついたのは「第九」の前に演奏される「四季」の出来に、ソリストによってかなり差があるということです。
結構名の知れた人がヴァイオリンのソロを弾いたときに「おいおい、練習はしてきたのかい?」と思ったこともあります。
「こんな四季なら、第九一曲だけでいい」と思った年もありました。
たかが「四季」、されど「四季」。
素人耳には簡単そうに聞こえる「四季」のヴァイオリン・ソロであっても、きちんと準備をしないと、プロでも「おやおや」という演奏になるということなのでしょうか。

しかし、この日のソロは、東響のコンサートマスターの大谷康子さんなので、何の心配もしていませんでした。
聴く前から、準備の行き届いた好演になることは確信していました。
なぜなら大谷さんは、秋山さんと東響をバックに、この曲をレコーディングしているのです。
また、演奏会でも聴いたことがあります。
確か1999年だったと思いますが、オペラシティ・シリーズで前橋汀子さんが親族の不幸で降板したときに代演し、満場の大喝采を浴びました。
この日も期待以上の好演。
もちろんピリオドアプローチではなく昔ながらの普通の「四季」ですが、それだけにヴァイオリンが情感たっぷりに歌うことが出来、うっとりと聴き惚れました。
「前座」ではない「四季」(春と冬だけですが)は、私が聴いた「第九と四季」の中でも、たぶん一番の出来だったと思いました。

休憩後の「第九」は、大谷さんは赤いドレスを黒(紺?)の服に着替えて登場。
ソロを弾いた後なのに、コンサートマスターの席に座りました。
秋山さんの「第九」も、もちろんピリオドアプローチではなく昔ながらの普通の「第九」ですが、推進力と重量感のバランスを絶妙に保った演奏で、大好きです。
秋山さんというと、昔はカチッとしたカラフルな音を連想していましたが、古典派を振るときは結構どっしりとした音を出します。
「第九」は長年振ってきて、完全に手の内に入っているはず。
4年ぶりに聴きましたが全曲どこをとっても素晴らしく、特に終楽章の迫力は圧巻。
スダーンさんの時代になっても、秋山&東響のコンビは健在でした。

この日のソリストは第2楽章終了後に入場。
開演前に「ソリストの入場のときに拍手はしないで下さい」というアナウンスが流れており、またステージ上も、若干照明を落とした中、静かな入場でした。

第4楽章に声楽の口火を切ったダニエル・ボロウスキさんが素晴らしい!
声を張り上げて叫んでしまっては興ざめですが、ボロウスキさんは十分な声量ですが、決して叫んではいません。
情感たっぶりに、朗々と「おお、友よ…」のフレーズを歌い上げました。
テノールのボートマーさんも良かったので、男声を海外から招いたのは成功だと思います。
女声陣に関しては、ソプラノの佐藤しのぶさんの声は、個人的には「少しかん高い」と感じてしまいました。
本来は、もう少し深みのある声を出す人だと思います。
また、この曲はアルトがあまり聞こえないことが多いのですが、この日の井戸靖子さんの声は、結構響いていました。

東響コーラスは100人を超える人が舞台に載っていたと思いますが、透明感のあるハーモニーはいつも通り。
専属とは言えアマチュアですが、うわさによると結構練習は厳しいそうで、「第九と四季」だけでなく定期演奏会でも、いつも良い演奏を聴いています。
今年は、新国立劇場合唱団(読響)、二期会合唱団(都響)とプロの合唱団の魅力を満喫しましたが、東響コーラスも“いつも通り”の素晴らしい声を聴かせてくれました。

お約束のアンコールの「蛍の光」は、例年通り、コーラスの一部が舞台を降りて1階客席に並び、照明が落ちていく中、ペンライトでライトアップ。
昔は、完全に暗くなって秋山さんがペンライトで指揮した年もありましたが、最近は完全には暗くしません。
でも、オケのメンバーの譜面台にもライトが取り付けられ、雰囲気満点。
他の在京オケとはひと味違う演出の「第九」は、東響の伝統と言ってよく、これからも可能な限り聴き続けていきたいと思います。
“演出”だけでなく、本編の「第九」も十分に“通”の人の鑑賞に堪えると思います。
「四季」もソリストに人を得れば“前座”の域を凌駕します。
無理に有名な人を呼ぶ必要はなく、このままずっと大谷さん(あるいは、もう一人のコンマスの高木さんと交替?)で行くのも良いかもしれませんね。
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2007年12月24日 (月)

インバル/都響(2007/12/24)

2007年12月24日(月・祝)14:00
東京芸術劇場大ホール


指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団

ソプラノ:澤畑恵美
メゾソプラノ:竹本節子
テノール:福井敬
バリトン:福島明也
合唱:二期会合唱団


ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」

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「なるほど、第4楽章も交響曲の一部なのか」と思いながら聴いていました。
当たり前と言えば当たり前のことなのですが、「(声楽付きの交響曲もある)マーラーを得意とするインバルならでは」などと書くのは深読みしすぎでしょうか?

「第九」と言うと、第4楽章で合唱が登場したとたんに雰囲気が一変して、ひたすら楽天的になってしまう演奏も何度か聴いたことがあります。
第1、第2、第3楽章が“合唱の前座”でないことは周知の事実ですが、“前座”とまでは成り下がらなくても、合唱が登場する前と後で、あまりにもスタイルが異なるのは、私はあまり好きではありません。

この日の演奏は、第1楽章、第2楽章、第3楽章と、オーケストラだけで奏でてきた“交響曲”が、合唱が登場した後も同じスタイルで維持され、終盤に向かって高揚しながら、最後までインバルさんの音楽が鳴り響きました。
指揮者の力量は疑いありませんが、指揮者の意図を体現することできた合唱団の力量にも成功の要因があるように思います。
終盤の盛り上がりで、オケのメンバーと同じように指揮棒に反応したのは、さすがはプロの合唱団と言うべきでしょう。

独唱者も、あまり突出することなく、インバルさんの意図に見合った音楽を奏でていたように思います。
ソロが目立った演奏ではありませんでしたが、非力というわけでもなく、“交響曲の一部”として、十分に機能していたと思います。
終盤での4人によるハーモニーは、非常に美しかったです。
前日に聴いた読響のソリストに比べて、私は、はるかに好感を持ちました。

この日の独唱者は、第4楽章でオーケストラが歓喜の歌を高らかに奏でる中を、後ろに打楽器奏者を従えて入場しました。
バリトンの福島さんは、登場するやいなや「このような調べではなく…」(←ドイツ語で)と歌い始めたので、かつてブロムシュテットさんがN響で「第1楽章からステージに居ないで“おお、友よ、このような調べではなく”などという台詞が言えるか?」と言って、独唱者を第1楽章から座らせたという話しを思い出して、ちょっとおかしくなってしまいました。
しかし、音楽的には違和感は全くなく、前述のようにインバルさんの意図を十分に汲んでいたと思います。

インバルさんはスコアを置かず、暗譜での指揮。
12月19日に聴いたマーラーの6番のときよりは、少しばかり細かく振っていたように感じました。
マーラーのときは「ぐいぐい引っ張っていくタイプの演奏ではない」と感じましたが、この日は、比較的推進力を感じる演奏でした。
重低音がうねるような重々しい音ではありません。
ピリオドアプローチでもあません。
モダンオーケストラが、モダン奏法で、21世紀に奏でるにふさわしい「第九」だと思いました。

なお、最初に演奏された「レオノーレ」第3番も、単なるウォーミングアップではなかったと思います。
ウォーミングアップで1曲サービスするくらいなら「第九」1曲だけの方がよっぽど良いと思いますが、この日の演奏は「第九」の第0楽章と言いたくなるくらい、嬉しい演奏でした。

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2007年12月23日 (日)

下野竜也/読響(2007/12/23)

2007年12月23日(日)14:00
横浜みなとみらいホール

指揮:下野竜也
読売日本交響楽団

ソプラノ:林正子
メゾ・ソプラノ:坂本朱
テノール:中鉢聡
バリトン:宮本益光
合唱:新国立劇場合唱団

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」


読響の第九を聴くのは3年連続です。
2005年がスクロヴァチェフスキさん、2006年がアルブレヒトさん。
昨年の今頃、「来年は下野さんかぁ…(ちょっと格が落ちるかなぁ…)」と思ったのは浅はかでした。
プログラムの冊子に「これほど短期間のうちに、これだけ評価が高まった指揮者というのも珍しい。」書かれています。

実は私は、東京交響楽団の定期演奏会で2回、“期待の若手”という触れ込みの下野さんを聴いています。
2003年11月8日のドヴォルザークの6番は、無難に振り切ったものの、迫ってくるものをあまり感じませんでした。
2002年9月21日の「英雄の生涯」に至っては、記憶にも残っていません。
若手を“飛躍する前”に聴いてしまうと、その演奏が頭に刷り込まれて、その後敬遠してしまうことがあります。
(私の場合、沼尻竜典さんもそうでした。)
その結果、下野さんが読響の正指揮者に起用されたときに、その意味を正しく認識していませんでした。
今年になってようやく、日本テレビで放送され、ネット配信もされている「新世界」の熱演に驚き、8月に「未完成」「運命」「新世界」で久しぶりに実演に接しました。
「格が落ちる」と思っていた年末の第九は「期待の演奏会」に変わりました。
その期待は、十分に満たされました。

下野さんの指揮するベートーヴェンの音は、8月に聴いた5番と同様に力強さを感じるものでした。
決して重々しい音ではなく、推進力もあるのですが、だからと言って軽くはありません。
視覚的にも、下野さんの指揮とオケの音がぴったり合っているのが素人目にもよくわかります。
指揮者がここぞとばかりに力を入れると、オーケストラがそれに見合った鋭いパンチを繰り出します。
譜面台に総譜を置いて、楽譜は開かずに暗譜で指揮。
P席で観ていて楽しい演奏会でした。

オケの配置は下手側にチェロとコントラバスが来る配置。
コンマスは藤原さんでした。

迫力で勝負できる第1、第2楽章だけでなく、魅惑的なメロディの第3楽章も見事。
第4楽章の冒頭で声楽が出てくるまでのオケも音が濁らない。
合唱はさすがにプロだけあって下野さんの棒に敏感に反応し、完全に“下野さんの楽器”となって、オケと一体の推進力のある音響を奏でていました。
合唱の最後を速くしたのだけがちょっと私の好みと違いましたが、その一箇所を除いて大満足のオケと合唱でした。

第1楽章から舞台に座って、ずっと演奏を聴いていたはずの独唱者に関しては、必ずしも満足とは言えませんでした。
特に、バリトンの宮本さんのソロは、私の好みとはかなり違いました。
P席で聴いているのに大変な声量で驚きましたが、個人的には「大きな音を出せば良いというものではない」と感じました。
私はドイツ語はわかりませんが、「おお、友よ」で始まる歌詞がどのような意味のことを歌っているのかは、素人ながらに知っています。
もう少し、歌詞の意味に見合った感情を込めて歌っていただきたかったというのが率直な感想です。
その点、ソプラノの林さんは、声を張り上げずに十分な音量を出していて好感が持てました。

なおこの日は残念なことに、第2楽章で1階席のお客さんが体調が悪くなったようです。
1階の6列目、7列目あたりのいちばん右側です。
おそらく体調の悪くなったお客さんは床に寝かされ、1R1扉を係員が何人も出たり入ったりしていました。
第2楽章が終わるまで、そのお客さんは床に寝かされたままで、楽章間でようやく運び出されたみたいです。
私の席はP席でしたので、音はあまり聞こえませんでしたが、指揮者を見る視線の先にその光景が嫌でも目に入ってしまい、著しく集中力をそがれました。
おそらく、近くの席の方は、もっと気が気でなかったに違いありません。
容態によっては動かしてはいけない場合もあるとは思いますが、楽章間まで運び出すのを待ったのは、体調が悪くなった方のためにも、他の聴衆のためにも良かったのかどうか…。

下野さんは指揮をしながら気配を察知していたに違いありません。
第2楽章が終わると舞台上手の方を向き、運び出す様子を見守っていました。
第3楽章が終わったところでもかなり間をとりました。
作業服姿の係員が入ってきて、急いで床を掃除をしていました。
コンマスの藤原さんが係員が出て行くのを確認して目配せをするのを待って、ようやく第4楽章に入りました。

…というわけで、指揮とオケとコーラスの演奏そのものは大満足でしたが、アクシデントで私は集中力をそがれたので、もう一回聴き直してみたい演奏会となりました。
ただ、独唱にはちょっと共感できなかったので、(12月26日はまだチケットがあるようですが)聴き直しはしないと思います。

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